🇦🇺 UX Australia2023に参加してきました！

2024年1月4日 00:29

こんにちは、やまもとです。

8月末にオーストラリアのシドニーで行われた「UX Australia 2023」に参加して来ました🙌🏻 すっかり投稿するのを忘れてしまっていたのですが、せっかく海外のデザインカンファレンスに参加したので現地でのわくわくと学びとを共有しようと思います。

UX Australiaは、オーストラリア最大級のUX Designに関するイベントで、年に一度シドニーとメルボルンで交互に開催されます。 WorkshopとSessionが2日ずつ計4日行われるほど大規模なイベントで今年は現地と配信のハイブリット系式でした。

もちろん、オーストラリアだけでなく、欧米などさまざまな国から皆さんが登壇します。

たくさんの興味深いセッションがありましたが、今記事ではDesign Opsに関するひとつのセッションにフォーカスして、振り返りたいと思います！

初のオーストラリアへ 🚀

私は、6月からニュージーランドに在住しています。海外規模のカンファレンスを体験してみたいなと思っていた矢先、オーストラリアでこのイベントがあることをしりました。

せっかく飛行機で３時間の距離にいるし（日本からだと10時間）、オセアニアのデザイン事情ってあんまり聞かない…行くしかないな…？いっちゃおう！ということで、５日間のオーストラリア旅を楽しむことにしました🤭

イベントの雰囲気

会場は、シドニーの街中にある大きなホテルでした。なんといっても、朝が早い…。8:00に開場、9:00スタートでした。

はいった後の受付で、ネームプレートとグッズがはいったトートバッグを受け取りました。

そして…、バリスタがいる！！！

NZで別のイベントに参加したときにもびっくりしたんですが、オセアニアはカフェ文化が盛んなので、イベント会場にバリスタさんがいて、その場でドリンクを作ってくれるんですよね🤤 基本的なメニューは作ってくれます。ありがたい…。

ドリンクをもって早速会場へ。広い！！わくわくしますね

あと、印象的なのはタイムテーブルと食事ですね。ビュッフェスタイルの軽食を取りながらカジュアルにコミュニケーションをとれる時間が多くありました。

1~2セッションの合間に短い休憩がたくさんあり、参加者同士でコミュニケーションも楽しめるし、糖分補給もできて参加者に優しいタイムテーブルでした。

軽食やランチ自体も、ホテルの料理なのでとてもおいしかったです。

また、streamtextという文字起こしサービスを導入していました。これはウェブサイトにアクセスすると、リアルタイムでスマートフォンからセッション内容をテキストで確認できるものです。ネーププレート裏にあるQRコードからいつでもサイトを読み込めるので、ディスプレイが見えない場合も、手元で確認できるのでよい体験でした。

それでは、とくに興味深かったセッションについてご紹介します。

・・・

Driving organizational change with co-design

── コデザインで組織変革を推進する

このセッションは、初日一発目のKeynote。

スピーカーは、ニュージーランド発クラウド会計ソフトを開発しているXeroのSr.プロダクトデザイナー Erin Casaliさんです。

組織改革におけるデザイナーの重要性に関する内容でした。

プロダクトは組織を反映する

デザイナーはプロダクトの体験やデザインを担うが、忘れてはいけないことは、チームメンバーと一緒にプロダクトをつくっているということである。

メルヴィン・コンウェイ氏が提唱したコンウェイの法則では、以下のように述べられている。

Any organization that designs a system (defined broadly) will produce a design whose structure is a copy of the organization's communication structure.

── システムを設計する組織は、その組織のコミュニケーションを模した構造の設計を生み出す

Conway's Law

よりよい組織づくりが、よりよいプロダクトに繋がるということが示されている。だからこそ、それぞれの領域を超えて組織改革に取り組む必要があるのだ。

デザイナーが組織マネジメントに適している理由

デザイナーは組織マネジメントに適している４つの重要なスキルをもっている。

1️⃣. Listening
　　∟ 傾聴し、そこから課題を抽出する
2️⃣. Facilitating
　　∟ mtgの進行はもちろん、人間関係も円滑に進めようとする
3️⃣. Modeling
　　∟ 複雑なものを簡単にし、理解しやすいものにする
4️⃣. Interfacing
　　∟ 人がみるものをわかりやすくみせる（社内ドキュメントなど）

これらのスキルをもったデザイナーだからこそ、組織改革の中核を担える可能性があるとEllinさんは言う。

組織改革のモデル

組織を変えていくためには、どのようなアプローチがあるのだろうか。まず前提として、組織はOrganization / Group / Teamの３つの階層的サークルから成り立っていると捉える。

1️⃣. Top down

最上部に位置するOrganizationを起点に、段階的に組織に浸透させていくモデル。一部のGroupやTeamと計画（Consult）・テスト（Pilot）をおこない、確証を得た後全体に展開（Rolluout）していく。

2️⃣. Mid expand

真ん中に位置するGroupを起点に、team単位からテストを行うモデル。成功を確認した後にOrganizationへ推奨（Promote）をし、組織全体へと展開（Rolluout）していく。

3️⃣. Bottom up

最下部に位置するTeamから、上部へ推進していくモデル。ほかのTeamやGroupでテストをすることで支持者をみつけ、変化をさらに広めていくこと（Champion）が重要である。

4️⃣. Influence

こちらも最下部に位置するTeamを起点に、上部へ推進していくモデル。Bottom upとの違いは、実証をもとに変化を推進していくのではなく、Top downやMid expandにむけての第一歩（提案）という意味合いが強いことである。変化のためには、最初に「味方」をみつける（Ally）ことが重要な場合もある。

これらは、組織改革時に必ず発生するステップであり、改革の計画を立てるのに役立つ。しかし、いくら計画を立てても、ひとは変化に抵抗する生き物であり、急な新しい施策を簡単には受け入れづらいものだ。

実験的なアプローチを採用する　

そこで、「テスト」という提案からスタートすることが重要である。実行する側も変革プロセスが100％正しいと思っているわけではない。あくまで「テストとして試してみよう」という姿勢で臨むことが、ひとを巻き込む上で大切だ。

テストは、Plan / Run / Reviewの３つのフェーズから成る。

Plan : 計画フェーズ
このフェーズでは、以下の２点が必要である。
① 問題と解決手段を明らかにし、明確な仮説をもつ
② 誰かのために「自分が」ではなく、「一緒に」するという意識をもってステークホルダー全員を巻き込む

Run : 実行フェーズ
このフェーズでは、３つのステップを踏んでいく。
① キックオフ：テストが行われことを全体に宣言する。影響を受けるメンバー以外にも提示することで、社内の透明性が保たれ、迷ったときに振り返るべき道標にもなる
② チェックイン：メンバーからフィードバックを得る
③ アジャスト：仮説検証のためテストの核は変更せず、微調整を行う

Review : 振り返りフェーズ
レトロスペクティブをおこない、このテストを踏まえた今後の動きを決めます。
① Keep：成功した場合その施策を続ける。必要に応じて、組織変革モデルに則って展開していく
② Repeat：見直しが必要な場合、実験内容に関して調整を行い再検証を進める
③ Revert：失敗した事実を受け止め、辞める。

いくら慎重にものごとを進めても、失敗してしまうことは珍しくない。失敗したことを受け止め、辞める判断も必要である。一度失敗してしまった実験を、再度試してみたいケースも発生するだろう。しかし、その場合「待つ」フェーズがあることを忘れてはいけない。

時が来るのを待つのはもどかしいが、たくさんの変化を同時に進めると協力を得づらい。施策をする際に周りの反応がよくないときは、時が来るのを待つことも大切である。失敗から学びを得て、時を待ち、問題が再表面化した瞬間を捉えて、リトライすることで、うまくいくケースがあったとEllinさんは述べた。

社内政治とならないために

全体で目的が一致していないために、カスケードダウンされてしまう３つの要因がある。

① 明確性の欠如：とにかく走り出すのではなく、やるべきことやゴールは、最初にきちんと決定する必要があります。
② 意図共有の欠如：ほかのチームが非協力に見えることがあるかもしませんが、目的やゴールにすれ違いがあるだけかもしれません。意図の認識の共通化を図りましょう。
③ 組織の欠如：組織が大きくなればなるほど、メンバーも増えるので、それなりに組織も分割していく必要があります。

３つの要因に気をつけることで、当事者の自己満足のような施策を止めることができる。

私たちの目的は、普遍的なソリューションを見つけることではない

最後に、Ellinさんは以下のように述べた。

Time is your friend. Time is your enemy.
──時は、味方であり敵でもある。

変化を短期間で起こすことはできない。実験プロセスが必要であることを人々に理解させることも重要だ。変化を起こし始めるのは早い方がよいが、人々に受け入れることを強いたり、一度に多くの変化をもたらそうとすると、人々は抵抗する。

私たちは、普遍的な解決策を見つけようとしているわけではなく、自分たちの組織にあった解決策を見つけようとしてるだけである。その点を念頭において、時間をうまく活用しながら組織に適したを変革していく必要があるのだ。

セッションをみて

最近、デザインの界隈の中でもアツい組織に関する話題でした。デザイン組織のみでなく、組織全体に焦点が当てられていて、とても面白かったです。

デザイナーが組織改革にどうして向いているのか、どのように参入していけば良いのか、デザイナーの可能性にわくわくするセッションでした。

またErinさんのセッション中、Sketch groupの方がグラレコをしてました。すごい…。

参加者の皆さんと、「心に残ったテーマ」について話すときに、ほぼ必ず最初に名前があがるほど面白く大好評でした 👏

参加してよかったこと

日本のイベントとの差分を発見できたり、興味深いセッションを聞くことができたり、総じてとても楽しい２日間でした！

そのなかでも参加して一番よかったことは、やはり出会いです。オーストラリアで活躍しているたくさんのUXデザイナーの方々と出会い、お話しをすることができました。

お互いの経験や開発環境について共有したり、国境を越えても共通するデザイナーの悩みに盛り上がったり、とても有意義な時間でした。

翌日、観光をしてNZに帰ることを伝えると、シドニー観光プランも考えてくれました😌　おすすめしてもらったコースどおり、BLACK STAR PASTRYというカフェでウォーターメロンケーキを買い、ボンダイビーチでゆっくりしました🏝️

海外カンファレンスに参加する楽しさを経験してしまったので、今後も積極的に参加していきたいと思います🚀　2024年のメルボルン開催のカンファレンスも行きたいなぁ…。

ご覧いただきありがとうございました！

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