茶道教室 蘭月会

大阪市西長堀の茶道教室。お稽古中に話す時間がない周辺のこと(時々万葉集がらみ)を書きま…

茶道教室 蘭月会

大阪市西長堀の茶道教室。お稽古中に話す時間がない周辺のこと(時々万葉集がらみ)を書きます。新たにお茶を始める方の世界がより心弾むものになりますように。当方アラフィフ裏千家流准教授。お稽古は火曜月三回7500円~、入会金5000円。rangetsukai0701@gmail.com

最近の記事

平安時代を観察②

今年は全国的に梅雨入りが例年より遅くなるとか。大阪はもちろんまだですが、カラッと晴れる日も少ないように思います。 さて、昨今はペーパーレス化の時代に入っています。現代では紙について、場所を取るとは思っても、高価だと考える人は多くないかと思います。が、平安時代ではまだまだ高価なものの一つでした。 製紙術は奈良時代に高句麗から伝わったといわれます。平安時代には、朝廷用の紙を製造する紙屋院(かみやいん、かやいん)と呼ばれる、中務(なかつかさ)省の中の国家の蔵書を管理する図書(ず

    • 金平糖はいかが?②

      毎年のことながら、連休はあっという間に終わりました。すっかり通常運転の日々です。 薄茶と共にお出しすることもある金平糖。最近気軽に入手できるお店が減っていることもあり、身近なところから無くなってほしくはない、と気さくなお店で見かけたらちょこちょこ購入しています。京都には、この金平糖の「高級ブランド」とも呼べる緑寿庵清水というお店がありまして。定番から季節のものまで様々なお味の金平糖を扱っておられ、とても美味しく、京都や大阪では百貨店にも出店されていて入手しやすくなっています

      • 伊勢物語 ~筒井つの~

        連休後半は雨になるかと言われていた大阪ですが、少し後ろにずれたよう。お出かけもしやすいでしょうか。 今日は「伊勢物語」第二十三段の一段目。 幼い頃、よく共に遊んだ男女が大人になり、一緒に過ごすことはなくなったけれど、お互いを妻に、夫にと思い定めていました。やがて男性の側から送った歌が 筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見るざまに 筒井はまるい筒のように掘った丸井戸、井筒はこの丸井戸の上にのせた円形の井戸枠のことで、この枠の高さにも及ばなかったわたしの

        • 普段のお稽古で試してほしいこと④

          空模様は落ち着きませんが、過ごしやすい気候の日々です。今週もおつかれさまでした。 ここ2週間ほどで次から次へと花が咲き、心は浮き立ちつつも、種類によっては開花がかつてよりかなり早まっていることに驚いています。日射しが強くなり始めていることもあり、必要なものには遮光ネットをかけましたが、猛暑だとチリチリに灼けてしまう植物もあるでしょうし、真夏の花の準備を考えると、今から悩ましいです。 さて、普段からよくお伝えしていますが、和室でのお稽古で客座にいる場合は畳の縁から十六目のと

        平安時代を観察②

          藤宴(ふじうたげ)

          今日の菓銘は「藤宴(ふじうたげ)」。 鶴屋吉信御製で、「咲き競う藤の花が宴のように見える様を表したもの」と説明されていました。が、わたしは菓銘を聞いた瞬間に「源氏物語」の夕霧(光源氏の嫡男)と雲居雁(くもいのかり)(光源氏のかつての親友であり今は政敵となった内大臣の娘)の結婚の話を表すお菓子か~、と一人で大興奮。ということで、改めて「源氏物語」の原文や解説に当たりました。 第三十三帖「藤裏葉(ふじのうらば)」の前の方のお話。話としては、仲良しだった夕霧と雲居雁は両想いにもか

          藤宴(ふじうたげ)

          どうして右手が上なのか・・・

          昼間の気温が20度を超え始めました。鉢植えの植物も喜んでいるのか、一日の生長が目覚ましい。早過ぎて、炉の季節の間に風炉の季節のものだと思っていた花が咲きそうで慌てています・・・。 お茶のお稽古を始めて数年、逆勝手の点前を初めてした際、客は本勝手と同じように右手を上にして組むのでいいのか、この組む手も逆になるのかふと疑問が湧きました。が、組む手の上下や足運びについて、お客様にまで〇〇してください、と言うのか・・・という問題もあり、そもそもどうして普段は右手を上に組んでいるのか

          どうして右手が上なのか・・・

          花祭り

          この週末、関西はお花見日和でしょうか。気候もいい時期ですね。 イエス・キリストの誕生日といえば?⇒12月25日!と答えられる人は多いかもしれません・・・って、今Wikipediaを見たら、キリストの誕生を記念する日であって、いわゆる誕生日は判っていないと書いてありました。まぁ2000年近くも昔のことですしね。で、今日のお題の花祭りというのが何かというと、4月8日のお釈迦様の生誕を祝福する行事のことで、灌仏会(かんぶつえ)などとも言われます。仏教ってインドから中国を経て日本に

          人間のからだ~1~

          もう3月も終わりです。4月から新生活が始まる方もいらっしゃるでしょう。一人暮らしをするので、何やかやと買いそろえておられる方もおいででしょうか。不安がありつつも、わくわくする時間かもしれません。 お盆をこの機会に購入される方もあるかもしれませんが、ここ数年、載せているものが滑らないトレーというのがちょっと人気らしいです。表面が塗装加工されているため、滑ることでお盆が傾き、コップや皿の中身がこぼれる事態を防げるのだとか。 選択は人それぞれでしょうが、初めてこの商品のことを知

          人間のからだ~1~

          桜を食べる②

          春分の日は強風でしたね。警報が出ていた地域もあったようですが、大きな被害は無かったでしょうか。 今日はこの時期に一番出回る桜餅、の葉について。 葉は食べても食べなくてもお好きにどうぞ、です。わたしはいただくことが多いですが、塩気があまり必要でない時は半分だけ、などその時の体調や気分によって変えています。 この葉は、裏面に全く産毛が無く、やわらかくて食用に向いたオオシマザクラが使われています。葉が元々やわらかいだけでなく、その中でも樹齢の若い木から収穫するのだとか。若い分、

          橘(たちばな)あれこれ①

          昼間の気温は大分高くなる日も出てきました。冬用のコートはそろそろ出番が終わりそうです。 スーパーには様々な種類の柑橘類が並ぶこの時期ですが、今日の菓銘は「花橘」。とはいえ橘の花は白、実は地域にもよるでしょうが10月から2月あたりまでに成るところが多いようです。 橘でまず知っておきたいのは、田道間守(たじまもり)の話。実在したのなら紀元300年前後に在位したと思われる垂仁天皇の90年(!)2月1日に、田道間守に命じて、常世国(とこよのくに)に遣わして、「非時香菓(ときじくの

          橘(たちばな)あれこれ①

          修二会②

          ここ数日で、鉢の木々草花の芽吹きが勢いづき、一回り大きくなっている気がします。 今年も東大寺二月堂で行われている修二会(しゅにえ)。 昨年紹介したお菓子の銘が「開山良弁椿」だったのですが、開山とはここでは東大寺を開創した人、創建に一番功績のあった僧侶とでもいいましょうか、その良弁(ろうべん)さんから名前をいただいている椿から取られていました(菓銘としては開山堂にある良弁椿、の意かもしれませんが)。 藤原氏出身の母を持つ初めての天皇となった聖武は神亀5(728)年、やっと恵

          平安時代を観察①

          寒さが戻ったまま、大阪は雨模様の日が続き、傘が手放せません。春は近くて遠いようです。 さて、平安時代というとどんな情景を想像されるでしょうか。十二単の「お姫さま」、紙に和歌を書いて送り思いを交わし合う恋愛、「源氏物語」、宇治の平等院に見られるような極楽浄土への生まれ変わりを願う信仰の厚い人々がいる・・・・このあたりは全て貴族層のことですね。 ふと思い立って調べてみると、平安時代の貴族層(五位以上の官人とその家族とします)は諸説ありますが1000人前後とか。平安京の人口で数

          平安時代を観察①

          早蕨(さわらび)②

          大阪は一説に、少し早い菜種梅雨か、なんて言っていたら寒の戻り。まだしばらく春とはいかないようです。 今日の菓銘は表題と同じく「早わらび」です。 万葉集?興味ない~、と思っていても 石走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも の歌は聞いたことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。 巻八 1418のこの歌は「志貴皇子の懽(よろこび)の御歌一首」として春雑歌の最初に載っています。春雑歌で他に詠まれているのは梅や桜や柳など。蕨を詠っているのはこれ

          早蕨(さわらび)②

          梅あれこれ②

          昨日の大阪は雨ながらも気温は高く、梅が一気に開いたのではないかと思います。お住まいの地域はいかがでしょうか。 万葉の時代に宮人から愛でられた梅ですが、これは白梅だったとか。その後紅梅も日本にもたらされ、平安貴族の愛でた梅は主に紅梅だったと言われます。俗に十二単と呼ばれる五つ衣(いつつぎぬ)・唐衣(からぎぬ)・裳(も)からなる公家女房の公の晴れの装いや、私の装いの小袿(こうちぎ)姿における襲の色目(かさねのいろめ)という、重ね着する着物の色の組み合わせに紅梅襲(こうばいがさね

          藤原道長異聞

          立春を迎えたとはいえ、暖かくなるにはもう少しかかりそうですね。今週関東では「大雪」の日もあったようで。 今年の大河ドラマは本名も詳しい生涯もわからない『源氏物語』の作者紫式部(←本名ではなく呼び名のようなもの)を主役にした『光る君へ』。一年話をもたせるために、後に彼女の仕える藤原彰子の父である道長と幼い頃知り合っていたという設定になっています。 道長というと この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば の歌がよく知られています。これは寛仁2年(1

          もうすぐ節分②

          寒いなぁと思いつつも、今年は暖冬だとか。そんなことを言っているうちに4日日曜には立春を迎えます。 明日は節分。日本中で知られるようになった、恵方巻を丸かぶりする大阪発祥と言われる風習の準備をしてる方もおられるでしょうか。 大阪育ちのわたしの場合、子供の頃は親が巻寿司を自宅で作っていました。具もかんぴょうやでんぶ、卵焼きといったもので、お刺し身なんて入っていません。当時巻寿司はそれなりにごちそう感があったように思います。丸かぶりすると、願い事が叶うのだと教えられ、がんばって