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Evernoteのソート順問題 / トランジッション・ノート術の実際例 / 理想のテキストエディタ

Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2023/11/27 第685号

はじめに

ポッドキャスト、配信されております。

◇BC077『言語はこうして生まれる』 | by goryugo and 倉下忠憲@rashita2

今回は『言語はこうして生まれる』を二人で紹介しました。間違いなく今年でトップクラスに面白かった本です。

よろしければお聞きください。

〜〜〜OpenAI〜〜〜

詳細は割愛しますが、OpenAIまわりでいろいろ騒動が起きていました。

◇「サム・アルトマン解任騒動」とは何だったのか Microsoftも得はせず(1/3 ページ) | ITmedia NEWS

こうしたドタバタ的顛末を見ていると、「ああ、人間がそこにいるな」という感じがしますね。人工知能の開発でリードしている組織だからこそ、対比的にそこにある人間性が際立って感じられます。

もちろん、「だからこそ企業経営もAIに任せたらいいんだ」という意見もあるのでしょうが、結局その導入ですら「人間」的なものが顔を出すというのが、リアルな結末なのかもしれません。

〜〜〜メモについて〜〜〜

『考えの育て方』という本を書き終えた後、「カードはメモではないので、メモについても書かねば」という気持ちが高まりました。なんといっても、メモなしの知的生産など考えられないですからね。

というわけで、「メモ論」について構想を立ち上げようとしていたのですが、たまたまnoteで過去記事に「スキ」してもらって、自分が書いた記事を読み返す機会がありました。

◇メモの種類/思考と行動/競争力としての創造力|倉下忠憲

2019年10月の記事ですが、ここで「#メモの育て方」という連載の一環として「メモの種類」について論じています。

そーいや、そういうのも書いた、……かも、しれない。

非常にあやふやです。というか、正直ほとんど忘れていました。

もしも、メモ論の構想を立てるならば、すでに書いたこの連載を使わない手はありません。しかし、この記事を読み返すまではまったく忘れてしまっていたのです。実にもったいない気分がしてきます。

やっぱり、記事を書いたとしても、それがそのまま頭に定着することはないのでしょう。むしろ、忘れてしまう度合いが高まる気すらします。書いたことによって、脳が「これについては、まあいいか」と判断してしまうわけです。

おそらくは、『考えの育て方』と同じように、連載として書いたものは、時間をおいて全体をまとめ直し、自分が書いたことについてもう一度考えるという営みが必要なのだと思います。

というわけで、まずは「メモの育て方」連載を読み返すところから始めてみようと思います。それで足りない部分があれば(ぜったいにあるでしょう)、それを新しい連載で補強する形で進めていきましょう。

〜〜〜手帳感のあるiPhone〜〜〜

最近、iPhoneのホーム画面にウィジェットを置くようになって、俄然使い勝手が良くなりました。

といっても、やたらめったら並べているわけではありません。

よく使うのは、まずKindleのウィジェット。これは直近読んだ本の表紙が表示されるので非常に良いです。というか、なんで今までこれがなかったのか、と言いたくなるくらいにフィットしています。

電子書籍は基本的にアプリを通して読むのですが、アプリを開かないと本の表紙にたどり着かず、私がよく言う「物リマインダー」がうまく発揮されない状態になります。読書しようという気持ちがモチベートされにくい環境だったのです。それがホーム画面に置くウィジェットでだいぶ変わりました。

もう一つ頻繁に使うのが、Evernoteの「最近使ったノート」です。これはメモをするときに使います。基本的にデイリーノートにメモするという用途でしかEvernoteを使っていないので、その日のノートは必ずリストの上部に位置しています。そこからアプリに入り、メモするという流れです。

でもってここでもやっぱり物リマインダーが働きます。自分がEvernoteにメモしようとしていた、という事実をウィジェットを見れば思い出すのです。

こんな感じで、ホーム画面をスライドしていくだけで物リマインダーが発動し、何かのアクションを思い出し、行動が促されることが増えました。不思議なことに、これはとても手帳を使っている感覚があります。ぱらぱらページをめくり、アクションが起動される。手帳でもこうしたことが起こりますが、今のiPhoneと構図的に同じなのです。

これまでは、ホーム画面からアプリに入ることで情報が表示されるという形であり、操作の構造としては「階層」的になっていたわけですが、ウィジェットから直接情報が得られるようになったことで、フラットなスタイルになったと言えるのでしょう。ちょっとDoMA的でもあります。

こういうちょっとしたことで変わる──アプリケーションの開発者的にはぜんぜんちょっとしたことではないでしょうが──のが、ライフハック的なものの面白いところです。

〜〜〜ちょうどいいノウハウ〜〜〜

書店に行って、新刊コーナーをうろついていたときに気がつきました。

「紙一枚でなんちゃら法」のようなノウハウは具体的でよいのですが、具体的すぎて広がりを感じません。逆に「ほげほげ思考法」のようなノウハウは抽象的で広がりがあるのですが、具体的に何をどうしていいのかわからない感じがつきまといます。

私が読んでいて面白いと思うのは、たぶんこの間に位置するノウハウなのでしょう。ある程度具体的な手法や道具立てが紹介されていて、しかし考察の中に抽象的な思考が含まれるもの、つまり提示された道具を「超えて」使えるものが含まれているもの。そういう本は読んでいて楽しいと感じますし、たしかな実用性も得られます。

そういう本が自分でも書けたらいいなと思います。

皆さんはいかがでしょうか。どのようなタイプのノウハウ本が好きですか。具体的なものか、抽象的なものか、あるいはぜんぜん違う切り口か。よろしければ倉下までお寄せください。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。今週は、Evernoteのソート順、トランジッション・ノート術の続き、理想のテキストエディタについてお送りします。

Evernoteのソート順問題

前回は、Evernoteの再々編成を紹介しました。その結果として、DBCAは以下となりました。

・Diary(日付・日時情報が入っているものすべてを扱う)
・Binder(書きかけのもの、書き足したいものを扱う)
・Card(自分の考えを著したブロックを扱う)
・Archive(上記以外のすべてを扱う)

ここで改めて「ソート順」について考えてみます。ノートブック内でノートがどんな順番に並べられるのか、という問題です。

■Diary

Diaryは、日付順に固定で並んでいるのがベストです。毎日、その日のノートを作るなら作成日順ということになりますね。実際私は作成日順でDiaryをソートしています。

作成日順であれば、日付は乱れなく並びますし、先頭に置いておきたいノートなども「作成日」のメタデータをいじれば操作可能です。

しかし、よくよく考えてみると、日付の順番に並べるのは作成日順に限りません。ノートのタイトルが日付で設定されているならば、アルファベット順にしてもその並びは日付通りになるでしょう。

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私の場合、その日のノートが「2023年11月20日のノート」となっていて、その日のツイートのノートが「My Tweet 2023-11-20」となっているので、アルファベット順にしてしまうと、その二つが分かれて表示されてしまいます。これはちょっとばかり不便かもしれません。

しかし、ツイートのノートのタイトルを変更すれば対応も可能ですし、そもそもツイートのまとめをEvernoteに残すのかどうか、という根源的な問題もあります。

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