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Weekly R-style Magazine 「読む・書く・考えるの探求」 2018/09/03 第412号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。毎度おなじみの方、ありがとうございます。

つい先日のことです。近所の書店で拙著新刊が並んでいるのを初めて目撃しました。新刊コーナーに平置きされており、少しだけへこんでいたので、一冊くらいは売れたのかもしれません。嬉しい限りです。

これまで何冊も本を書いておりますが、やはり自分が日常的に利用する書店に自分の本が並んでいるのは格別の思いがあります。テンションだって上がります。

複雑すぎて一言で言い表すのは難しいのですが、あえてチャレンジすれば、「ああ、自分は〈仕事〉をしたんだな」という感触が湧いてくるのです。そういう気持ちが、次なる仕事への意欲もアップさせてくれます。

〜〜〜百式の終了〜〜〜

百式が終了されるようです。

率直に言って、ショックな出来事でした。また一つ、ブログの灯火が消えてしまう。そんな印象です。

あまり多くは語れませんが、2018年という年は、ブログ周りでそのような「終わり」がいくつも訪れた年でした。

一時期プロ・ブロガーブームがあり、その後それが収束し、その後マーケティング・メディアとしてのブログの存在感が消えた、ということはあったのですが、今起きているのは、もっと広い文脈での「ブログの死」だと感じます。

さて、自分はどうしていくのか。

最近そればかりを考えています。

〜〜〜微妙な差異〜〜〜

日常的なアウトライナーは、WorkFlowyを使っています。

機能的にはDynalistに軍配が上がりそうですが、個人的な印象ではWorkFlowyを好ましく思っています。

たとえば、ごくごく些細な話なのですが、Dynalsitだと、項目上にマウスカーソルがホバー(hover)したときに、その項目の先頭にメニューアイコンが表示されます。WorkFlowyでは、親項目(子を持つ項目)のときだけ、開閉するためのボタンが表示されて、それ以外ではまったく反応がありません。

で、この差異が微妙な使い心地の違いとなって現れます。若干(本当に若干)Dynalistのほうが「うるさい」のです。

本当に微妙な差異でしかありませんが、できればうるさくないツールを使いたい。そんな風に感じます。もちろん感じ方は人それぞれなので、この判断が絶対的な正解であるとは言えませんが。

〜〜〜電子書籍の悩み1〜〜〜

『サピエンス全史』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリの新刊が、ついに9月に発売になります。

9月6日発売ということで、すでに予約もスタートしているのですが、悩ましいのが電子書籍版を買うのか、紙版を買うのかです。

個人的な読書体験では、紙の方が読みやすく感じます。単純に一日中ディスプレイ見ているので、読書中くらいはそこから離れたいという気持ちもありますが、やはり紙面の広さが読みやすさにつながっている印象もあります。

よって、本を読んでいるときの体験を重視するなら紙の本なのですが、何しろ上下巻であり、読書中にたっぷり線を引いたりメモしたりする可能性が大きい本なので、その「事後処理」を考えると、電子書籍版に軍配が上がります。悩ましいところです。

仮に両方のバージョンを買っても、紙の本で赤線を引いたところが電子書籍版に反映されるわけではないので、根本的な解決にはなっていません。

今の所、紙の本7:電子書籍3くらいの可能性ですが、最後の最後まで悩みそうです。

〜〜〜電子書籍の悩み2〜〜〜

上記のような本と違い、読書メモなどはほとんどとらないライトノベルのような本は、積極的に電子書籍で買うようにしています。積極的というか、書棚の許容量的にいたしかたなし感はあるのですが、それはさておき。

少し前までは、電撃文庫の人気作品は紙の本よりも一ヶ月以上遅れて発売されていたのですが、最近では同時か、あるいは「先行発売」としてBookWalkerで数日早く発売されることも出てきました。

が、そういう人気作品は、もうばっちり紙版でそろってしまっています。たとえば9月に新刊が出る、『アクセル・ワールド』シリーズは22巻まで発売されており、それは私の本棚にばっちり鎮座しています。

ここから急に、つまり23巻以降は電子書籍にするのは、どうにも気持ち悪いものがあります。「なので、潔く電子書籍で揃え直しました」というコメントもTwitterで頂いたのですが、現時点ですら、結構わけわからなくくらい冊数持っているので(100冊ではききません)、それを一通り買い直すことを考えると……な気分もあります。

妻にそのことを話してみると、「そう? 別に途中から電子書籍なってもいいんじゃない?」と言われたので、たぶん稟議書も下りないでしょう。

どんなメディアにせよ、移行期にはいろいろ難しい問題が発生するものですね。この悩みも、しばらく続きそうです。

〜〜〜徳の高さ〜〜〜

早川書房さんの電子書籍が50%オフくらいになっているセールがあったので、がっつり買い込みました。もう絶対に読む暇なんかないんだからね、とツンデレをかましたくなってくる量です。

が、別にいいのです。本を買うこと、それ自身に意味があるんです……と一応強がっておきますが、それはそれとして出版業界は、「積ん読本の高さが、徳の高さである」という、平賀源内ばりの珍説を流布させることで、本を買おうとする人が抱えてしまう心理的バリアを解きほぐせるのではないか、というのはつまらない冗談なので気にしないでください。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のウォーミングアップ代わりにでも考えてみてください。

Q. 買った本のうち、未読本の率ってどのくらいですか?

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週はかなりScrapboxへの言及が多いです。興味のある方は各記事をご覧くださいませ。

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2018/09/03 第412号の目次
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○「困ったときは、ノートを開く」 #ノート道の歩き方
 問題解決におけるノート術を解説していきます。

○「最近のタスク管理事情について」 #BizArts3rd
 タスク管理を掘り下げていく企画。

○「ScrapboxでKJ法は可能か?」 #物書きエッセイ
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。

○「カードによる研究」 #今週の一冊
 最近読んだ本とそこから考えたことを書いていくコーナーです。

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

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○「困ったときは、ノートを開く」 #ノート道の歩き方

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「せんぱーい」
「ん? どうした」
「実は、困ったことになりまして」
「ほぅ。どんなことだ」
「何に困っているのか、わからなくて困っているんです」

~~~~~~

困ったことが発生したら、そのことをノートに書きましょう。

ポイントは3つあります。

■その1:ノートの選択

使うノートはなんでも構いませんが、紙のノートなら最低A5サイズ、できればB5サイズが望ましいです。罫線もあまりぎちぎちに詰まったものは避け、できるだけゆったり使えるものを選んでください。なんなら方眼や無地を選択する手もあります。

デジタルノートであれば、オススメの筆頭はアウトライナーです。もし使えるならScrapboxも候補にあがるでしょう。最悪、普通のプレーンテキストエディタでも構いません。デジタル情報は後から別のツールに移動させることもできるので、そこまで気負わなくても大丈夫です。

■その2:記入スタイル

紙のノートなら、できるだけ余白を持って記入しましょう。一つのまとまりごとに数行開ける感覚で大丈夫です。あるいは、見開きの片方だけのページを使い、もう片方のページを開けておく方法もあります。

この空白は、自分が書き込んだことに対する、自分のさらなる考えを書き込んでいくための余白です。きちきちに詰めて書いてしまうと、そのような発展的余地が減少してしまうので注意が必要です。

デジタルノートなら、別段どう書いても構いません。リターンキー一つで、後でいくらでも余白は付け加えられます。

アウトライナーならば、あまり深く考えず、どこかの項目に困ったとこを書きます。複数あるなら、それらを兄弟項目として並べておきます。Scrapboxでも同じ入力で大丈夫です。

普通のテキストエディタならば、困ったことと困ったことの間に、空改行を一つか、それ以上挟んでおきましょう。情報に区切りを設けておくことで、後から見返しやすくなります。

■その3:書き方

では、実際にどのように書けばいいかというと、頭に浮かんだことを、飾り立てることなく記入すればOKです。

「体調が悪くて、だるい感じがする」
「今月の営業目標が高くて、頑張らないといけない」
「今週中に、たまった書類を片付けたい」

こんなこと書いても書かなくてもたいした違いは無いように感じられますね。しかし、こうして書くことが、問題解決の第一歩となります。まず、問題を可視化すること、そして操作可能な対象にすること。そうすることで、さらなる一歩が踏み出せるようになります。

もし上記のように明確に言語化できないなら「何かよくわからないけど、困った感じがする」といった書き込みでも十分です。こんなあやふやなものであっても、何も書かないよりは、確実に一歩分の変化があります。

とは言え、書いただけで即座に問題解決が降ってくるわけではありません(そりゃそうです)。

ここからさらに書き込みを広げていきます。

(つづく)

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