目標への二種のアプローチ / ノウハウの一般性 / 本の厚みへのアンビバレントな気持ち
はじめに
最近SNS界隈がざわついているのは皆さんご存知でしょう。
Twitterがさまざまな面で不安定になり、その対抗馬としてBlueskyやThreadsなどが登場しています。Twitter一強時代は、終わりを告げようとしています。
おそらく一番ロバストなのは、Meta社が展開しているThreadsでしょう。初日からサーバーが落ちなかったというシステム面でも強固さを見せていますが、それ以上に焦ってマネタイズしなくてもよい、突飛なことをしてユーザーを集めなくてもよい、という安定感があります。
一方で、何か野心的なことが出てくる可能性も低いでしょう。ユーザーが楽しく使え、そこに広告などを混ぜ込んで、みんながハッピーに使えるサービスが目指されるのだと思います(それはそれで偉大な目標です)。
Blueskyの場合は、Twitterにかなり似ており(Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシーが創業者なのですから当然と言えば当然です)、現在は招待制ということもあってユーザーが限定的なので、それこそ昔のTwitterの雰囲気を思い出させます。
一方でTwitterと同様にマネタイズの問題を抱えています。先日800万ドルを調達したというニュースも耳にしましたが、今後5年、10年続けていくのならば確固たる利益モデルが必要になるでしょう。カスタムドメインの販売も始まっているようですが、それだけでうまくいくようには思えません。
◇SNS「Bluesky」800万ドル調達 「広告モデルではない収益化」へ、ドメイン販売開始 - ITmedia NEWS
かといってTwitterがこのままうまくいくのかといえば、それもかなり怪しいでしょう。結局、新しいビジョンは現状あまり見えていません。
私は今のところTwitterをメイン、Blueskyをサブくらいに使っていますが、これもどこまで続くのかは不明です。あまりにも当たり前のように使っているSNSですが、ここ1〜2年くらいで劇的に環境が変わっていきそうな予感があります。
〜〜〜ツールの転用〜〜〜
ふと思いついたので、Scrivenerを「ノートツール」として使ったらどうなるかをテストしてみました。
一般的にScrivenerは、一つのプロジェクトに対して一つのファイルをあてる使い方がされますが、今回は個別のプロジェクトではなく、「倉下のノート」という集合に対して一つのファイルをあてます。そこに思いついたことを集めていくという運用です。簡単に言えば、このファイルがEvernoteの1アカウントという構図。
で、やってみてわかりましたが、想定されていないこの使い方でも案外いけるものです。Scrivenerはその内部でフォルダをいくらでも深くしていけるので、構造の感覚としてはWorkflowyやDynalistに近くなります。
もちろん、個別の要素の自由な移動についてはそうしたアウトライナーに及びませんが、ある程度のかたまりとして情報を扱うならばそこまで気になるものでもありません。
それより何より、個人的に嬉しいのは情報が「カード」として表示されることです。というか、極論するとカードで表示されるんならなんでもいいんじゃね、くらいの感覚があります。EvernoteとScrivenerというカード表示ができる二つのツールを触ってみて、その感覚が強まりました。
よってもしEvernoteが今後うまく使えなくなるなら、Scrivenerに移行する……ということはないと思いますが、カード型のビューが使えるツールを選択することになりそうです。
〜〜〜自らを縛りつけるノウハウ〜〜〜
YouTubeで見かけた土井善晴さんの動画をみて心が洗われました。
土井善晴が教える人生が楽になるお味噌汁の作り方①
簡単に言えば「細かいことにこだわりすぎんでもええよ」という話です。逆に言うと、私たちは大筋とは違う部分にこだわりを見出し、それによって自分の動きを束縛しているところがたくさんあるのでしょう。
皆さんはいかがでしょうか。「うまくいくやり方」を学んだことによって、それ以外のやり方が思いつかなくなっているようなことは何かないでしょうか。もしそうしたものがあったのならば、どんなタイミングでその事実に気がつかれたでしょうか。よろしければ倉下に教えてくださいませ。
では、メルマガ本編をスタートします。今回は中くらいのエッセイが一つ、普通サイズのエッセイが一つ、短めのエッセイが一つでお送りします。
目標への二種のアプローチ
ここまでの流れを少し振り返っておきます。
まず、倉下の新サイト「Knowledge Walkers」がありました。"知をわたる"がテーマのこのサイトでは、「動き」や「変化」に注目しています。別の言い方をすれば「知性とは動きのことだ」というテーゼがあるのです。
続いて、タスク管理などのノウハウを再検討しました。そこで持ち上がってきたのが「助動」という考え方です。外部から強制的に動かすのではなく、そのものが本来的に持っている動きを復興すること。そうした視点でノウハウを整理するのが「助動法」であり、そのための試みは助動プログラムと呼べるでしょう。
別の観点で進めていたこれらの思索ですが、「動き」や「動くこと」、あるいはそこから生まれる「変化」が共通項になっています。
そうした共通項で括れる部分を〈動きの思想〉と呼ぶことにしましょう。暫定的なネーミングではありますが、何か名指せるものがないと不便なので、しらばらくはこの呼び方を使います。
■目標について
〈動きの思想〉で捉えれば、タスク管理という行為はそこまで高度なものではなくなります。少なくとも、巨大企業の社運をかけたプロジェクトのマネジメントに比べれば、ずっと楽なものです。
まず、達成したい状態を明らかにします。「宿題をやり終えたい」とか、「3時からの会議の前に資料を揃えておきたい」とかいろいろな状態があり得るでしょう。今から自分が目指す最終的な到着点(あるいは着地点)を見極めるわけです。ここではそうしたものを〈目標〉と呼びましょう。
〈目標〉とは、動きを惹起するものであり、動きの方向性を規定するものです。簡単に言えば「あっちに向かって進もう」と思えるものが〈目標〉です。仮に似た格好をしたものがあっても、「あっちに向かって進もう」と思えなければそれは〈目標〉ではありません。〈目標〉っぽいものです。
動きに関与しているかどうか。それが〈目標〉か〈目標〉っぽいものかを峻別します。
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