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#156 顧客満足に関心が偏りがちな受託体質を理解する 24/4/30

みなさん、こんにちは。
今日は、顧客志向と受託業務の関係性とその影響を考えてみます。

考えるきっかけは、従業員の人材開発を進めるにあたり、事業責任者とゴールイメージを合わせる打ち合わせでの一コマです。

ある事業責任者が、現場責任者とメンバーの1on1を、
「業務、タスクの話がほぼ100%に近いんだよなあ」
と課題の側面を評しました。

別の事業責任者は、現場の責任者の特徴を、
「お客様の課題をしっかり考えて現場を運営してくれています」
とポジティブな意味85%程度に表現しました。

この両名の事業責任者は、偶然にも良い点と解消したい課題点を対比的に表現しました。ここから、わたしが想像して共通項を抜き出す作業をしてみました。わたしたちのサービスの多くは、お客様から業務を委託されます。その功罪はもちろん存在します。これが前提です。

そして問いを投げかけてみます。
「平日の日中8時間は、頭も体も、お客様の業務100%、ですよね。良い悪いではなく。その傾向は強く感じられませんか?」

「そうだとすれば、サービスの特性上、受託体質である、受託体質になりがちである。と前提に置いて人材育成を考えてみるのはいかがでしょうか?」

多くの企業のサービスは、B2B、B2C、B2B2Cにせよ、だれかの仕事を委託される、受託する形態が大半だと考えます。契約形態は、請負契約、委任契約(委任・準委任)と様々です。半年くらい前に、自動車メーカーの品質不正問題が起こりました。その時の社長か、品質管理担当責任者の方が会見で「受託体質が引き起こした」と原因の根本を語られていました。

受託体質とは、ひとつの捉え方として、顧客志向、顧客第一主義、と考えて言い換えることができるかもしれません。顧客志向は言うまでもなく、とても大事な姿勢・行動です。ですが、行き過ぎた顧客志向、あるいはちょっと方向感が誤って捉えているケースが少なくないと感じています。

どんな点が受託体質≒錯誤した顧客志向、か考察します。

1つは、顧客要望=絶対である、最優先事項である、と受け取りやすい点です。

お客様がポロッと言われたことでさえも、即座・即時に回答を出さねばならない、と反応して、現場や自分を動かしてしまう性質です。これは、権力格差が根本要因と考えます。顧客>受託者、役職者>一般社員、この権力関係の構図に該当します。

もう1つは、権力格差とは別の要因です。お客様の言うこと=お客様がほしがっていること、これに対して精密に、忠実に、応えていればOKと捉えてしまうことです。視野全体がお客様で占められてしまった状態と考えます。

これはたとえば、何かの商品を新しく企画する、リニューアルをする際に、大規模マーケティング調査を行ないました。調査結果からユーザの望んでいる商品は、○○でした。だから、○○を忠実に再現して作りました。とユーザのニーズすべてを、追加追加と取り込んでしまうことです。
本当にこれで売れるか、と言うと、どうでしょうか?たいていのユーザにとっては、要らない機能や効能も多く、感じるのではないかと考えます。また、「あ!」の驚きがないのではないでしょうか。

さらに別の視点では、1つ目に近しい話ですが、その現場のリーダー(役職的な現場責任者や顧客アカウントをまとめる課長など)のアテンションが、お客様とお客様が言うことに偏ってしまうことです。

ですから、たとえばチームメンバーとの1on1などをしていても、その相手のメンバーのことよりも、そのメンバーが担当している(お客様の)業務・タスクが滞りなく遂行できているか、ばかりに話が終始してしまいます。

すると、チームをよくする、メンバーを動機づける、会社の経営情報に関心を寄せる、などアンテナがいろいろな方面には立たず、一方向にしか向いていない状態になりやすいと考えます。

そして、最後に4つ目です。これも1~3つ目とベン図にすれば重なる部分も多いです。お客様の言うことにすぐに反応する、希望することに忠実に応える、業務成果だけを維持・向上する、とお客様の要求に正確かつタイムリーに、そして忠実に答えられたかどうか、が「評価」になることです。いわば偏った、顧客一方向だけを向いた評価とも言えます。

これら4つのことが受託体質の特徴であり、錯誤しやすい顧客志向ではないかと、考えます。

最後に、受託体質の負の部分についてなぜよくないか、なぜこの構造を理解しておく必要があるか、です。

それは従業員のワークエンゲージメント、チームビルディング、マーケットや自社の視座を持つ、これらを阻害する要因になるからです。

さて、みなさんは顧客志向について、どのように考えますか。
それでは、また。

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