私とゲーム#2『ゆめにっき』

※この記事は、ゲーム『ゆめにっき』のネタバレを含みますのでご注意ください。また、この記事は、2022年11月1日に公開し、その後非公開にしていたものです。今読み返すと非常に恥ずかしい部分もありますが、それは当時の私が思っていたことであるのは確かなので、なるべく修正せずに再公開します。

みなさんは夢をよく見るだろうか。将来に見るほうではなくて、寝ているときに見るほう。

人は寝ているとき必ず夢を見ているらしいが、夢を見たことを覚えていない人も多いのではないか。私は、内容は気が付くと忘れているが、夢を見たことは必ず覚えている。

夢には、楽しいものも悲しいものもある。ふと目が覚めると、笑っていたり涙を流していたりすることもある。もう二度と会えないであろうあの人に会って話ができたりもする。あれは夢だったか、現実だったか、と思う記憶もある。夢は現実の記憶の整理でもあるとされ、内容は混沌としているが、夢は現実の世界とは似て非なる、もう1つの実在する世界のように思えることもある。

それはさておき、本題に入ると、『ゆめにっき』は2004年に公開された、ききやま氏によるRPGツクール2003製のフリーゲームである。作者はこのゲームの内容を以下のように説明している。

とても暗い雰囲気の、夢の中(という設定)の世界を歩き回るゲームです。
特にストーリーや目的はありません。歩き回るだけのゲームです。

https://www3.nns.ne.jp/~tk-mto/kikiyamaHP.html

しかし、特にストーリーや目的はないと言いつつ意味深なオブジェクトやイベントが複数存在し、数多くの人々を考察という沼に引きずり込んできた。私も引きずり込まれた1人である。

私がこのゲームと出会ったのは、中学生のときだ。とある動画サイトで、たまたまこのゲームの実況動画を見つけたことがきっかけである。

初めてエンディングを見たときは、食欲が3日間ほどなくなった。気持ち悪いとか、グロテスクだとかそういうことではなく、私にとってこんな終わり方をするゲームは初めてで衝撃的だったのである。私が今までプレイしてきたゲームはすべて、万事解決というようなハッピーエンドや、モヤモヤは残るが良い形のエンドを迎えるものだった。しかし、このゲームは当時の私には明らかにバッドエンドに見えた。それも、かなり衝撃的な形での。

それから私は、ネットの考察記事を見漁った記憶がある。自分でも、ああでもないこうでもないとかなり考えた。そのうち、それが楽しいと思うようになった。もっとこういうゲームをプレイしてみたいと思うようになった。最初こそ食欲がなくなるほどの衝撃を受けていたものの、私はこのゲームを通じて考えることの面白さを知ったのである。

数多くの人々を考察という沼に引きずり込んできたゲームであるだけに、エンディングの解釈には諸説ある。主人公は夢の世界にも絶望して現実の世界で死を選んだのではないか、逆に夢の世界を捨てて現実の世界での生を選んだことを表現しているのではないか、など。そもそもストーリーや目的はないとされているのだから、そこに意味なんてないのかもしれない。

しかし、主人公にとっても、夢は現実の世界とは似て非なる、もう1つの実在する世界だったということは確かなのではないかと思う。主人公は何を思いながら、その世界を歩き回っていたのだろうか。意味などないのだとしても、考えてしまうのが人間の性である。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?