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他者の自由を認める心に自由は宿る。酔いどれで書いてみる【徒然日記】

金曜日の夜。いかがお過ごしでしょうか。

今日は友人と2人で飲んだ。東京で桜が開花したというニュースを聞いたが、街中で見かけた若い女性がヘソ出しファッションで歩いているのを見て、春を感じた。自ら春を感じに行くその姿勢がいいなと思った。待つのではなく、感じにいく。私もそうでありたい。腹こそ出せなかったが、首に巻いていたマフラーをはずして夜の街へ繰り出した。

いつもよりワインをデカンタ1本分多く飲んだ。食べ過ぎた。若干気持ち悪い。

フラフラニヤニヤしながら電車に乗る。いい大人になったのに、ダメな自分を認識すると少しほっとする。普段ちゃんとしなきゃ、と思っていると、時々グレたくなる。酩酊の一歩手前で意識はある。飲酒の限界を知っていると、不思議と冷静でいられるものだ。

乗り換え駅で、おじ様が2人陽気に酔っ払いながらまたな〜と抱き合ってた。いいね酔っ払い。青春。顔を赤らめておじ様たちが笑顔で別れる様は、日本を元気にする気がした。こんなことを書いている私も、たしかな酔っ払いだった。肉体は燃えてしまえば骨になり、あなたも私もさほど変わらない人間だよな。おじ様もおば様もないな。そんなことを思いながら電車を乗り換えた。

昨晩、こんな日記を書いた。

うまくやろうとすると、どうしてもよそゆきになる。書いてみたら誰の役にも立ちそうにない文章の方が、おもしろいんじゃないか?と思った。味をしめたので、今日書く徒然日記は酔いどれのまま書き殴ってみることにします。
酔っ払っていても案外色々できるものである。酒を飲みながら働くこともあるし、料理もするし、ダーツやらマリオカートもする。ならばきっと書けるものもあるはずと思った。

今日会った友人は疎遠な時期も含めると20年以上の付き合いになる。赤ワイン好きの酒豪で、私より15歳以上年上のマダムである。こんな説明をしていると知られたらぶっ飛ばされそうで「あたいは何にも持ち合わせがないアラカン(アラウンド還暦の略)だよ!」とウィンクしながら正されそうだ。

彼女の波瀾万丈な人生を、全てではないけれど近くで見てきた。彼女も私の人生をいくつか知っている。

月に一回程度会っていろんな話をしているが、いつも2人で酔っ払って肝心の話した内容はおぼろげにしか覚えていない。何歳だっけな、何度も聞いてるのにいまだに覚えられない笑。逆に向こうは40代になった私が不思議な感じだという。出会った時は20代そこそこの、生意気な小娘でした。

それでも腹を割って話した記憶と確かな信頼感だけが蓄積されていっているのは感じている。毎回同じような話をして、飲んだくれて、またねと別れるのが恒例である。

寝る前の意識のあるうちに書き留めて置いたら、流れずに思い出として残るかもしれないと思った。残らなくてもきっと、彼女は何も言わない。彼女と過ごす時間は、常に今を共有している。過去の話で盛り上がり懐かしむこともあるけれど、それは今を縁取るための装飾のようなものだ。

こうして過ごしている時間の記憶が、少しは残っていたらいいなと思った。彼女は終活を始めたらしい。教会で洗礼を受けて、死んだら生まれた土地の海に散骨をして欲しいと子供に頼んだそうだ。
元々熱心なプロテスタントではなかったが、亡くなったお母さんのことや、生まれ育った土地に想いを馳せるうち、そう決めたそうだ。

「死んで土に埋まるにはさ、墓が必要でしょ?墓は金がかかる。残されたこどもたちに、金の苦労はこれ以上かけたくないのよ。魂は残るから。骨が眠る場所はどこでもいい。でも手を合わせる場所を設けるとしたら、私の生まれ育った海にしてちょうだいって言ったの」

自分も墓はいらないと思っている。死生観が似ている。彼女の遺志を尊重したいと思った。順当に行けば、私より彼女が先に死ぬ。その時には残された子供達も立派な大人になって、母の死を受け入れるとは思うけれど。
悲しむ子供たちの背中をさすってあげられる人間でありたい。また、友人として感謝をこめて海に還してあげたい。

彼女は私の自由なところが好きだと言った。常識にとらわれない、一般に染まらない、ゆるやかで自由なところが一緒にいて心地いいと言ってくれた。
酔っ払いの言うことだから話半分には聞いていたが、私も酔っ払っているので素直にうれしかったと書き留めておこう。

彼女のこれまでの人生は決して自由ではなかった。あきらめるのと似たような気持ちで、悲しくても笑い飛ばして生きてきたのだと思う。言い訳を一切しない人だから、彼女の愚痴は何時間でも聴いていられる。うん、うんっていつも聴いている。

私の身勝手で疎遠になったことがあっても、彼女は私を責めなかった。自由奔放なところ、一般論にとらわれないところが好きだと言ってくれた。他者の自由を認められる彼女は、肉体よりも心が自由なのだと思った。「だてに生きてないからね」と言って、彼女は笑った。

店を出ると風が暖かかった。歩きスマホをする若者とぶつかりそうになり、彼女は数秒立ち止まった。

「あたし歩きスマホする奴めっちゃキライ」

そういう素直な彼女を好きだなと思った。好きにふるまっているようで、周りは見ている。自由とは責任がともなう。そして、孤独である。そんなことを思いながら、またねと言って彼女と駅で別れた。

明日が土曜日でよかった。
意外と酔っ払ってても文章は書けるものですね。おとなしく眠ります。

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