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Weekly R-style Magazine 「読む・書く・考えるの探求」2017/10/02 第364号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。
毎度おなじみの方、ありがとうございます。

9月29日に、セルフパブリッシングの新刊を発売しました。

◇The Last Blogger | 倉下忠憲
https://www.amazon.co.jp/dp/B0761ZP974/


ここ数週間、必死に追い込みをかけていた作品だったので、とりあえず「9月末までに発売」という締切に間に合って一安心しております。よかった、よかった(でもかなりギリギリでした)。

本書の企画の経緯や作成方法については、前後編に分けて当メルマガでも書いていきますので、ご興味あればそちらもご覧ください。

〜〜〜表紙アンケートの結果〜〜〜

その新刊の表紙デザインについて、前号でアンケートを実施しました。結果としては、

A案:76.5%
B案:23.5%

とかなりの大差に。はじめから多数決で決めるつもりはなかったのですが、ここまで差がつくと、私のジャッジメントにも影響が出てきます。

というわけで、今回はA案で表紙をデザインしてみました。

イメージしたのはアメリカのペーパーバック小説の表紙風です。印刷して売るわけではないので、細かい文字情報はすべてそぎ落とし、シンプルにタイトルと著者名だけにしました。Kindleアプリで本棚に並べてみると、なかなかクールです。個人的にはたいへん気に入っています。

普段なら、二つの案で迷ったときには妻に相談するのですが、今回妻はB案と言っていたので、普段とは違うジャッジメントが出てきたことになります。それが売上げにプラスになるのか、それともならないのか。一つの実験として、楽しみです。

あと、こうして事前にアンケートをとるのも面白かったので、今後の本作りでも積極的に実施していこうと考えています。よければまたご参加くださいませ。

〜〜〜かかりっきり〜〜〜

ここ二週間ほど、ずっと新刊の追い込みにかかりっきりになっていました。他の作業の優先順位を落とし、執筆プロジェクトの優先順位をマックスにするような状態です。

おかげで本はほとんど読めていませんし、他の企画の作業もまったく進んでいません。このような状況は、タスクの平準化・進捗の平均化の視点から見れば、好ましいとは言えないでしょう。しかし、たまにであれば、そうした極端な状況があった方がいいのではないか、と(若干言い訳気味に)感じます。
※主にナシーム・ニコラス・タレブの『反脆弱性』の影響です。

極端な状況に置かれると、RSSのフィードを消化しなくても、ゲームのデイリーミッションをクリアしなくても、別に死なないことがわかります。そんなことは、理屈の上ではわかっているのですが、現実の自分はそれをあたかも「為すべきこと」として毎日行っているわけです。その「日常の意識」を揺さぶる影響が、極端な状況にはあります。

その影響が、繰り返される「日常」に新しい風を吹き込んでくれるかもしれません。硬直性を軟化させ、変化を呼び込む風です。

とは言え、毎日が「極端な状況」の人は、できるだけ平準化・平均化を進めた方がよいでしょう。でないと、心的な疲れが非常に溜まってしまいます。

結局は「バランスが大切ですね」という平凡な結論に落ち着くのですが、おそらくそのバランスは、「だいたい毎日平準化で、ときどき極端な状況がやってくる」、あたりになるのではないでしょうか。

〜〜〜価格変更タイミングのミスの副産物〜〜〜

先週号で、10月からの価格変更が延期されたことを(実際は、私の設定ミスで価格変更が遅れてしまうことを)ご報告しましたが、11月から値段変更が実施されると、まぐまぐさんからご連絡いただきました。すばやい対応をしていただけたまぐまぐさんに感謝です。おそらく皆様のもとにもメールが届いているかと思います。

予告よりも一ヶ月遅れの値段変更となったわけですが、これは案外良かったのではないかと考えています。というか、私はあまりに直前に値段を発表しようとしすぎていたのではないか、と気がつきました。

私としては、「高すぎず、安すぎずの値段とはいくらなのか?」をギリギリまで考えたかったのですが、読者さんの立場に立てば、値段変更直前号まで最終的な価格がわからないことになります。つまり、継続か否かの最終決定を行うための期間が実質一週間しかないわけです。悩んでいるうちに一週間が過ぎてしまえばそこで高い方の金額が課金されてしまうわけで、ゆっくり考えている時間はありません。これはあまり適切な状況とは言えないでしょう。

値上げ自体の告知と、価格の幅は事前にお知らせしていましたが、重要なのは「最終的にいくらになるか」であり、その情報を早めに提示できなかったのは私の落ち度です。すいませんでした。

不幸中の幸いというかなんというか、あと一ヶ月期間がありますので、その間に継続か否かをご判断くだされば幸いです。

〜〜〜ポピュリズムの潜在性〜〜〜

今から極端なことを書きます。極端なことが苦手な方は次の「〜〜〜」までスクロールしてください。

現実の世界で、怪しい健康食品や危なっかしいビジネスモデルに引きつけられる人がいるのだから、それと同じ人が政治に関しては、きちんと政策を判断し、中長期的に信頼できる政治家や政党に投票すると期待するのは、あまりにイノセントであろう。

以上です。

〜〜〜バレットジャーナルの本〜〜〜

Bullet Journalに関する本が発売されるようです。

◇「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル(Marie)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799321811

「Bullet Journal」はたいへん良くできたノート術(手帳術というよりもノート術が近いです)であり、たぶんこの本も人気が出るのではないかと勝手に予想しています。

で、この本なのですが、ブログ記事→KDP→紙の本という流れを辿ってきているとのこと。

◇本になりました!「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル | Mandarin Note
http://mandarinnote.com/archives/19969

 >> いつもブログに書いていることをまとめてKindle書籍を作り、そこから芽が出て花が咲き、紙の書籍になりました。 <<

KDP本は『ちいさなくふうとノート術: ごちゃごちゃの頭を整理して楽しく暮らす私のノートの使い方』という本ですね。人気の本なのでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

個人的には、こんな風にブログからKDPへとつなぎ、そこから紙の書籍に至る、という流れをたいへん好ましく思います。コンテンツベースで話が進んでいるからです(逆に、どこかのコミュニティーに属していたから、みたいなのはあまり好ましく思いません)。

似たような流れは、Tak.さんのアウトライナー本にもあり、両者に共通するのは、KDP本がそこそこ(あるいはかなり)売れていた(≒人気があった)ということでしょう。最近の出版業界では企画を通すときに「売れそうな見込み」が重要視されると聞きますが、KDP本での実績はその材料になりうると思います。

出版業界は良さそうな本のアイデアを見つけるためにKDP本にネタを捜し、ブロガーは自分の好きな記事を書いて、ニッチかどうかをさほど気にすることなくそれをKDP本にする。その二つの流れが重なる潮目に、「面白そうな本」はたくさん泳いでいるのではないでしょうか。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のウォーミングアップ代わりにでも考えてみてください。

Q. Kindleで本を買うとき、それがセルフパブリッシングであるかどうかを気にされますか。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

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2017/10/02 第364号の目次
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○BizArts 3rd 「タスクリストの種別」
 タスク管理を掘り下げていく企画。連載のまとめに入っています。

○行ったり来たりの哲学 vol.3
 週替わり連載。「行ったり来たり」することについて考えています。

○Rashitaの本棚 『正しい本の読み方』(橋爪大三郎)
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。新刊あり古本あり。

○物書きエッセイ 「新刊について 前編」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。今回は新刊話。

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

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