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#136 何ができていたらOKか、ゴール設定は目標管理と評価のOSである【1/2】24/4/10

みなさん、こんにちは。
今日は、MBO目標管理制度とその運用について考えます。

考えるきっかけは、人事評価のキャリブレーション会議での一コマです。

本題に進む前に、MBOに関して、わたしが人事をやってきた所感を述べさせてください。
MBOは、Management By Objectives and Selfcontrol. の略です。
and セルフコントロール、こそがキモだと考えます。

中規模から大手企業では、多くの会社が目標管理のしくみを取り入れていると思います。しかし、従業員が狙いどおりに使ってくれているか、上長が上手くマネジメントに活かすことができているか、と問われると、自信を持ってYESと言える人事は3割くらいではないかと考えます。

さて、任された成果を上手にセルフマネージメントするために、目標をツールとして上手に使うことがその本分と考えます。ツールとして機能するには、目標そのものの設定を熟れることが求められます。しかし、この目標を決める、定める、がなかなかどうして上手いこといきません。一見簡単そうですが、難易度の高い取扱注意な、厄介な代物です。

目標を決める、目標の設定は、まず一義的には上長のスキルによるところが大きいです。すなわち属人性が高い性質があります。合格点と言える目標設定スキルを持っているのは、経験則的に、ミドルマネージャー(管理職)で組織内に5~10%程度だと思います

なぜ、そんなに低いのか、難しいスキルなのか、考察します。
まず、目標管理において、一般によく用いられるフレームワークに「SMART」があります。

Specific(具体的に)
Measurable(測定可能な)
Achievable(達成可能な)
Related(経営目標に関連した)
Time-bound(時間制約がある)

このフレームワークどおりに上手く使いこなせれば、相当に上質な目標になるでしょう。定義を見れば、決して難しいことが言われているわけではありません。それでも実際になかなか目標を定めることが上達しないのはなぜか、考えてみます。

わたしが考える最もプリミティブな理由は、1つに絞るなら、解像度が粗いから、です。

1つは、その目標にするに至る背景、たとえばどんな現実の現象から、問題だと考えたのか、根源的にだれが困っているのか、どうなるとそれが良い状態になるのか、これらの文脈コンテクストの解像度が粗いことです。

もう1つは、目標として言葉に置換していくときの、言語化する解像度が粗いのです。それは、成果そのものにしても曖昧だったり、いつまでに・誰に・何を・どうやってなど6W2h、5W1Hのような形式的にも、いくつかの意味において「粗い」ことです。

では、どのように言語化する解像度を高められるか、わたしなりに考えてみます。

まず、「何ができていたらOKか」で成果を定義することです。
なぜなら、成果を決められる上長が少ないからです。

では、決めるためには、あらかじめ、自分が提供する価値の届け先は誰か、つまりお客様と成果定義をしておくことです。目標の背景文脈と先に書いたところです。市場のお客様に向き合っている直接部門はわかりやすいですが、間接部門の場合は社内顧客と考えて構いません。その自分の仕事の価値の届け先=一義的なお客様、とその提供期間単位に、いったん成果を合わせておくことがはじめの一歩、かつ重要な一歩と考えます。

次に、できるだけ定量的に、数字で表す、とコレもよく言われます。わたしも総論同意ですが、ほとんどの人が上手に目標定義ができない現実があります。その現実から、ゴール設定が得意でない人たちが取り扱う場合、売上・利益の財務指標やKPIの行動指標を数値で定義しただけになります。いわゆる上から降りてきた、実質上意味的にはノルマ目標です。

現実にノルマ的な目標を課せられることは、仕事では致し方ない側面もあります。それでも、MBO制度の意図からすれば、セルフコントロールが大事なわけです。ただ上位者から、経営から、降りてきた数字を目標として定義することは、セルフコントロールをするな、と言っているようなものです。

大事なので、繰り返します。
売上や利益、KPIの数的目標は確かに決められます。しかし、これらの数値目標はかなりの確率で上から降ってくるノルマ的な性質が強いです。それは現実にそういうものだとする要素が半分ですが、従業員自身が達成することが自分の成長やお客様への貢献につながる、ひいては会社が掲げている長期的な社会課題の解決につながる、とエンゲージメントできるかといえば懐疑的です。

戻って、何ができていたらOKか、成果を具体的に定義することです。それを価値の届け先であるお客様と確認することです。
確認できたら、その成果をまず、意味ある定量表現にできるか、考えてみます。なお、定量とはかならずしも、売上〇円、KPI〇件、〇%な表現とは限りません。
「いついつまでに、何(成果物)を、どのくらいの基準(品質や量)で、完了する」の形式も、定量の1つと、わたしは考えています。

ですから、成果物・成果そのものと、その水準を6W2Hなどで示すこともOK、と理解すると、目標決め、成果定義が曖昧になる問題点を極力避けることができます。それでも、まず「何ができているとOKか」の成果を、お客様と合わせることです。それも、解像度高く、です。

これが私が考える目標決めの解像度を上げる、1つ目の方法論です。
長くなりましたので、次回に続けさせてください。

みなさんは、ご自身の目標決め、どの程度、自分のコントロールのためにできていますか。
それでは。また。

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