RAMUNOS

筑波山麓の雑木林に囲まれた山小屋で猫のピーと棲んでいます。 自然とくに植物と珈琲と本が…

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筑波山麓の雑木林に囲まれた山小屋で猫のピーと棲んでいます。 自然とくに植物と珈琲と本が好き。 ここでは自然の移ろいや日常の出来事をnoteします。

最近の記事

川又集落の散歩

どこか遠くへドライブでもしようかと小屋を出たが、ふと、車の中から過ぎ去る景色を眺めてもつまらなく思えてきた。そこで、近くの集落を散歩することにした。ここはいつも車で通り過ぎるだけで、これまで集落の中に足を踏み入れたことが無い。神社脇の空き地に車を停めて、カメラを肩にかけて歩き始めた。  杉木立の間から大きな屋敷が見える。生垣が屋敷を囲んで、その上から真っ白な土蔵がのぞいている。村人の姿がない。あたりはシーンと静まり返っている。道路からわずか数百メートル入っただけなのに流れて

    • 野ばら畑

       散歩していたら、畑一面に白い花が咲いているのを目にした。何だろうかと近づいた。バラの畑だった。それも野ばらだった。車から降りたら甘い香りに包まれた。ミツバチがブンブンと飛び回っている。ひとり、野ばら畑の中に入り花に埋もれて陶然とした気持ちになった。  しかし、なぜ、観賞用でもない野ばらを、こんなにも栽培しているのかがまったく解らない。気になってしかたがない。聞くにも誰もいない。しばらくしたら、おばあちゃんが野道をやってきた。そこで、なぜ、こんなに野ばらを栽培しているのかと

      • 花束

         以前から近くを通る度に、この電柱の支柱から首を出している植物は何だろうかと思っていた。今日、それがわかった!ノイバラだった。 誰かに捧げるかのように、田んぼ脇の黄色い主柱の上で丸く茂り、一面に白い花を咲かせている。  思わず、車を停めて眺めたら、気持ちがスーツと軽くなり、風景も明るさを増したようだった。

        • 謎の集落

           霞ヶ浦へ行こうとして、出島を走っていた。新しい家が建つ市街地なのに、遠くの方に島のようにこんもりと樹木が繁っているところが見えた。こういうところには強く惹かれる。近くまで行くと森はいよいよ鬱蒼さを増して、その中に一本の田舎道が走っている。  その道に踏み入れて驚いた。両側に10件程の大きな屋敷が並んでいる。どの家も周囲を杉や檜、槻の大木が取り巻いている。庭の植木も良く手が入っている。屋敷の広さはどの家も二千坪くらいはあるだろうか。広い庭の奥に見事な日本家屋が建っている。こ

        川又集落の散歩

          今朝の庭

          窓を開けたら若い緑が飛び込んで来た。 ひっそりとニリンソウが咲いている。 いつの間にか、ハッカクレン(八角蓮)が傘を広げた。 はじめて、シャクナゲが沢山の花を付けた。 雨樋を掃除しないものだから、ツボスミレが我が世の春を謳歌している。

          今朝の庭

          風景-春

          益子に向かう途中の分校跡にて

          三村集落の散策

           別に桜を目当てに散歩したわけではないが、行く先々で満開の桜と出会った。戦国時代の城跡に行くことにした。狭い坂道を上ったら小学校があった。城跡が小学校になっていたのだ。でも、いやに静かだ。広い校庭にも校舎にも人影がない。ただ、校庭の周囲の桜だけががひっそりと咲いている。ペンキで派手な色に塗られた遊戯の上に花びらが舞い落ちていた。校舎前の花壇のパンジーの色鮮やかさが目立つ。一人でその景色を眺めていたら、春の陽が溢れているというのに、なぜか物寂しくなってきた。後で聞いたら、先月末

          三村集落の散策

          沢遊び

          この頃の陽気が水遊びを誘ったようだ。近くの元幼稚園で小さなマルシェが開かれた。駐車場脇の沢の中で子供が熱心に何かを探している。お母さんが岸からその様子を眺めている。Sさん親子だ。「何をしているの?」と聞いたら、男の子は「虫を探している」という。「冷たくないの?」と聞いても、返事が無い。しばらくしたら、裏返した石の下で小さな川虫を見つけて僕に見せてくれた。ピンと尖った尾が二本ある。1.5cmほどのカワゲラの幼虫だ。カワゲラは、原始的な昆虫で、氷河期からの生き残りといわれる。冷

          シキミの花

           窓の前のシキミ(樒)に花が咲いていた。美しい濃い緑の葉に隠れて、これまで気がつかなかったのだ。近づいてよく見ると、緑がかったクリーム色の花はなかなか美しい。  シキミといえば、古くから仏教と深い関わりがある植物で、お清めや邪気払いために使われてきた。ことに西日本では、葬儀や仏壇、お墓への供え物として広く使われている。お墓などにもよく植えられている。これはシキミが持つ強い毒性と香りで、動物が墓を荒らすのを防いだり死臭を消したりするためだと言われている。  シキミは日本人との

          シキミの花

          鹿島灘にて

          山小屋が小さな盆地の中にあるせいか、時々、地平線や水平線が見たくなる。そんな時は、決まって鹿島灘に行く。太平洋の遠くの水平線を眺めていると次第に開放感が溢れてくる。なぜだか晴々としたような嬉しいような感情がこみ上げてくる。  はるか遠くの水平線の上に小さな白い点を見つけた。船だ!大洗港に向かう大型フェリー船『サンフラワー号』かもしれない。北海道から戻ってきたのだろうか。止まっているようだが、少しづつ動いている。  今日は気圧が去って、よく晴れたが、強い東風が吹いている。海

          鹿島灘にて

          こんこんギャラリー

           わが八郷(村)の誇るものの一つに「こんこんギャラリー」がある。名前の由来となった狐塚の地に、今から20年以上も昔に地元の若い作家たちが廃校の古材を使って自分たちの発表の場所を作った。以来、陶器、絵画、木工、篆刻、衣類、彫金・・・・などの個展やグループ展をほとんど毎月のように開催している。時々、音楽祭などもやる。  個性の強い作家たちが、これほど長い間、共同運営しているギャラリーは珍しいのではないだろうか? その秘訣は何かと聞いたら、飛び抜けて有名な人や大金持ちがいないかだ

          こんこんギャラリー

          芽鱗のほころび

           庭のマルバノキの冬芽がほころび、赤い芽鱗の噛み合わせが少しばかりずれて初々しい浅緑色がのぞいていた。冬が終わって木々たちが目覚めたのだ。このところの暖かさで冬芽の中の新葉が成長して、硬い芽鱗の殻を押し上げたのだ。僕は、これを見ると春の到来を実感する。  昔、お世話になった植物の先生が、「植物を学ぶものは、この芽鱗のほころびを見て、その新鮮な緑色に感動するようでなければならない」と言っていたのを思い出す。

          芽鱗のほころび

          河童の居酒屋

          どうやら僕の前世は河童だったらしい。水のある風景に妙に惹かれる。今日も散歩の途中、小さな池の脇で、「居酒屋やなぎ」という看板を見つけた。池と柳、いいネーミングだ。今は営業していないのかもしれない。雑然としている。それとも、日が落ちて暗くなる頃から開店するのだろうか。  夜になり、あたりに人気がなくなると、あの緑色にドロリと澱んだ池の中から次々と河童のオジサンやオバサンが上がってきて、ドブロクみたいな酒をしこたま飲んでグダグダに酔い、ダミ声を張り上げて明け方までカラオケ大会で

          河童の居酒屋

          麦畑

          春一番が吹いて、麦畑の緑が一層濃くなった。土の色も黒さを増した。 生命が目覚め始めるこの時期が、一年で最も面白い。草や木も、早く芽を出さなくてはと忙しい。もう、とうにホトケノザやオオイヌフグリは花を咲かせている。夜の庭で、野良猫が赤子のような声で鳴いている。遠くの山ではフクロウが鳴き交わしている。

          雪の筑波山

           朝起きて、小屋を出て筑波山を眺めたら上の方が雪をかぶっていた。 筑波山は標高877mの双峰の山で、関東地方東部の平野に独立峰のような神奈備型の優美な姿で屹立している。古代から霊山とされ、『万葉集』などでも多く謳われている。『常陸風土記』にも登場する。  山頂近くには、まだ一昨日の雪が残っている。そこに朝日が射して白く輝いている。実に美しい。神々しい。きっと、こんな時に登ったら光り輝く樹氷が見られるかもしれない。  筑波山といえば、男体山と女体山の双峰の山として有名だが、

          雪の筑波山

          西明寺の石仏

           益子の西明寺は、真言宗の古刹で、天平9年(737)行基によって開山されたと伝えられる。文化財に指定された仏像も多数ある。しかし、若い頃から度々訪れている僕にとって、最も親しいのは、まず、お寺を訪れて迎えてくれる参道登り口の三体の石仏である。  一番目は、男女のカップル像。いかにも幸せそうにニコニコしている。新婚夫婦のようだ。次は、赤ちゃんを抱いた観音様である。仏様というより、自分の大切な子供を抱っこしているお母さんと言う感じで、とても嬉しそうな表情をしている。子供が可愛く

          西明寺の石仏