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うたたね日記ー詩集ー

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記事一覧

夕日が沈む

夕日が沈む いつも急いでいる毎日だから ゆっくり今日という日を みとろうじゃないか 車を脇…

2

闇は深いほど星は瞬く

今日もまた暮れていく 鳥たちはねぐらへ戻り また日が昇るまで 闇の中に消える 闇は深いほど…

1

君はいつも温かい

山の夜は長い ごうごうと風は吹き抜け 雪が窓枠に張り付きながら積もっていく 窓や扉は硬く鍵…

風が唸る

風が唸る 温かいスープが欲しかった 白い凍った空気が 容赦なく無力な体を 氷の世界に誘い込む…

一枚の葉が落ちるとき

一枚の葉が落ちるとき 思い起こす ちいさな新芽がみえたとき やわらかな若葉が次第に広がると…

魂は循環する

風景は生きている 注がれた魂は地中に潜り また地上に出る 上空を舞い 天空へと導かれる 手の…

里山は静まり返る

秋の花たちは冷たい風を受け 時間がとまっているかのように 静まり返る里山 キジが2回ケーンケーンと鳴く そして 思いついたように突然飛び立つ 稲刈りの終わった田んぼの畔には ミゾソバ、イヌタデ、センダン草などが まだ粘り強く咲いている ミゾソバのつぼみの色が 濃いピンクに染まっている そっと持ち帰って生けてみる どんな色に咲くのだろう つぼみはじっと固く口を結んだまま けっして開かなかった 山里は静まり返り 秋が深まるのをじっと待っている 燃え尽きる直前の蝋燭の灯よう

君の世界を持っていた

小さな君は  もう君の世界を持っていた  わずかに動く手指だった赤ちゃんから  君の世界は…

父の命日

山笑う 踏みしめる ぽつりぽつりと咲く 紫の山リンドウをよけながら 息を吸い込む あまりに多…

やまんば大地に這っている

タネツケバナが咲いたら米の種を水につけよう 雪が解けたら大地を耕しジャガイモをまこう カッ…

東北のカムイは雪解けに笑う

東北のカムイは雪解けに笑う そちこちから命が噴出し からからからと楽しげな音 雪解けには山…

おやじの背中

ガラガラと豆の選別する音がなる 小さな子どもは遊びをやめてすっ飛んでくる そしてまねをする…

そのままに存在する

「かーちゃん、家の前にほら 井戸があるでしょ 木の蓋がかぶせてある そこにヤギがいるんだよ …

まぶたに映る生命力

きらきらと光る根雪の中に 鶏も犬も鼻を押し込み ヒンヤリの中に息を吹き込む こうすることで食べ物をみつけるとか そういうことではなく ただただ生命力を前面に 吐く息に任せている 根雪は青くまぶしい まぶたの裏に光が残る その残像には たくさんの光る魚が映っている 光る魚たちは わたしに生命力を与えるのだ 与えるのだ