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小樽文学館 ボードゲームとTRPG展を見学したら「面白いとはどういうことか」を考えるきっかけになった 2024年4月


小樽文学館にて開催されている「ボードゲームとTRPG展」をみてきた。
とんでもなく得られたなぁと思っていて、長文になった気がする(無事なった)
言語化できない部分もたくさんあるけど、感じたことの言語化を図る。

会場入り口のポスター

ボードゲームとTRPG展は元職場の同僚で友人が主催された取り組み。この展示会の準備段階から話を伺っていて、ボードゲームを公共施設で展示すること、「遊びの内容」ではなくて「物語」に注目する、ということで「すごい着眼点だなぁ」と衝撃を受けたことを覚えている。
ボードゲーム好きとしてはぜひ一度見たい、と思っていて休みのタイミングで見学に行くことができた。
「物語」に焦点を置いた取り組み、というのはどういうことなのかなぁと思っていたが会場に入って最初に目につく展示に以下のものがあった。個人的にはこれを見て「相当面白そうだな…!」とワクワク感を高めてもらえた。

ボードゲームとTRPG展の会場の序盤にある掲示物

ボードゲームに限らず何のゲームでもそうだけど、「運の要素」と「戦略の要素」がある。(プレイヤーという要素もある)それらの要素を繋ぐのが、ゲームシステムそのものだと言える。
例えば人生ゲームでは、ルーレットの出目という運の要素に、止まったマスの効果や職業や結婚といったステータスによって効果が変わるといった考える要素(戦略の要素)を組み合わせることで「面白い!」と思えるゲームになっている。

いろんなボードゲームで遊んでいると、「このゲームはゲームシステムが優れていて」とか「なかなか聞いたことがないゲームシステムで・・・」とか、ゲームシステムの優劣や新奇性みたいなことに意識が向きやすくなる。しかし、今回はそうしたゲームシステムというより「物語」を注目するという体験だった。






いろいろゲームはたくさんあるけれど、確かに「物語」をどのように面白く感じてもらうか。ゲームを作る人はそこをとても大事に作っているように思われた。すごい。
また、そうした物語を形成するために「デザイン」があるということにも意識が向いた。

今まで、個人的な感覚としてもゲームのイラストとかアートワークそのものとか、ビジュアル的なものが「ゲーム体験に強い影響を及ぼすなぁ」とは感じていた。
どんな舞台設計で、どんなキャラクターが出てきて、そのキャラクターに背景があって、みたいな諸要素を「デザインでまとめていく」というのはどんな作業、どんな思いなんだろうな。

これらの展示は僕に「ゲームの魅力を引き立たせる要素は何か?」ということを考えさせてくれたし、「面白そう!」とか「やってみたい!」とかそういう感覚を強く持たせてくれた展示がたくさんあった。

その次の流れで見たのがTRPGの展示。
僕はTRPGというものに触れてきていないため、知識がほとんどない状態。TRPGに興味はあるが、ゲームを遊ぶための時間が「数時間〜数日(!!)」という話も聞いたことがあって「自分には難しそうだな」と感じていた。
TRPGとは?という説明も掲示物の中にある。漫画形式の説明で、とってもわかりやすい。そしておソノさんが可愛い!


「かわいいかよ!」は最高。

結論から言うと、TRPGの展示が本当に衝撃的だった。
TRPGというジャンルを愛した人たちがいること。展示物から感じるエネルギーはとんでもなかった。


TRPGの展示では、先ほどのボードゲームの展示からは一転して「文章が中心のゲーム」だと感じられた。もちろんデザインがないわけではないし、かっこいいイラストや世界観にこだわったデザインだなと感じる展示もあった。
しかし、中心にあるのは「文章」だと感じた。
僕はTRPGの体験があまりにもないから想像なんだけど、文章を読んで自分の頭の中に情景を作る、物語を補足する世界を作る。
そういう体験が得られるんじゃないかなと思った。

一緒に遊ぶプレイヤーと共有する世界もあれば、一緒の舞台で遊んでいるはずだけどそれぞれが思っている世界が妙にずれているということもありそう。他者と一致した感覚や違うという感覚も、もしかしたらTRPGの醍醐味なのかもしれないなと思った。

そんなことを感じながら展示物を見ていると、「TRPGとはプレイヤーがゲームを(他者と一緒に)作る側になるのが面白いということではないか」という感覚になった。改めて先ほどのボードゲームの展示から受けた印象と比べると、まるで真逆な要素のようにも思えた。

簡単に言ってしまうと
ボードゲームは「与えられる面白さ」
TRPGは「作る面白さ」
と言うふうに捉えられるのではないか、と考えるようになってきていた。簡単に言い過ぎな気もするけど笑

こんなに「面白さ」という感覚の中にいろんな切り口があるんだなぁとも思ったし、自分が面白いと思ったことに熱中している人たちの作品集を見て、すごい心が震えた。
面白いって思っていいんだよな。面白いことを大事にしていいんだよな。
何か、自分が大事にしてきたことを強く肯定されたような気がした。

ぱっと見て興味をひいて「面白そう!」と思ってゲームを遊んでみるのも自然なことだし、
「面白そうとは思わない」し、やってみても難しいけど、でも「もう1回やってみる!」って挑戦していくことに面白さを感じる人もいるよなぁって、そういう人間の感情の奥行きみたいなものにも意識が向いた。

ボードゲームとTRPG展では「物語」に着目した、ということだった。僕はその物語から「面白いって思うことの幅の広さ」だったり、「面白いって感じるのってどういうことだろう?」を感じていた。

面白いことを求めるのは今も昔も変わらないのかも。

そんなこんな。



「面白い」と思うには、運と戦略性のあるゲームシステムの他に物語もある、という切り口が面白いですし、必然的に「デザイン」というのが物語に説得力(現実味?)を与える要素になってるよなぁと展示を見ていました。
その流れでTRPGの方では、今度は「デザインは最小限でも面白いんだよ」という「歴史の証明」を見せられた、見せつけられた感覚。
与えられる面白さもあれば、自分で考える、自分でつくるという面白さ、その場で形成される面白さに熱中した人々がいるんだ、という展示を見てとても良い学びを得たなと思います。
ここまで書いてみて自分は「面白い」という感覚にとても意味を感じているんだなぁとも思った次第です。
一人で来ましたが、一人で来てよかった!し、このノートみたいに色んな人の感覚を知ることができるのも興味深いな!とも感じます。企画・開催・運営、大変ありがとうございました!!

会場のノートに記載した自分の感想

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