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#20 AM7:40のモーニング

春ですね。
この季節になると、気温や匂いが否応なしに色んな思い出を運んできます。
わたしは特に「別れ」や「環境の変化」のシーンを思い出してしまうので、春は少し苦手だったりします。(花粉もあるし…)

しかし先日、前職の先輩の結婚式参列のため熊本に帰った時に食べた”あるもの”がきっかけで、ほっこり温かい思い出が蘇ったのでそのお話を。

結婚式の日は元同僚の家に泊まり、その翌朝。2人でモーニングに行きました。前職を辞める前、しょっちゅう通っていた喫茶店です。
久しぶりに行ったのに、「お久しぶり、いつものでいい?」とわたし自身を覚えてくれているどころか、よく頼んでいたメニューを当たり前に記憶してくれている店員さんに、感激。

わたしの”いつもの”は、ブラックのアイスコーヒーにシロップ1つ、それとツナマヨが添えられたトースト。400円のモーニングセットです。

そういえばいつからここに通い始めたんだっけ。改めて思い返すと、就活中、大学4年生の4月が初めてだったのです。のちに入社することになる会社の最終面接が終わり、緊張で喉がカラカラ。どうしても帰りのバスに乗る前に何か飲みたい、と思いGoogleMapで調べると、一番近くにあの喫茶店があったのです。

その時飲んだのは、メロンソーダフロート。(今考えると、喉を潤す飲み物ではないですね)一気に流し込んで、ふっと一息ついたのを、鮮明に思い出せます。窓際の席、とても天気の良い日でした。

それから1年後、無事入社し出勤し始めるのと同時期くらいから、そこのモーニングに通いだしました。だいたい週2回くらい、「今日はやる気でないな」みたいな日の出勤前に寄っていました。

AM7:30に家を出て、AM7:40にお店に入り、AM8:15にはお店を出て、AM8:30の始業までに会社の席に着く。これがモーニングに行く日のルーティーンでした。お店に入ると、いつもいる女性の店員さんが「おはようございます、いらっしゃい」と迎え入れてくれて、当たり前に”いつもの”を運んできてくれて、「いってらっしゃい」と送り出してくれるのです。

すごく眠たい日は、冷たいコーヒーを飲むと頭がシャキッとしたし、すごく憂鬱な日は、バターの溶ける香りが癒してくれたし、すごく疲れている日は、店員さんの笑顔が励ましてくれました。



「新卒3年間の喜怒哀楽はここに詰まってる」
久しぶりにサクサクのトーストを食べながら、元同僚とそんな話をしました。彼女とも何度かモーニングを共にしたので、2人の思い出話にも花が咲きました。

4月から新社会人になるみなさんの傍にも、別に食べ物じゃなくていいので、わたしにとっての「AM7:40のモーニング」のような、あたたかく安らぐ存在がありますように。

さて、わたしは現在始業がAM9:30なので、「AM8:40のモーニング」でも近々探しに行こうと思います。


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