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200人のエンジニア組織に、行動指針とコミュニケーションガイドラインを導入。その設計思想とプロセス

この記事はWSD(ワークショップデザイナー育成プログラム)修了生のアドベントカレンダーWSD Advent Calender2023の22日目の記事です。

WSD35期修了&認定ワークショップデザイナー(現在更新試験受験中)のみたむらです。ふだんは企業内で200人規模のエンジニア組織のHRBPの仕事をしています。

ここ2年半ほど、会社で行動指針の導入、コミュニケーションに関するガイドラインの導入を担当する機会がありました。

一般的によく行われる「説明→質疑応答」形式ではなく、ワークショップ的な手法を用いながら導入を行ったので、考えていたや設計の意図について書いてみたいと思います。

事例としては現在まさに進行中のコミュニケーションに関するガイドラインの事例を紹介します。

ワークショップデザインを社内で行っていきたいという方や、会社で理念浸透などを考えている人事の方などの参考になればうれしいです。


目的と目標の設定

最初に考えたのは、会社の行動指針やコミュニケーションに関するガイドラインなど会社の中で共通して持っておきたい考え方や価値観は、掲げて言葉として覚えるものではなく、ひとりひとりが働く中で迷ったり困ったときに意思決定するための土台や軸となるものであるということでした。

そのため、それらを覚えることがゴールではなく、「ふだんの業務で迷ったり困ったりしたときに、行動指針/ガイドラインをつかってひとりひとりが判断したり、チームで話し合うことができる」という状態をゴールに設定しました。

浸透ではなく、学習プロセス

そのためには、言葉の背景をふくめた理解、内容についての納得、使うスキルの習得、そして試行錯誤の機会が必要だと考えました。

そこで立てた問いが、行動指針/ガイドラインをどうやって学ぶか?、どうすると学びが深まるか?でした。

そこで、行動指針/ガイドラインを浸透させる、ではなく、行動指針/ガイドラインの学習プロセスを設計するという考え方をすることにしました。

全体の構成としては、社員ひとりひとり個人の学習プロセスと、組織全体のとして学習プロセスをそれぞれを組み合わせて考えました。

導管モデル的な学習ではなく、社会構成主義的学習

行動指針/ガイドラインをどう情報伝達するかという風に考えると、教える側が教えられる側に一方的に伝えるいわゆる導管モデル的な学習になります。

その形式だと行動指針/ガイドラインが1つの正解のような存在になってしまったり、なんとなくわかった"つもり"になってしまうのではないか。

そんな懸念があり、「ふだんの業務で迷ったり困ったりしたときに、行動指針/ガイドラインをつかってひとりひとりが判断したり、チームで話し合うことができる」の手前で終わってしまうと感じたので、行動指針/ガイドラインを社会構成主義的に学ぶスタイルを試みることにしました。

つまり、行動指針/ガイドラインを1つの正解を組織内に共有するのではなく、提示した上で組織内でのグループ対話を通して多様な捉え方や考え方を知っていくことを通して、自分なりの解釈や捉え方を習得していく、というのが目指したことです。

その次のステップとして、各個人の解釈や捉え方を持ち寄って議論や対話を進め、組織内で行動指針/ガイドラインの意味を再構築して共有していくというイメージをしていました。

実際どんな風だったか(ガイドラインの事例)

全体の流れ

コミュニケーションに関するガイドライン作成の流れ

実施概要は以下です。

・期間:1回3時間×2回の連続ワークショップ
・参加者:約150人
・形式:オンライン(meet)
・利用ツール:Googleスライド

1回目の実施内容

1回目の会では『私が仕事で大切にしているコミュニケーション』をテーマに、グループでの共有からスタート。

ガイドラインについてCTOから組織の課題とそれを踏まえてガイドライン案について提案を行い、それを踏まえて自身のコミュニケーションについて振り返り、グループで対話をするということを通して、大切にしていることのちがいを感じること、ガイドラインについて自分ごととして考えるきっかけをつくることを目指しました。

当日のワークシート(一部)

2回目の実施内容

2回目の会では『実践を通しての気付き』をテーマに、グループに分かれてではじめましての状態からどうコミュニケーションをとっていくか、ゲーム的な要素をいれながら実際に話し合いをやってみて振り返りをしてを繰り返し、自身のクセや得意や苦手を知ることを目的にしていました。

少しづつ話し合う難易度があがるテーマを設計し、実際の仕事のようにコンフリクトが起きる場面に近い状況にすること、複数回繰り返すことで小さな成功体験が生まれることも意図していました。

当日のワークシート(一部)

最後には同じグループで取り組んだメンバーと相互にフィードバックを送り合う時間をとりました。

当たり前に意識していたりできていることは自分では気付きにくいので、そういった点を同じグループのメンバーからのフィードバックで自覚できること、お互いにフラットにフィードバックを伝え合うという体験をしてもらうこと、お互いにねぎらいあって楽しく終わりたいという意図だったので、ここはしっかり時間を確保しました。

(最後のフィードバックの時間がよかった、もらったフィードバックがうれしかった、という声がとても多かったです)

当日のワークシート(一部)

これから

そんな2回の回を通して集まった声や当日の様子などを踏まえて、現在ガイドラインのリリースに向けて追加の取り組みと議論をしています。

実際に完成して、組織にどんな効果が生まれるか、そこまでみてみないとこの進め方がよかったのか果たして判断ができないので、来年にはガイドラインのプロジェクト自体の振り返りができるとよいなと思います。

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ワークショップが終わると、毎回実践の振り返りと事例としてnoteを書こう!と思うわけですが、実のところ下書きが増えるばかりでなかなか書けていません(笑)

来年こそはアドカレだけでなく、ふだんの実践を記録に残していけたらいいなと思います(でも来年も同じこと言ってるかもしれない)

ちょうどいま、認定ワークショップデザイナーの更新試験中で、認定ワークショップデザイナーを取得してからの2年間の実践の振り返りをしています。

ありがたいことに会社で実践できる機会が増え、いそがしいことを言い訳に社外での実践がほとんどできなくなっていたので次の更新試験までの2年間は社外でのワークショップの実践も改めてやっていきたい所存です!

ちなみに去年のアドベントカレンダーでははこんなnoteを書きました。


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