昨年買って後悔したもの第一位

前置き

僕は日々、ガジェット系YouTuberが「今月のベストバイ」とか「今年買ってよかったもの」「今年買って悪かったもの」を並べたりランキング化したりした企画の動画を出しているのを見て、うらやましいと思っていた。楽しそう。俺もやりたい。そういうことである。

しかしそういうことをやろうと思ってもそう簡単にはいかないのであった。そもそも自分が何を買っていたのか思い出せないし、ガジェットブロガーやYouTuberのようにバカスカと最新家電を買っては売るみたいなことはしない。ガジェットYouTuberは資本主義の悪しき走狗で、買ったものをすぐ売ってすぐ新しいものに乗り換えるので全くSDGzではない。というか信用ならない。あいつらはリセールのためにしかものを大事にしない。買い物をしないとやつらの商売にはならないが、一般人にとってはあまりよろしくない。必要を超えたものがほしくなる。

僕もようやくこの頃になって「足るを知る」ではないが「あるものでやりくりしよう」「満足せねばならぬ」という気持ちが多少有意味に芽生えてきた。それまではほしいとなったらほしくてほしくてしようがなくていてもたってもいられなくてそわそわして一週間を過ごし二週間経たないうちに買っている、とかそういう感じだった。アマゾンのセールがあると「お得だから今買わねば!」と典型的なフロートとして扇動された欲望に流されていたが、去年はほとんどそういうこともなくなった。

ただ、なくなった理由は正直、社会がかなりインフレしたからである。インフレがもっとも実感されるのは恐らくコンビニだろうが、200円だったサンドイッチが今は300円くらいになっている。300円だったサンドイッチは420円くらいになっている。めちゃくちゃ上がっているのである。マクドナルドも定額帯の商品が消えていき、都心を中心に傾斜的な値上がりがされている。

ロープライスのものがインフレしているということは、ハイプライスのものはさらにインフレしている。僕の関心があるところでいえばカメラがそうなのだが、22万円くらいがスタンダードだったものが今は30万円スタートで、一段階上の本当のプロモデルを買おうと思うと、かつては実勢価格30万円くらいだったものが60万円〜80万円である。車が買えてしまう。

それでいうと値上がりが実感しやすいのはスマホで、昔は8万円出せば高級モデルだったiPhoneも、いまは最高級一歩手前で18万円くらいである。旧機種を下取りに出しながら回せば手出し10万円くらいで2年ごとに回せるよね、ということかもしれないが、2年ごとに10万円も払っていられないだろう常識的に考えて。20万円で買ったらせめて5年は使いたい。そうすれば年4万円の運用になる。……あれ、それなら2年10万だとあまり変わらない……? 私は考えるのを止めます。私はiPhone12 miniを使っています。

話を戻すが、だからそんな目覚ましいものを買っていない。強いて言えば本はそこそこ買ったりしているが、本はガジェットではないというか、僕の中では別枠なのでそれは避ける。その前提で調べると、買って便利だったなと思うものは、65Wの給電アダプタとそれにつなぐTYPE-CとLightningのケーブルだけだったりして、しかもそれ一昨年も買ってるやん、とそういう世界である。電気系のアイテムは生活の利便性に直結するが、風情がない。

もう少し大きいものも買っていないわけではないが、なんとなく言うほど活用できなかったな……無駄とかでは全然ないんだが……という実情がある中で、ようやく表題の「昨年買って後悔したもの第一位」の話だ。

去年買って後悔したのは…

Macmini、M2Pro 10-16-16、16GBメモリ、1TBストレージ、である。

これはM2ProのMacminiを選択して、ストレージだけ1段階上位にしたプランだ。金額としては212,800円。やや高いが、高い中では安い、自分としては考え抜いたコストパフォーマンスのもっとも最適化された組み合わせである。本当に調べ抜いて考え抜いて選んだ。

しかし、恐らく今自分が体験しているパフォーマンスで言うのなら、M2Macmini、16GB、1TBストレージを選べばほぼ同じだと想定される。その場合の価格は168,800円だから、50000円弱節約できただろう。決して小さくはない価格差である。逆に言うとこのプランはけっこうみんなにお勧めできる。

後悔1 メモリ

後悔1はメモリを16GBにしたことだ。これは32GBにしたことであった。Proは16か32の選択、無印は16か24の選択で、無印であっても24にする意味はある。

そもそもなぜPCを買うかという目的が重要だ。大した目的がないのならiMacがオールインワンで丸いし、Macminiも無印の方がコストパフォーマンスがいい。僕の場合はメインで使っていたiMacが壊れたので、デスクトップの代替が必要になったのがまず1である。ではデスクトップに何を求めるかというと、堕落した使い方に耐えるハイスペックである。堕落した使い方というのは、ブラウザのタブとかを無限に開きまくったり、フォルダを開けっ放しにしたりというやつだ。それに加えて、写真をいくらとりこんでもスワップしない感じや、動画編集がぬるぬるできることを期待していた。

この点をベースにとりわけマックシリコン(M1とかM2のあれ)の性能について、動画系YouTuberの情報やスペックのベンチマークを調べていくと、確かにマックシリコンはすごく性能がいいのである。しかも、16GBというメモリは決して現代では多くないのだが、マックシリコンならそれなのに、インテルCPUで32GB積んでいるのと同じようなパフォーマンスが出る、というのだが、確かに比較してみるとそのような検証ばかり出てくるのである。

しかもそれを裏打ちする個人的な検証もあった。2021年頃に僕はM1のMacbook Airを買った。これこそ登場したときに業界に衝撃を与えた機種で、未だにたいへん愛用している僕のメインPCである。これを購入した理由は、当時所持していた他のPCでは大量の写真編集が読み込み速度面でもあまりにも遅くて厳しかったからである。そこでこれを導入してみたらまあ素晴らしいパフォーマンスで、正直いまでも全然素晴らしい。もしも万能のノートPCがほしいという人がいたら、これのメモリ16GB版があったら断然お勧めである。めちゃくちゃ使える。8GBはやめたほうがいい。そしてM2とかはいらない。ベンチマークではM2の方が優位だがほぼ体感差がない。そしてM1MBAはそれ以降のノートと比較するだに音質がいい。ふつうに使っていてそれを感じる。これは2021年のベストバイだっただろう。なお、これを仕事のためにこれを導入したのだが、その仕事相手が飛んだので仕事はなくなった。最悪である。

そういうことで16GBでよいだろう……と思ったのが間違いだった。現在運用しているこのMacmini、使っていてかなりラグる。おまけに「メモリが足りません」系のアラートも割と出る。体感で、M1MBAよりもちょっと遅くない?とすら感じたりする。M1MBAでは感じないストレスを感じるのである。この要因は、もしかしたら外部モニターとの相性や、そもそもM2が微妙とか、そういうことがあるかもしれない(とはいえCPUの選択肢はほぼ無いが…)。が、けっきょく思ったのはメモリの絶対量である。

多分なのだが、写真や動画をガリガリと編集しはじめたら(最近やっていない)、やっぱり快適だな、と思いそうだな、とは思うのだ。しかし、日常で行うことといったら、趣味と仕事がいりまじった領域で、ひたすらSNSをブラウザでひらき、ひたすらYouTubeや動画サイトをブラウザでひらくという、これである。この用途には通常のメモリ量がかなりものを言うというのが僕の直感である。いやいやM1MBAも16GBなのに大丈夫なんでしょ? と思われるかもしれないが、おそらくデスクトップということで「堕落した使い方」の堕落度が2倍以上になっている。

さらにメモリ量が重要という点をなぜ言うかについてだが、僕は去年まで2012年版のiMacを使っていた。もう近年ではスペックの問題でiOSのアップデートができず、Mojave止まりだった(それ以上行くとまともに動作しないし、このバージョンでもかなり重くてやばい)。なのだが、だいぶ普通に使えていたのである。動画もスムーズだったし、写真編集などはGPUの問題などもあって厳しさを感じていたが、読み込むだけならそこまででもなかった。これはメモリを32GB積んでいたからである。iMac、当初は8GBしか積んでいなかったが、あとから拡張できたので最大値まで載せた。これは大正解であった。

Macminiはあとからメモリ拡張できないため、16GBにして「足りない!」となったらおしまいである。32GBにして「オーバースペックだったかな…?」となったほうが絶対に幸せである。逆に32GBで足りないとなったら諦めざるを得ないから割り切りやすい。その点で僕は猛烈に後悔している。56,000円上乗せになろうとも、32GBにしたほうがよかった。

後悔2 ストレージ

もう一つの後悔はストレージ量である。最近はデフォルトの512GBで済ませている人は少数派だと思うが、有識者の間では1テラはほしい、というのが基本であった。内蔵SSDは128GBからの時代もあったので、OSを動かすのは内蔵SSD、保管だったりその他のファイル置き場は外付けHDDなどで確保、というのが特にWindows自作系の人にとっては基本的な発想だったと思う。

1テラあれば日常ではそこまで問題はないし、それこそ、外付けHDDではなく外付けSSDを使えばほぼ問題なかろうと思っていた。TYPE-C接続なら高速でしょ?という感じで。

しかし、ここはマジで調べが足りていなかった。内蔵SSDの読み書き速度と、外付けSSDの読み書き速度は、マジで10倍は違うのである。いや、10倍は盛ったかも知れないが、一つ桁が違う速度差である。これは自分でベンチマークを取って初めてわかった。だから内蔵SSDから外のディスクへの移動は時間がかかるのである。

ということは、写真編集や動画編集は内蔵SSD内で行うのがいちばん快適ということになるが、こいつらも平気でリソースで100GBとかいったりするものだから、編集したら150GBくらいになって、それを5回も繰り返したらもうお仕舞いである。2TBなっても12回程度だろ、という話はあるかもしれないが、でかいデータをいちいち外付けに移動しなければならないというのは大変すぎるので、その頻度は少ない方が日常のQOL的によい。さらにいえば、内蔵SSDは日常使用におけるメモリ代替もかねているので、このSSDに余裕があること、そしてこれが高速であることは、日常のパフォーマンスにも直接関連しているから、その重要度はさらに高まる。そして内蔵SSDの拡張や増設はMacminiではできない。

この点から、ストレージは2TBにしておけばよかったと非常に後悔した。2TBにした際の追加コストは56,000円である。

総括

僕の現在のプランに対してメモリとストレージを増設すると、112,000円の追加投資になる。正直、これは高すぎる。と普通には思うと思う。しかしながら、重要なのは、これらのプランは、後からは増設不可能というのが最大のポイントだ。決めたプランで購入したあとは、お金を出してもこれらのものを獲得することはできないのである。その取り返しのつかなさを天秤にかけると、112,000円は許容だったかもな、というのが僕の気持ちである。もちろん、これが高すぎるのであれば、メモリかストレージのどちらかだけにするという手もある。その場合はメモリの方がおすすめだ。ストレージは一応1TBあればやりくりできる。

11万円のお金があれば、逆に他のものに投資することで結果的に似たようなパフォーマンスを得ることができる、という考え方もあるかもしれないし、僕も考えないわけではなかったが、たとえば11万円払って別なPCを買ってもけっきょくこの場合のパフォーマンスは出ない(ノートPCを持っていない人が買うといいことはあるかもしれない。高機能なスマートフォンに当てるという手もあるかもしれない。しかしそれはやはりサブ目的である)。逆にこのスペックのPCを買おうとしたら、本体価格もついてきてまた30万円払うことになる。これはやりすぎだ。だとすれば、今使っているPCを売ってそれを原資に理想のPCを買うというのが実際にはいちばんの最適解かもしれないと思う。とはいえそれは僕の嫌いなタイプのガジェットYouTuberの仕草である。

僕はといえば、今使っているMacminiを売って交換しようかとか、そういう考えはない。不満はあるが、考え抜いて選んだ面があり、多くの面では十分なパフォーマンスを出していると思うし、たぶん動画編集やゲームなどをがっつりとやろうとしたらかなりいい結果が出ると予測される。M2ProというCPUを持ったPCがほしいという上では、このプランはパフォーマンスがいい選択だ。ただメモリは増やした方がいい。なお、何よりもう一年くらい使っているし、そもそも下取りに出すとか面倒くさい。僕は一回買ったらとても長く使うスタイルである。このMacminiも、あと7年は現役で働いてもらおうと思っている。

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