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共感的に「保留する」

2023年最後は、キャリアコンサルティングにおいて必要な「保留する」姿勢と関わりについて書いてみます。

保留?何それ?と思うかもしれませんが、養成講座を受けた人やキャリアコンサルタント・カウンセラーの皆さんは聞けば「ああ、そういうこと」ということですが、問題は意識して使うかどうかです。

キャリアコンサルティングにおける保留
国家資格キャリアコンサルタント実技面接試験での来談第一声は短いです。例えば「転職しようかと思ってます」と言う相談者に対して、最初から転職先をどうするかに支援の意識を向けませんよね。「この先どうすればいいか」と言う相談者に、最初からこの先をどうするかという方向で関わりませんよね。拙速に発言内容の解決や方策に向かうのでなく、保留して関係構築から問題把握し内省を深めていきますし、CDAなら経験の再現で自己概念の成長に関わります。
実務でも要望や目的は聞きますが、保留して、なぜその言葉を発しているのか、そもそもの動機や背景などを意識して聴いていきますよね。結果、最初とは全く違う選択肢や方向性になることもありますし、それが相談者の利益になります。何気なくやっている保留って大事です。

実務での葛藤
一方時間の無い実務の中で結果に繋げないといけないとなると、序盤の言葉(困りごとや迷いや悩み、さらには希望・理想・制約・選択肢など)から拙速に情報提供したり、こちら主導で訊いたり、実現に向けて一緒に考えてしまうこともあると思います。
目の前の仕事をこなす、さばく、ということになると「保留」なんて。。。意識したくても出来ないとなってしまうかもしれません。キャリアコンサルタント、カウンセラーならこんな場面に遭遇すると揺らぎや葛藤もあるのではないでしょうか。

保留すると深く早く展開出来る
先日、主宰する勉強会で「15分で要約してから展開」するロープレをやってみました。その時のポイントを自分なりに振り返ると、相談者の困りごとや迷いや悩みを聴いたキャリアコンサルタントが「なんとかしたい」「力になってあげよう」と方策や解決に意識が動くと、相談者が発する「内省に繋がる言葉」「自己概念の影」を15分の段階で思いのほか捉えきれないことがあったように思います。力があるのにちょっとしたズレです。
このまま進むと問題把握や内省・意味の出現が不足した状態ですから、堂々巡りになるか、もしくは方策で相談者を説得することになりそうで勿体ないです。
困りごとや迷いや悩みの解決は共感しながら保留する。なんとかしたい、力になってあげようといったキャリアコンサルタント自身の感情も自己一致しながら保留する。
そうすることで意識は問題把握や内省支援に向かい、結果的に深く早く展開できます。
限られた時間でも相談者により良い支援が提供できるはずです。

共感的に保留する力は具体的展開力の根源で、面談価値向上には不可欠です!

余談
ちょっと話は逸れますが、情報提供したり方策を考えるのは、もはや私たちよりAIの方が上手ですよね。
AIは保留はできるのかな…?保留するかどうかはどうやって学習、教示するかな、と考えてしいます。
そんなこと考えながら年を越します。

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