『ロギング仕事術』について / Workflowyのincシステム
はじめに
ポッドキャスト、配信されております。
◇第百三十三回:Tak.さんと文章の書き方について 作成者:うちあわせCast
前半は文章の書き方の話だったのですが、後半から欲望とどう付き合うのか、みたいな話にシフトしております。
とは言え、文章を書くことを「表現活動」として位置づければ、そうした話は避けては通れません。たぶん、「知的生産」という言い方では、その観点が欠落しているように感じられるのが厄介なのでしょう。
その意味で、「技術」の話だけをしていても活動全体は包括できないのですが、欲望の話は属人的であり、一般化を拒絶するようなところがあります。
このミスマッチをどう解消するのか(あるいはしないのか)。それが「ノウハウ本の研究」には必要な視点だと感じています。
〜〜〜離陸のとき〜〜〜
今週の14日に新刊が発売されます。『すべてはノートからはじまる』が発売されたのが2021年の7月なので、2年ぶりの新刊ということになります。
あまり表立って書くことではないのですが、この二年間はなかなかタフな期間でした。特に前半の一年くらいはかなりきつい状態で、この先一体どうなることやらだったのですが、なんとか状態は復帰に向かいつつあります(厄年という概念を信じそうになったくらいです)。
で、その期間中、低速でありながらも持続的に原稿作業は続けており、その成果がようやく世に出せる段階になってきました。次に出る新刊は、その成果の第一段です。
その本以外にも、商業出版で二冊(一冊は11月発売見込み)、セルフパブリッシングで二冊の本が準備段階に入っています。初稿脱稿間近、原稿はもうできていて最終チェック中、最後のネジ締め作業、全体の原稿が出そろったので大きなコンセプトの整理中、といった具合です。それぞれに違うタイプの本なので、連続で発売されても、飽きるようなことはたぶんないと思います(希望的観測)。
というわけで「月くら」計画ではありませんが、ある程度続けて「新刊」のお話ができるでしょう。本号でも、次に出る本の経緯の話をしていますのでよろしければご覧ください。
さて、皆さんはいかがでしょうか。停滞の時期は経験されたでしょうか。そのときはどんなことを心がけておられたでしょうか。差し支えなければ、倉下に教えてくださいませ。
では、メルマガ本編を始めましょう。今回は、新刊の経緯のお話と、Workflowyで行っているincシステムについての紹介をドドーンと(約8000字)お送りします。
『ロギング仕事術』について
9月14日に『ロギング仕事術』が大和出版から発売されます。
◇ロギング仕事術: 課題に気づく、タスクが片づく、成果が上がる | 倉下忠憲 |本 | 通販 | Amazon
今回は、この本の経緯について少し書いてみます。
■過去からの起点
企画の出発点になったのは以下の記事でした。
◇仕事に役立つノート術を有識者に聞く。習慣ややり方を見直し改善する記録方法 | りっすん by イーアイデム
この記事が少しバズり、編集者さんの目に留まったのが発端です。記事で紹介している考え方と、『すべてはノートからはじまる あなたの人生をひらく記録術』に出てきた「ロギング仕事術」という概念を結び合わせて、それで一冊本を書きませんか、とオファーを頂いたところからこの企画は始まっています。
ちなみに、『すべてはノートからはじまる』の中では、一つの技法として「ロギング仕事術」(p.123~)が紹介されています。
この本ではだいたい2ページで「ロギング仕事術」の基本コンセプトが紹介されているのですが、それをまるまる一冊使って紹介しようというのが企画案の中心でした。
■線の細さの懸念
しかしながら、まず最初に思いました。「それはちょっと線が細いのではないか」と。
「ロギング仕事術」の中核となる概念は、「記録しながら、作業しよう」です。メモなり、ノートなり、ログなりとどんな表現をしても構わないのですが、とにかくただ作業をするのではなく、記録を残しながら仕事をすること。
言ってしまえば、それだけのコンセプトです。実際、『すべてはノートからはじまる』では2ページでそれを説明しきっています。しきってしまえるコンセプトなのです。
だとしたら、いくらか補足を入れて文字数を揃えたとしても、コンセプトとしてはひ弱ではないか。そんな風に最初は思いました。
一方で、別の視点も遅れてやってきました。「自分の書く本は、具体的な話が少ないのではないか」と。
実際、『すべてはノートからはじまる』は、ノート論とも呼べる本であって、ノートに関する具体的な技法書とは言いがたいものがあります。それでは実践の助けにはなっていないかもしれません。
私はどうしても「自分が読んで面白い本」を追求してしまいがちで、それはそれで個人的な達成ではあるのですが、「自分の趣味」という狭い領域に閉じこもってしまう懸念もあります。
そこで、最初に浮かんだ懸念は飲み込むことにして、この企画に取り組んでみることにしました。
「線が細くて、何が悪いんだ」
そういう挑戦です。
ある種、自分の価値観をゆさぶる(ディスターブする)試みだったと言えるでしょう。
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