フォローしませんか?
シェア
垣根の病葉には、脱皮の瞬間をさえ見なかったはずの蝉の抜け殻がおびただしい程にしがみつい…
景義先生は蛞蝓に似ている。石を食む悍ましさと、ぬらぬらと粘液を纏う艶かしさが、あの愉し…
ツツジの花の蕾が緑の合間から見え隠れする隣に、満開になった別のツツジが鮮やかに並んでい…
社会人になってからは夜に出歩く事が日常となった。まだ人の賑わいの多い大通りを抜け、コン…
私と妻は幼馴染で、かつてはこの荒んだ、というよりは元々荒んでいたのが、少子化により多少…
物事が何もかも上手くいかない日というものはある。詳細は思い返すのも億劫なので省くが、仕…
正気のはずなのだ。正気でない人間は皆そう言う。空い自問自答を繰り返すが、目の前には取り返しのつかない光景が広がっている。むせ返る血の匂いは牛ステーキを噛み締めたあの味に似ていた。私は口の中に溢れた唾を飲み込んだ。──食欲。人間にはいくつかの欲求があり、性欲と食欲と、あとは何だったか。始めに性欲を満たされた私は死んだばかりの肉の、不味そうな細い腕の皮を丁寧に剥がして、切り分けた赤身にかぶりついた。 期待以上の味だった。舌の違和感に気付く。ありえない。その肉は絶妙に味付けさ
近所に景義先生と呼ばれる人がいる。先生と呼ばれているが、何かを教えている訳ではなく、ま…