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#158 仕事センスは全体像を任せて磨く 24/5/2

みなさん、こんにちは。
今日は、垂直統合と分業の仕事の渡し方から人材育成を考えてみます。

考えるきっかけは、ある間接部門の取り組み報告を聞いていて、その質疑応答だったりで覚えた違和感です。

内容は、法改正対応の一環として新たに決めた、内部統制プロセスの履行状況に関する定期報告でした。本来は、必須対応事項に対してどのくらい実行できていて、残課題が何か、ネクストアクションを提起するものです。報告内容や質疑応答で気になったのが以下の説明や返答でした。

「必須対応の期限内履行率がまだかなり低い数値ですが、どんな点が課題になっていますか?」
「今月は四半期初めの対応のため、対応件数が多かったことが大きな要因です。引き続き、課長のみなさんが期日までに対応できるよう、当チームでしっかり支援していきます」

「業務フローのどのあたりで歩留まってしまっていますか?」
「今後、分析してご報告させていただきます」

「当チームの支援に対して、みなさまからいただいたお礼の言葉をメンバー一同読ませていただき、励みになっております」

質問に的確に答えていない点は、今日は脇に置いておきます。この会話のやり取りだとわかりづらいのですが、「業務フローにおいてどのあたりで歩留まっているか」の質問に対して、答えられなかったのはなぜか、気になり考えてみました。当日は別の報告が主題だったこともあり、準備不足だったことが表層的要因だそうです。

ですが、より根本的には次の要因です。
それは、業務プロセスごとにチームメンバーが担当していることです。そのため、担当者がそれぞれの担当プロセスで問題点をあげます。個別最適の目線です。一方、全体を俯瞰したときに、よりボトルネックになっているプロセス・フローはどこか、それはなぜ起きているか、と全体最適の目線から捉えることが難しくなります。

その結果、各チームメンバーはKPIの経過数値を、自分の担当プロセスの範囲でしかモニタリングしていないことが起こります。これが根本的要因をなす構造と考えます。


効率性とミスのない品質水準を維持するために、業務プロセスや業務フローを細分化し、分業化・個業化するほうが短期的には効果を生みやすい点は確かにそうです。

たとえば、工場の製造ラインでねじを締める、弁当の野菜をある特定の箇所にレイアウトするなど、その部分だけに機能特化して分業化することのほうが効率性が高いことが明白です。エラーの少なさ、スピードに裏打ちされた生産量・対応量をアウトプットできます。狭義の生産性が高いと言えます。

一方、それだと、機能組織最適、個別最適の道に進みます。

その分業されたタスクの習熟度を高める「効率性」は確かに確保できますが、限られた範囲のタスクです。人材育成開発の観点でも限定的なスキル習得に留まります。

ですから、その仕事の全体像を捉えること、より生産的にするにはどうしたらよいのか、企画・構想して、その業務が生み出している価値を、誰が、どのようにうれしいと感じてくれているか、それによってどの程度の対価がもらえるか、を理解する機会がかなり少なくなります。そのアンテナ感度も低くなります。

つまり、仕事ができる=センス、を磨く場になりづらい点が、より問題だと考えます。あわせて、そのタスクに関わる人は、ある程度固定化=属人化されてしまうため、人間関係構築、それによる社会的資本の拡充が行われないことです。

ですから、人材育成、人材開発の側面で考えてみても、分業化、機能組織化はあまり好ましい方法論ではないかもしれません。ただしながら、これも時代や環境によって変わりますし、程度問題でもあります。
ゼロイチの二元論でないことは、これまでも主張してきた通りです。

さて、みなさんの会社、チームの機能分化、分業はどの程度でしょうか。
それでは、また。

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