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新人の時の大きな決断~チャンスの神様は前髪だけ~

人生には、いくつか分岐点があると思う。
自分の役場人生を決定づける大きな決断が、私にはあった。

私が上市町役場で最初に配属されたのは、産業課の商工観光班だった。
役場に入る前に人事担当だったHさんから、「どの部署に行きたいか」と聞かれ、上市町には親類がいるというくらいしか所縁がなかった私は「外の目を活かせる観光部署に行きたいです」と熱望したのだ。
単純に観光系だと楽しそうだったから、という理由が大きい。

晴れて希望通り、商工観光班に在籍となった。
主務は「労働」であったが。
(人事担当だったはずのHさんがリーダーとして配属されていて驚いた)

上市町のような小規模自治体は、ひとつの班の業務範囲がとても広い。
当時(13年前)の商工観光班は、観光、自然保護、山岳遭難、商工、都市公園、労働、観光協会など多くの業務を抱えていた。(現在は観光協会は独立したり、企業支援班ができたので少し違うだろう)

そのため、ハローワーク滑川で行われている労働担当者の会議に私が出席していた。
1年目の冬だったと思う。
その会議の中で、富山労働局の方からハローワーク滑川は県内で唯一有効求人倍率が低いので、応募して採択されれば国の「実践型地域雇用創造事業」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000048510.html)を活用できるといった説明があった。

事業者向けのセミナー+求職者向けのセミナー+就職促進(説明会や求人情報提供)といった基本メニューの他に、実践型として商品開発や販路拡大、観光誘客等ができるパッケージの事業である。
自治体を中心に関係機関と協議会を作って、その協議会で人を雇い、事業を実践していく。
国からの補助率100パーセントでできる(つまり会計検査の対象になる)予算規模も関わる人も大きな事業であった。

(やばい)

事業の説明を聞いていた時、どきどきした。
この事業を上市町で行ったら、絶対に上市町にとって、プラスになる。
けれど、大変で、困難で、険しい道なのは間違いない。
何もしないほうが、楽だ。
職場に戻って、こんな事業の説明がありましたってさらっと回覧したところで、誰もこの事業をやろうなんていう人は、いないだろう。
ただ、知ってしまった。
そして、想像してしまった。
めちゃくちゃ迷いながら、困りながら、それでも楽しく仕事している自分の姿を。
なので、会議から戻った後、ものすごくどきどきしながら、リーダーのHさんにお話しした。
するとHさんは「俺が責任とるから、やってみればいいよ」と言われたのだった。

そこからは事業をしている他市町村にこれから事業の採択を目指すので、計画書が欲しいと電話でお願いしていただき、(もらえるのは自治体ならではの利点だなと思う)隣の席のKさんに「事業採択されなかったらももゆきさんがやっている事って全部無駄になるんじゃないの?」っていじめのような真っ当な意見をもらいながら計画書を作ったり(※Kさんにはものすごく助けられています)、通常勤務時間内ではじっくり計画書作れないので時間外に計画書うんうん悩みながら作ったりして、なんとか無事に県内初の採択が決定し、そこからは怒涛の日々だった。

そうしてできた上市町雇用創造協議会は、協議会で雇用されたメンバーが素晴らしかったのもあって、めちゃくちゃ実績を作ったと思う。
多くの素晴らしい講師の方に上市町に来て関わっていただき、いくつかの団体ができたり、商品ができたり、大きな広がりとなった。
協議会がきっかけでできた女性起業家グループ(これから起業目指す人も入ることが可)「市姫東雲会」は、今年会ができて10周年になるのだという。あっという間の10年に驚き。

実践型地域雇用創造事業を行わなかったら、まちづくりをしたいと今も強くは思っていなかった気がする。

あの選択は、間違ってなかったよ。
そう言える選択を、これからもしていきたい。

#あの選択をしたから


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