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サヴァイヴ系スクールアイドル最後の砦は上原歩夢にあり――虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会6th Live!「I love You ⇆ You love Me」

こんにちは。かみなりひめです。

さて、さっそく本題です。

ラブライブ!
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
6th Live!「I love You ⇆ You love Me」
お疲れ様でした!

既視感がハンパないですね‥‥。
前の記事と同じ書き出しだからなんですけれども。

こんなふうに、
ひとつのライブで複数のことを思えるのは、
みんながソロで立っている虹ヶ咲だからなのかも
しれません。唯一無二の個性ですよ。

そんな虹ヶ咲が送る6thライブですが、
そのテーマは「愛の交換(交歓?)」でした。

アルバム「Fly with You!!」に収録されている
各メンバーのラブソングにおいても、実に様々な
「愛」のかたちがあることを認識させられます。

それぞれがそれぞれらしい「愛」を歌い上げる中、
私はあるメンバーに虹ヶ咲の可能性を感じました。

それは、
過去に虹ヶ咲が捨ててきてしまった、
苦々しき可能性のひとつ。

いま、ワタクシはこう叫びたい。

上原歩夢よ
 サヴァイヴ系スクールアイドルとしての
 虹ヶ咲をいまこそ思い出させてくれ


1. サヴァイヴ系スクールアイドル

さて、この「サヴァイヴ系」という術語を
念のため確認しておきたいと思います。

世の中が、「正しい価値」や「生きる意味」を示してくれないのは当たり前のこと=「前提」であり、そんな「前提」にいじけて引きこもっていたら生き残れない――だから「現代の想像力」は生きていくために、まず自分で考え、行動するという態度を選択する。たとえ「間違って」「他人を傷つけても」何らかの立場を選択しなければならない――そこでは究極的には無根拠であることは織り込み済みで「あえて」特定の価値を選択する、という決断が行われているのだ。

(宇野常寛『ゼロ年代の想像力』より)

評論家の宇野常寛さんは、
ここに現れるような感覚を含む作品たちを
サヴァイヴ系」とカテゴライズしました。

サヴァイヴ系」としての姿を虹ヶ咲に見たのは、
1stライブのときでした。

そして、この1stライブをきっかけにして、
虹ヶ咲から「サヴァイヴ系」という色は
じわりじわりと減殺させられていくのです。

その大きな引き金となったのは、
楠木ともりさん・鬼頭明里さんのMCでした。

そのあたりのことは、上の記事に譲ります。

かいつまんで話せば、
誰かの“大好き”を否定しない」ということは、
特定の価値を選ぶことを拒否することに繋がり、
結果的に「みんな大好き!」という地点に落ち着く
ことになるのです。

その極北の地点こそが、

であるのは言うまでもありません。

最近は「わちゅごなどぅー」のコーレスを通して
この価値観がファンたちにより深く浸透しつつある
と感じずにはいられません。

仲間でライバル!」が売りの虹ヶ咲は、
「ライバル」の側面を大きく削がれてしまい、
「仲間」の面を強くしてここまで歩んできたのだ
と言うことができるのです。

2. 一人だけを選ばせたい上原歩夢

ちゃんの代名詞のひとつである
ヒトリダケナンテエラベナイヨー!!」は、
ありとあらゆるところで飛び出すセリフのひとつと
なっている今日この頃です。

ところが、
そのような高咲侑ちゃんのスタンスを
絶対に認めない人物がひとりだけいるのです。

(問題のあのシーン)

上原歩夢その人です。

侑ちゃんだけのスクールアイドル」を志して
憚らなかったのが上原歩夢という女の子でした。

それは、
上原歩夢を演じる大西亜玖璃さんと、
高咲侑を演じる矢野妃菜喜さんとの間でも
常々交わされるのは周知の事実です。

某ウマの方の幼馴染さんに奪われないように
がっちりと矢野さんの腕をホールドする大西さん。

本題である6thライブのステージでも、
同好会の他メンバーが矢野さん(侑ちゃん?)と
愛を交換しようとするのをブロックしてみたり、
あからさまに嫉妬してみせたりと自由自在。

それは、今回の歩夢のソロ曲である
Walking Dream」にも表れています。

一見すると探偵モチーフでありながら、
歌詞を紐解くと重ためのストーカーソング。

歌詞に登場する「キミ」への愛が昂じて
独占欲として姿を見せつつも、自身の重たさを
自制的に眺めてはその狭間で悩んでしまう……と、
そんな感じの曲に仕上がっております。

この曲名「Walking Dream」は、
自身の名前である「歩夢」が掛けられつつ、
アニガサキ1期の上原歩夢を髣髴とさせるように
つけられたものとおぼしいです。

ここでの “Walking” を現在分詞と取ると、
「歩いている夢」となり、意味をなしません。

しかし、“Walking” を動名詞であるとして、
“sleeping car” (寝台車)や“smoking area” (喫煙所)と
同じように “〜ing” を「〜するための」とすれば、
Walking Dream” は「歩むための夢」となります。

「侑ちゃんだけのスクールアイドル」
を希求していた上原歩夢にとってみれば、
彼女が「歩むための夢」こそ、侑ちゃんそのもの
であると言えるでしょう。

つまり、6thライブを通して見えてくる
上原歩夢にとっての「愛の交換」とは、
「ヒトリダケナンテエラベナイヨー!!」と
言って憚らない高咲侑のを勝ち得ること
でしかないわけです。

このような上原歩夢の態度はまさに、
虹ヶ咲において薄れてしまって久しくなった
サヴァイヴ系の価値観の表出に他なりません。

選ぼうと思えば三船栞子だって選べるはず。
優木せつ菜だって、アイラちゃんだって‥‥。

でも、上原歩夢は高咲侑という特定の価値観を
のみ選択して、競争世界に身を投じているのです。

ステージ上での嫉妬にまみれた振舞いを見て、
ワタクシはあらためて確信いたしました。

上原歩夢こそが虹ヶ咲学園にふたたび
サヴァイヴ系の風を吹かせてくれるのだと

3. おわりに(ちょっとちぇみちゃんの話)

この6thライブでは、虹ヶ咲の未来に関する
さまざまな予告がなされていました。

そして、何よりも大きかったのが、

アニガサキの完結編に位置づけられる
劇場版第1作目の公開日の発表でした。

完結編」という文字列からは、
どうしても虹ヶ咲の終焉を読み取ってしまい、
私も一瞬たじろいでしまいました。

しかし、
その後のMCで紡がれたキャストの言葉で、
一抹の不安も吹き飛んでいってしまいました。

その中でも、
天王寺璃奈役の田中ちえ美さんは
以下のように語ってくれました。

「完結編」って書いてあったから、みんなも「え?うそうそうそ!」みたいになってるかもしれないんですけど、終わらないですから!だって虹ヶ咲、今までたっくさん夢叶えてきたじゃないですか!

(虹ヶ咲6th LIVE 神奈川公演Day.2での田中ちえ美さんの発言)

田中ちえ美さんといえば、
1stライブにて、アニガサキ制作の発表時に
感動の涙とともに泣きながらMCをしていた姿が
とても印象に残っています。

その彼女が、涙を流すことなく、
こんな力強いメッセージを送れるまでに
成長していったのは、間違いなく虹ヶ咲のチカラ。

そんな虹ヶ咲なら、もう大丈夫。

虹ヶ咲は今までだって、
ラブライブ!グループ全体の試金石として、
さまざまな成功を収めてきたじゃないですか!

いま、もう一度チャレンジのときです。

競い合え!虹ヶ咲!
仲間かもしれないが、ライバルだ!

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