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"境界戦機"とは何だったのか 『境界戦機ってなんだったんだろう…』序章

  境界戦機ファンのみんなごきげんよう、ランガタロウです。
記事をサボっている間に境界戦機が最終回を迎えてしまいました。

もはや一話一話解説する気力も無いような方向へ向かっていったので総括記事とさせて頂きます。

境界戦機シーズン2は本当に「え?!何?!」という状態で話が進みました。

目標がふわふわしていて困る

シーズン1では中国軍オーストラリア軍を悪役として描き、日本人を差別する弾圧の空気を形成する象徴のように描きつつ、日本人が差別されずに復興している北米軍占領下の日本は「暴力では無く資本で支配されてしまっている」というジワジワとした危うさを表現しており、まぁ稚拙ながらも「ちゃんとやろう」という気骨があったと思ったのもつかの間。

シーズン2はたった8ヶ月後が舞台にも関わらず、突然北米軍は日本人を差別するようになり、手段も資本では無く暴力と相成りました。
ゴーストの高性能AIを手に入れたことで北米軍の兵器は進化してパワーバランスが崩れ、各勢力圏への進行が始まったという名目で戦いが激化していく。

14話15話は主に「北米軍の進行によって生まれた難民を逃がすために 主人公達のレジスタンスが遠征している」というあらすじだ。


しかし冷静に考えたらこのシチュエーションそのものがおかしいということがわかった。

今までちゃんと説明されてなかった(1話で背景のテレビにニュースとして映ってた程度)が境界戦機の世界でも「日本国政府」は存在しており、首都東京を中心とする関東圏一帯を北米軍が抑えているので日本政府はアメリカの保護化にあるのだという。

読者の皆もすでに気がついたのでは無いんだろうか?

境界戦機の世界で4つの大国(米中露豪)に占領された日本と言ってるが単にアメリカは日米安全保障条約に基づいて日本を保護しているだけである

境界戦機の世界の日米安全保障条約が現実と同じとは限らないのだが、しかしながら宣伝から監督インタビューからプロデューサーインタビューから「現実と地続きの少し未来」を強調している以上そこが変わってるならわざわざ台詞で説明してるはずだし…なんだったら公式HPとかにその未来の年表とかが載ってるはずだが境界戦機にそんなものはない。

しかしこの事実を前にすると境界戦機というアニメが何を目指しているのか全くわからなくなってしまった。

北米軍は日米同盟に基づいて日本を侵略している外国軍を追い出しているだけなのに、主人公が所属する日本解放レジスタンス「八咫烏」は北米軍も日本を侵略するクソだと言って戦う相手だと認定している。

さてここで困ったことが一つある、境界戦機というアニメ「八咫烏が具体的に日本解放のためにどういう戦いをしているのか」は全く描いていない。

シーズン1ではどこの国とも無関係な無人機ゴーストが暴れてるので退治するために戦闘し、難民のために村のインフラを整備し、ゴーストが暴れてるので退治していた・・・・この「いや日本を支配してる外国に反逆をするんじゃなかったのかよ!!!」という歪みがシーズン2ではより苛烈にそのまま炸裂したと言って良い。

シーズン2では主に北米軍との戦いが描かれるが、「日本を解放するために北米軍を倒そうとしている」のではなく「北米軍が攻めてくるから仕方なく迎え撃っている」という話が基本だ。

いやそりゃそうである、日本政府が北米軍に保護されてるんだから日本の国土回復の軍事力とはそれこそ北米軍であるのでそりゃ一生北米軍が攻めてくるし、北米軍の偉い人が主人公達レジスタンスをテロリスト呼ばわりしてくる悪い人みたいに描かれるがどう考えても主人公達がテロリストである。

さらに悪いことに主人公である椎葉アモウは主体性の無い主人公なので今八咫烏という組織がそのような立場にあるということに対して何か思想を持ったりしない、それどころか「僕らは日本人が日本人らしく生きられるならそれで良いんです」とか言い出す。

いや日本政府と政治的に繋がりを持たないフリーのテロ組織で日米同盟に基づいて活動してるアメリカ軍の司令官をぶっ殺した主人公が今の活動を「日本人が日本人らしく生きられるなら」でやってるならもう完全になんかそういう極左活動家である、シーズン1は極右っぽい雰囲気だったのにシーズン2が極左っぽいとこのあたりの政治思想はまぁ別になんか一本筋が通った何かがあるんじゃなくてふわふわしてるんだなってのはわかる。でもふわふわした手付きのまま触るようなネタじゃないだろ…

とにかくこういった「日本を取り戻すと言っているが具体的に何もしてない」感が最後まで響いたような作品だったと思う。一応作品というものは掲げた大目標(魔王を倒すとか秘宝を見つけるとか)にたどり着かなくても「それを探す主人公の人間ドラマ」がしっかり果たされていれば終わった感というものは出るのだがそもそもアモウが抱えている人間ドラマなんか全然無いのだ。

さて2000字に到達したので今回はここまで
次回はまだまだ言いたいことを言っていこう

ではまた次回までごきげんよう

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