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巨人の外国人野手は「ヤクルト戦にやたら強い」ってほんと?

はじめに

こんにちは。うさぎです。
先日、巨人のオドーア選手が開幕を待たずに退団という衝撃的なニュースが飛び込んできました。この退団により、現時点(2024/03/28)で巨人の支配下に外国人野手は0人となりました。「ヤクルトって巨人の外国人野手によく打たれるよね〜」というイメージがあったので、オドーア選手の退団はヤクルトにとってはラッキーという思いになりましたが、はたして「巨人の外国野手人がヤクルト戦にやたら強い」という印象は本当なのか、検証していきます。


分析手法

①「リーグ平均の打率、OPS」と『「対ヤクルトの打率、OPS」=「ヤクルトの被打率、被OPS」』を比較し、野手全体における「全球団に対する成績」と「対ヤクルトの成績」の差を検証する。
②『巨人の外国人野手における「合計の打率、OPS」と「対ヤクルトの打率、OPS」の差』と、「①で検証した野手全体における差」を比較することで、「巨人の外国人野手の対ヤクルトの強さ」と「野手全体の対ヤクルトの強さ」との乖離を検証する。
分析期間は2019-2023の5シーズンとする。

留意事項を記述します。

「対ヤクルト」のデータは対パ・リーグ18試合、対セ・リーグ125試合で構成されています。そのために、同じく対パ・リーグ18試合、対セ・リーグ125試合をサンプルとする「セ・リーグ平均の打率、OPS」を比較対象としました。
また、パ・リーグのデータが絡んでいるため厳密にはリーグ平均の打率と被打率に差が生じる(例:「パ・リーグの投手がセ・リーグの打者に投げる」とき、そのデータは「セ・リーグ平均の打率」にはカウントされるが、「セ・リーグ平均の被打率」にはカウントされない)ため、「セ・リーグ平均の打率、OPS」と「セ・リーグ平均の被打率、OPS」は必ずしも同値ではありません。
よって、本来「ヤクルトの被打率、被OPS」の比較対象であるべき「セ・リーグの被打率、被OPS」を「セ・リーグの打率、OPS」に置き換えて比較することは厳密には適切ではありませんが、①の趣旨は「野手全体がどれだけ打っているか」と「ヤクルトに対してどれだけ打っているか」の差の検証にあるので、前述の手法で分析を行うこととしました。
とはいっても「セ・リーグ平均打率、OPS」と「セ・リーグ平均被打率、被OPS」の乖離は2019年OPSの.004差が最大だったので分析の大筋に影響はありません。

2023年

セ・リーグ平均 打率.244 OPS.668
ヤクルト 被打率.255 被OPS.721 (対ヤクルトで打率+.011 OPS+.053)

ブリンソン 打率.248 OPS.694
→対ヤクルト 打率.231 OPS.896 (対ヤクルトで打率-.017 OPS+.202)

ウォーカー 打率.263 OPS.758
→対ヤクルト 打率.316 OPS.929 (対ヤクルトで打率+.053 OPS+.171)

2022年

セ・リーグ平均 打率.248 OPS.678
ヤクルト 被打率.259被OPS.722 (対ヤクルトで打率+.011 OPS+.044)

ポランコ 打率.240 OPS.762
→対ヤクルト 打率.272 OPS.984 (対ヤクルトで打率+.032 OPS+.222)

ウォーカー 打率.271 OPS.821
→対ヤクルト 打率.333 OPS 1.092 (対ヤクルトで打率+.062 OPS+.272)

ウィーラー 打率.196 OPS.636
→対ヤクルト 打率.375 OPS 1.750 (対ヤクルトで打率+.179 OPS+1.114)

2021年

セ・リーグ平均 打率.251 OPS.698
ヤクルト 被打率.255 被OPS.711 (対ヤクルトで打率+.004 OPS+.013)

ウィーラー 打率.289 OPS.837
→対ヤクルト 打率.408 OPS 1.037 (対ヤクルトで打率+.119 OPS+.200)

スモーク 打率.272 OPS.818
→対ヤクルト 打率.400 OPS 1.104 (対ヤクルトで打率+.128 OPS+.286)

ハイネマン 打率.160 OPS.475
→対ヤクルト 打率.000 OPS.143 (対ヤクルトで打率-.160 OPS-.332)

ウレーニャ 打率.000 OPS.000
→対ヤクルト 打率.000 OPS.000 (対ヤクルトで打率±.000 OPS±.000)

テームズ 打率.000 OPS.000
→対ヤクルト 打率.000 OPS.000 (対ヤクルトで打率±.000 OPS±.000)

2020年

セ・リーグ平均 打率.254 OPS.714
ヤクルト 被打率.281 OPS.790 (対ヤクルトで打率+.027 OPS+.076)

ウィーラー 打率.247 OPS.727
→対ヤクルト 打率.250 OPS.813 (対ヤクルトで打率+.003 OPS+.086)

パーラ 打率.267 OPS.689
→対ヤクルト 打率.280 OPS.813 (対ヤクルトで打率+.013 OPS+.224)

ウレーニャ 打率.167 OPS.467
→対ヤクルト 打率.333 OPS.933 (対ヤクルトで打率+.167 OPS+.466)

モタ 打率.222 OPS.919
→対ヤクルト 打率.000 OPS.333 (対ヤクルトで打率-.222 OPS-.586)

2019年

セ・リーグ平均 打率.253 OPS.716
ヤクルト 被打率.276 OPS.778 (対ヤクルトで打率+.023 OPS+.062)

ゲレーロ 打率.237 OPS.867
→対ヤクルト 打率.302 OPS 1.214 (対ヤクルトで打率+.065 OPS+.347)

ビヤヌエバ 打率.223 OPS.711
→対ヤクルト 打率.233 OPS.710 (対ヤクルトで打率+.010 OPS-.001)

マルティネス 打率.125 OPS.375
→対ヤクルト 打率.000 OPS.000 (対ヤクルトで打率-.125 OPS-.375)

総評

2021ハイネマン、ウレーニャ、テームズ、2020ウレーニャ、モタ、2019マルティネスは打席数が30未満と極めて少ない。
よって、(直近5シーズンにおいて)一定以上出場している選手については「巨人の外国人野手の対ヤクルトでの成績向上」が「セ・リーグ平均の対ヤクルトでの成績向上」と比べてやはり大きく、「巨人の外国人野手はヤクルト戦にやたら強い」という肌感覚は概ね正しかったこととなる。明確な反例は2019ビヤヌエバ、怪しいのが2020ウィーラーくらいか。

2021-2022の連覇時だけでなく2023についても、2019-2020よりは「セ・リーグ平均の打率、OPS」と「対ヤクルトの打率、OPS」の乖離が小さくなっている。その中でも巨人の外国人野手にはことごとく打たれていることは興味深い。その理由がヤクルト投手陣の球速や球種構成といった実力面に起因するのか、シンプルな運の問題なのかは筆者の分析力では限界があるので、ここで分析を終わります。

おわりに

今回の記事は数字遊びの側面が強く、幅広い解釈ができると思います。ぜひあなたの感想をコメント欄で教えてください!

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!!!

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