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【短編小説】路地裏のどこかにひっそりと佇む喫茶店 〜疲れた時に、寄り道いかが?〜


とある雨が降る日の夕方。
わたしは彷徨っていた。

ここ最近、星たちが見えない。
出逢いたい世界が見つからない。

これまでは、微かであっても
輝きが見えていたのに。

傘を指しながら、
行く先も決めずに、歩く。

どれだけ歩いてきたかわからない。

気づけば、空は暗くなり、
建物もまばら、人の行き交う気配が少なくなっていた。

この道の先をどんなに行こうとも、
お店というようなものはない。

その情報だけは、何かで見たことがあり、記憶していた。
木々が生い茂る中に一本の遊歩道があるだけのはず。


それでも、今のわたしにできることは、
行くあてもなく、その道を歩くしかなかった。

無意識にも、ため息をついていた。

「ひと休みしたいなあ。」

歩き疲れたのか、
考えつかれたのか、
途方に暮れすぎたのか、
ぽっと一言、本音が飛び出した。


そうつぶやいた途端、電灯がつき、
一本の道を照らした。
まるで、わたしを誘導をしてくれているようだ。

導かれるまま、歩みを進めていくと、
一軒の建物が見えた。


「入って…いいのかな…?」

建物には、看板のようなものが見えるが、
なんと書かれているのか見えなかった。

外から様子を伺ってみると、
中には数人の人がいるようだった。
マスターと思われる方が、手招きをしてくれた。

『ようこそ、路地裏カフェ(nannohanashidesucafe)へ。どうぞ休んでいってください』

そう声をかけられ、
ちょっとだけ不安になりながらも、
建物に入ってみることにした。

「おじゃまします」

人見知りがはげしいわたしは、
輪の中に入らず、隅の席に座って
人間観察をしていた。

それはそうと、
こんなところにお店なんて
あったなんて知らなかったけれど、
お客さんが結構いるみたいだなあ。
知る人ぞ知る場所なのかな?


そんなことを思いながら、
マスターに入れてもらったコーヒーを飲みつつ、
休ませてもらうことにした。


建物の外観からは、
まったく想像がつかないほど、
穏やかな雰囲気だ。

なんだろう…。
不思議なほど、包容力がある。

お客さんそれぞれの個性があるようだ。

人間観察的なノリで聞いているわたしには
なんのはなしかわからない内容ばかりだった。

なのに、
そんな個性豊かなお客さん一人ひとりと
マスターは話をしている。

よくわからない内容を、
マスターが、ものの見事に収めていく様子に
感心していた。

常連さんも多いのか、
ものすごく良く特徴を捉えた会話。


体の疲れを癒やしながらも、
無意識に考えてしまうのは
わたしはこれまで見えていた景色を
感じ取れなくなったこと。

再び、悶々とし始めていた。


思いにふけているわたしに気づいたのか、
マスターが声をかけてくれた。

『なにかわからない。
でも、わからないという響きで、
湧き上がってきたものがあるのなら、
それも一つの世界なんじゃないですか?』


「なにかわからない世界、か〜。」


コーヒーを飲みきり、
身体も少し楽になったから
お代を払って、お店を出ることにした。

「ごちそうさまでした」

『また、気が向いたら起こしくださいね』

ありがとうございます、と
軽く会釈をして、お店を出た。

建物に入った時に降っていた雨は、
いつの間にかやんでいた。



あれ、そういえば、
なんであの店のマスターは
わたしが悩んでいることを
知っていたんだろ??


さっきまでいた店のことが気になり、
ふりかえって見たが、
行きで見た光の道は
見えなくなっていた。


そのかわりなのか、
空の暗さが際立つ。


最後にマスターからかけられた言葉を、
今一度反芻させる。


「わからない。見えてこない。
それも、ひとつの世界なのかな。」

前を向いて歩き出した。

その瞬間、1つの星が、微かに輝きを放った。


後ろを振り向くと、
先ほどまであった道を照らす電灯が、
見えなくなっていた。



路地裏。
また出会えるかなあ?


今日も、路地裏への道を探しながら、
街を散策するのだった。




#なんのはなしですか



こんにちは。

note界のカフェ的存在になりたい、RaMです。

わたしの推しは、圧倒的にスタバですが、
カフェはカフェでも、 
チェーン店ではありません。

個人経営のまったり営業されている
古民家カフェのイメージです。


#挨拶文を楽しもう

蒼広樹さんの企画を、お借りいたしました。

先日、蒼さんの記事で
「今日のおすすめ」として、ご紹介いただきました。
驚きとともに、とってもうれしかったです。

この企画への招待だと受け取り、
早速挨拶文に挑戦してみました🌱 

挨拶文、これ合ってます〜?😂
楽しくできれば、正解なのでしょうか?

みなさんの投稿を読んでいると、
キャッチーだったり、
その方の印象を的確に捉えられていたり。
挨拶文、みなさん上手すぎませんか?!

何事も数をこなすことが、大切ですよね。
まずは、これでいってみます✨


さて、今回は、ふわっと唐突に
わたしの脳内におりてきた世界観を
そのまま形にしてみました。

お名前は出さなくとも、
きっとわかってくださったことと思います。

勝手に、無断で、
喫茶店のマスターとして、
登場させてしまいました。

コニシ木の子さん。


飛び火してしまい、失礼しております。

穏やかに見守ってくださり、
どんなお話でも、なんのはなしですかと
回収してくださることと信頼して、
わたしの中の物語に登場していただきました。

なんのはなしですか
私に何させてるんですか
創作大賞やらずに、なにしてるんですか

という的確なご指摘とともに、
回収をお願いいたします🙏



最後までお読みいただき、
ありがとうございました!

スキ・コメント・フォローなどいただけると、
大変励みになります。


ここまでお読みいただいたあなたに、
幸せが訪れますように🍀

また次の投稿で、お会いいたしましょう。


*--*--*--*--*--*--*--*--*

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