対話する読書会のはじめ方、つくり方
最近、仕事の中での楽しみな時間になるくらい読書会にはまっている。
そして組織の中での読書会の可能性みたいなものを感じている。
そんなわけで、自分が主催している読書会のひとつが半年かけて1冊を読み終わったので、どんな風に運営していたのか、振り返りがてらまとめておきたいと思います。
対話型読書会とは
共通の本を媒介に、お互いの感じたことや考えについての対話を中心にした読書会です。
自分の感じたことを話すこと、ほかの人の話を聞くことを通して、本のテーマについて自分なりの考えや理解を深めることができます。
なぜ対話型読書会なのか
ひとつは、本を読む=インプット→感想を書く=スループット→感じたり考えたことを言葉にして語る=アウトプットというプロセスがあることです。
それにによって分かった気になって終わらず、自分なりに咀嚼したり、他者の話を聞くことによる相互補完によって理解を深める学習プロセスがうまれやすくなります。
本の中身の知識を得ることをゴールにしないテーマの読書会をするときに向いているように思います。
もうひとつは、対話型読書会はコミュニティづくりやチームビルディングに機能するように感じています。
リモートワークで雑談が減ったという声をよく聞くけど、オンラインだとオフィスみたいに廊下ですれ違ってしゃべるとかランチに行くみたいな偶発性が起きにくく、誰かと出会うには約束や待ち合わせが必要になります。
なんにも用事もなく、話しましょうって言うハードルはまあまあ高いので読書会というのはちょうどいい待ち合わせ場所なんだと感じます。
対話型読書会のはじめ方
①読む本を決める&一緒に読む人を集める
はじめ方は大きく分けて2パターンあって、目的によってどちらかのパターンになるのかなと思います。
a)読みたい本を決めてから興味のある人をあつめる
→社内でやるならマネジメントやキャリア、ダイバーシティなど、なんらかのテーマで共通の興味関心のある仲間をみつけたいとき
b)一緒に対話型読書会をしたい人と一緒に読みたい本を決める
→チームビルディングを目的に行う場合や、コミュニティの中での相互理解や対話のきっかけをつくりたい場合
②キックオフ
読む本とコアメンバーが決まったら、最初にキックオフをするのがおすすめです。
キックオフで話すとことは、以下となります。
・期待や想いの共有
会を通してどんなものを得られるとうれしいかや読書会への期待などそれぞれの想いを共有することで、それぞれの期待値調整をしたり安心して話をしやすくなります。
・今後の進め方とペースを決める
1回あたりの開催時間、1回で読む量(各自の読む早さなどによって調整)、開催頻度などをここで決めておくとスムーズです。
できたら、仮でよいので先に全日程の日付を決めると(たとえば毎月第何週の何曜日など)日程調整コストが下がり、継続開催がしやすくなります。
③読書会をやってみる
キックオフをしたら実際に日付を決めて読書会を行います。
継続することが大切なので、事前に最低開催人数を決めておき欠席がでても開催するようにしています。
詳細はこのあとのパートで!
④振り返り会
1冊読み終わったら振り返り会をするのがおすすめです。
対話型の読書会は読みながら、本の直接の話だけでなく、本に触発を受けた話も多くでて話題もいろんな方面に広がるので読み終わったときに、この本を読んでみてどうだったかまとめるようなイメージです。
また今後も別の本で読書会しよう!となった場合は、読書会の運営や進行についての振り返りをするのもおすすめです。
各回の進め方
①チェックイントーク
最初に全員一言づつ話す時間を取っています。近況報告だったり、前回の読書会で考えたことのその後やなにかアクションをした報告などがでてくることもあります。
対話型の読書会なので、後半はみんなで感想を話していきます。最初に全員が言葉を発しておくと話がしやすくなります。
②各自読書タイム
読む場所と時間を決めてもくもくと読書タイムです。1回あたりの量と時間は、参加メンバーによって調整してますが、だいたい15分から20分くらいのことが多いです。
各回ごとにjamboardを立ち上げて、読みながら印象に残ったフレーズや感想などをメモ的に書いてもらっています。
③感想共有対話タイム
読みおったら対話の時間です。
jambordの感想メモをみながら話します。最初は順番に全員が話せるように配慮しながら進めます。
ひとりで読んだときには気にならなかったワードについてほかの人の感想で理解が深まったり、話す前には思いもよらない気付きや発見があり、楽しい時間です。
④チェックアウトトーク
終わりの時間が近づいてきたら最後に一言づつ今日の感想を話しておしまいです。
運営している中での工夫
・参加のハードルをさげる
読んでこなくてOK。宿題なし。各回1時間でやってます。
・連続開催にする
対話型がメインなので、1回あたりの読む量は限られることもありますし、何回かに分けて行ったほうが本やテーマについて理解が深まることや、一緒に行うメンバーの関係性がかわっていく感覚がうまれるので何回かに分けて定期的に行っています。
・全員が話す(参加の保証)
チェックイン・チェックアウト、感想をみんなが見える場所に書く→話すということで、参加してくれた人が話せるようにしています。
話す、言葉にしてみることでの学習効果も高まります。
・jamboardを使う
jambordでもmiroでもfigmaでもよいですが、参加者が使いやすいツールで感想を共有化するのがおすすめです。
ひとつは、ログが残るので、続ける中での振り返りがしやすくなったり、前回どんなこと話したっけ?というときに思い出しやすくなります。また、就業時間中に行っているので、どんなことを話したのかなど実績として示しやすくなります。
もうひとつは、書くことで話しやすくなることです。話すほうが得意な人もいれば、書くほうが得意な人もいます。最初に書くことで、話すのが苦手な人も感想を伝えられたり、いきなり話すよりも話しやすかったり、ほかの人の感想にのっかって話したりもしやすくなります。
対話型読書会でうまれるもの
やってみて感じることは、こんな流れができるなーってことです。
①自分の想いや考えを話す(対話的なコミュニケーション)
本のことだと話しやすく、とくにリモートワークで失われがちな自己開示や感情を共有するコミュニケーション機会になる。
↓
②何度もやる(連続開催)
連続開催することで、お互いの価値観や考え方を知ることができるようになっていくこと。会議での議論や意思決定という場面とは異なる場でのコミュニケーションによって、効率や正解を求めるのではなく感情やプロセスを共有する関係性がうまれる。
↓
③チームビルディング/コミュニティづくり
結果的に、チームの関係性がよくなっていったり、コミュニティづくりが促進される感覚があります。
また同じ本を読んでいることや読書会という共通の体験を通して、共通の話題ができて雑談がしやすくなること、同じ本を読むことで共通言語をつくりやすくなるというチームビルディング的な効果も感じます。
いま、社内で3つの読書会をやっているわけですが、引き続き楽しみつつ、読書会を通してどんな風に組織によい影響がうまれるのか、言葉にしていけたらいいなーと思います。
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