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体癖小説 「雨宿り」①

 会社を出たら、少し前をニシナさんが歩いている。
 どうしよう…追いついて、話しかけてみようか…?それでどうする?一緒に帰る?えっ、仕事の用件以外ほとんど話したことないのに?
 
 ニシナさんって、あたしとは大違いに仕事ができる。だから何となく近寄りがたい…。でもこの距離。今のままじゃ、ニシナさんのストーカーみたくなっちゃう気がする!…なんか、いろいろ考えすぎ!
 あたしは小走りにニシナさんに追いつき、
 「今日もお疲れさまでした」
 と、ニシナさんの横顔を見て言った。
 ニシナさんは、急に立ち止まって、少し体を後ろにそらせて、
 「…お、お疲れさまでした…」
 と言った。
 
 びっくりさせちゃったかな〜。
 「あたしもいま帰るとこなんです、歩いてたらニシナさんの姿が見えたから…追いついてみました」
 「会社を出た時間、同じくらいだったんですね〜」
 とニシナさんは笑顔で言った。

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