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ブラーフミー文字による日本語表記

例年8月頃はサンスクリット語の日で、1969年に施行されたインドの記念日です。
2022年は8月12日、ʼ21年は8月22日……という風に8月15日のインド独立記念日の前後の週にある確率が高いのですが、ʼ23年のサンスクリット語の日は8月31日となっています。

今回はサンスクリット語やヒンディー語などの文字体系であるデーヴァナーガリー文字のルーツであるブラーフミー文字による日本語表記を取り上げます。


ヒンディー語正書法に近い表記

母音𑀅》は母音のみの場合、語頭では子音字の次に続く場合は短母音になりますが、語中・語末あるいは語頭で母音字が続く場合は長母音字アー𑀆》で表示され、子音字とア段の組み合わせは常に長母音記号が付加されます。
イ段・ウ段は、語末では原則的に長母音記号を伴います。
エ段・オ段は本来、長短の区別はされないのですが、エイ・エーは語頭・語中ではEIएइ➡𑀏𑀇》[エーイ], 語末ではएई➡𑀏𑀈》[エーイー]と表記される場合があり、平成は〈हेईसेई➡𑀳𑁂𑀈𑀲𑁂𑀈〉[ヘーイーセーイー], 令和は〈रेइवा➡𑀭𑁂𑀇𑀯𑀸〉[レーイヴァー]と表記されます。オウ・オオ・オーは《ओह्➡𑀑𑀳𑁆》[オー]と表記される場合があり、能は〈नोह्➡𑀦𑁄𑀳𑁆〉[ノー]と表記されます。

母音

  • A/I/U/E/O𑀅》/𑀇》/𑀉》/𑀏》/𑀑》】ア/イ/ウ/エ/オ

  • Ā/Ī/Ū/E/O𑀆》/𑀈》/𑀊》/𑀏》/𑀑》】アー/イー/ウー/エー/オー

  • AI/AU𑀆𑀇, 𑀆𑀈आइ, आई》/𑀆𑀉, 𑀆𑀊आउ, आऊ》】アイまたはアエ/アウまたはアオ

  • AṂ/IṂ/UṂ/EṂ/OṂ𑀅𑀁अं》/𑀇𑀁इं》/𑀉𑀁उं》/𑀏𑀁एं》/𑀑𑀁ओं》】アン/イン/ウン/エン/オン - 演歌の〈एंका➡𑀏𑀁𑀓𑀸〉[エーンカー]のように鼻音を含む重子音を表記するために用いる。

  • ĀṂ/ĪṂ/ŪṂ/EṂ/OṂ𑀆𑀁आं》/𑀈𑀁ईं》/𑀊𑀁ऊं》/𑀏𑀁एं》/𑀑𑀁《ओं》】アーン/イーン/ウーン/エーン/オーン

子音

促音・撥音・拗音・合拗音を表す子音字結合は、フォントによっては変化しない場合があります。
語中の音は“関東”を〈कांतो➡𑀓𑀸𑀁𑀢𑁄〉[カーントー]のように次の子音の前にある字の上に鼻母音記号アヌスヴァーラを付加して示す方式と〈कान्तो➡𑀓𑀸𑀦𑁆𑀢𑁄〉[カーントー]のように合成子音字を音節の後に付加する方式があります。

  1. K𑀓𑀸का》/𑀓𑀺कि》/𑀓𑀻की》/𑀓𑀼कु》/𑀓𑀽कू》/𑀓𑁂के》/𑀓𑁄को》/𑀓𑁆क्》/𑀓𑁆𑀓𑀸क्का》】カ/キ/キー/ク/クー/ケ/コ/ㇰ/ッカ

  2. KAṂ𑀓𑀸𑀁कां》/𑀓𑀺𑀁किं》/𑀓𑀻𑀁कीं》/𑀓𑀼𑀁कुं》/𑀓𑀽𑀁कूं》/𑀓𑁂𑀁कें》/𑀓𑁄𑀁कों》/𑀓𑁆𑀓𑀸𑀁क्कां》/𑀓𑁆𑀬𑁂𑀁क्यां》/𑀓𑁆𑀬𑀼𑀁क्युं》/𑀓𑁆𑀬𑀽𑀁क्यूं》/𑀓𑁆𑀬𑁄𑀁क्यों》/𑀓𑁆𑀯𑀸𑀁क्वां》】カン/キン/キーン/クン/クーン/ケン/コン/ッカン/キャン/キュン/キューン/キョン/クァン - 語末のカン・カーンは〈𑀓𑀸𑀦𑁆〉となるが、ヒンディー語〈कान〉に合わせた表記では〈𑀓𑀸𑀦〉とヴィラーマが省略される。

  3. KY𑀓𑁆𑀬𑀸क्या》/𑀓𑁆𑀬𑀺क्यि》/𑀓𑁆𑀬𑀻क्यी》/𑀓𑁆𑀬𑀼क्यु》/𑀓𑁆𑀬𑀽क्यू》/𑀓𑁆𑀬𑁂क्ये》/𑀓𑁆𑀬𑁄क्यो》/𑀓𑁆𑀓𑁆𑀬𑀸क्क्या》】キャ/キィ/キィー/キュ/キュー/キェ/キョ/キョー/ッキャ

  4. KV𑀓𑁆𑀯𑀸क्वा》/𑀓𑁆𑀯𑀺क्वि》/𑀓𑁆𑀯𑀻क्वी》/𑀓𑁆𑀯𑀼क्वु》/𑀓𑁆𑀯𑀽क्वू》/𑀓𑁆𑀯𑁂क्वे》/𑀓𑁆𑀯𑁄क्वो》/𑀓𑁆𑀓𑁆𑀯𑀸क्क्वा》】クァ・クヮ/クィ/クィー/クゥ/クゥー/クェ/クォ/ックァ

  5. G𑀕𑀸गा》/𑀕𑀺गि》/𑀕𑀻गी》/𑀕𑀼गु》/𑀕𑀽गू》/𑀕𑁂गे》/𑀕𑁄गो》/𑀕𑁆ग्》/𑀕𑁆𑀕𑀸ग्गा》】ガ/ギ/ギー/グ/グー/ゲ/ゴ/グ/ッガ

  6. GY𑀕𑁆𑀬𑀸ग्या》/𑀕𑁆𑀬𑀺ग्यि》/𑀕𑁆𑀬𑀻ग्यी》/𑀕𑁆𑀬𑀼ग्यु》/𑀕𑁆𑀬𑀽ग्यू》/𑀕𑁆𑀬𑁂ग्ये》/𑀕𑁆𑀬𑁄ग्यो》/𑀕𑁆𑀕𑁆𑀬𑀸ग्ग्या》】ギャ/ギィ/ギィー/ギュ/ギュー/ギェ/ギョ/ギョー/ッギャ

  7. GV𑀕𑁆𑀯𑀸ग्वा》/𑀕𑁆𑀯𑀺ग्वि》/𑀕𑁆𑀯𑀻ग्वी》/𑀕𑁆𑀯𑀼ग्वु》/𑀕𑁆𑀯𑀽ग्वू》/𑀕𑁆𑀯𑁂ग्वे》/𑀕𑁆𑀯𑁄ग्वो》/𑀕𑁆𑀕𑁆𑀯𑀸ग्ग्वा》】グァ・グヮ/グィ/グィー/グゥ/グゥー/グェ/グォ/ッグァ

  8. S𑀲𑀸सा》/𑀲𑀺सि》/𑀲𑀻सी》/𑀲𑀼सु》/𑀲𑀽सू》/𑀲𑁂से》/𑀲𑁄सो》/𑀲𑁆स्》/𑀲𑁆𑀲𑀸स्सा》】サ/スィ/スィー/ス/スー/セ/ソ/ㇲ/ッサ

  9. Ś𑀰𑀸शा》/𑀰𑀺शि》/𑀰𑀻शी》/𑀰𑀼शु》/𑀰𑀽शू》/𑀰𑁂शे》/𑀰𑁄शो》/𑀰𑁆श्》/𑀰𑁆𑀰𑀸श्शा》】シャ/シ/シー/シュ/シュー/シェ/ショ/ㇱ/ッシャ

  10. J𑀚𑀸ज़ा, जा》/𑀚𑀺ज़ि, जि》/𑀚𑀻ज़ी, जी》/𑀚𑀼ज़ु, जु》/𑀚𑀽ज़ू, जू》/𑀚𑁂ज़े, जे》/𑀚𑁄ज़ो, जो》/𑀚𑁆ज़् , ज्》/𑀚𑁆𑀚𑀸ज़्ज़ा, ज्जा》】ザ=ジャ/ズィ=ジ・ヂ/ズィー=ジー/ズ=ジュ・ヅ/ズー=ジュー/ゼ=ジェ/ゾ=ジョ/ズ=ジ・ヂ/ッザ=ッジャ -ブラーフミー文字ではネパール語と同じく、JA𑀚》でジャ行のJA》とザ行のZA》の双方を示す。

  11. T𑀢𑀸ता》/𑀢𑀺ति》/𑀢𑀻ती》/𑀢𑀼तु》/𑀢𑀽तू》/𑀢𑁂ते》/𑀢𑁄तो》/𑀢𑁆त्》/𑀢𑁆𑀢𑀸त्ता》/𑀢𑁆𑀬𑀼त्यु》/𑀢𑁆𑀬𑀽त्यू》】タ/ティ/ティー/トゥ/トゥー/テ/ト/ッ・ㇳ/ッタ/テュ/テュー

  12. C𑀘𑀸चा》/𑀘𑀺चि》/𑀘𑀻ची》/𑀘𑀼चु》/𑀘𑀽चू》/𑀘𑁂चे》/𑀘𑁄चो》/𑀘𑁆च्》/𑀘𑁆𑀘𑀸च्चा》】チャ/チ/チー/チュ/チュー/チェ/チョ/チ/ッチャ

  13. TS𑀢𑁆𑀲𑀸त्सा》/𑀢𑁆𑀲𑀺त्सि》/𑀢𑁆𑀲𑀻त्सी》/𑀢𑁆𑀲𑀼त्सु》/𑀢𑁆𑀲𑀽त्सू》/𑀢𑁆𑀲𑁂त्से》/𑀢𑁆𑀲𑁄त्सो》/𑀢𑁆𑀲𑁆त्स्》/𑀢𑁆𑀢𑁆𑀲𑀸त्त्सा》】ツァ/ツィ/ツィー/ツ/ツー/ツェ/ツォ/ッ/ッツァ - 合成子音字TSAत्स➡𑀢𑁆𑀲》[ツァ]は、英語経由の借用語の場合に“そり舌音”のṬSAट्स➡𑀝𑁆𑀲》[ツァ]に置き換わる場合がある。

  14. D𑀤𑀸दा》/𑀤𑀺दि》/𑀤𑀻दी》/𑀤𑀼दु》/𑀤𑀽दू》/𑀤𑁂दे》/𑀤𑁄दो》/𑀤𑁆द्》/𑀤𑁆𑀤𑀸द्दा》/𑀤𑁆𑀬𑀼द्यु》/𑀤𑁆𑀬𑀽द्यू》】ダ/ディ/ディー/ドゥ/ドゥー/デ/ド/ド/ッダ/デュ/デュー

  15. N𑀦𑀸ना》/𑀦𑀺नि》/𑀦𑀻नी》/𑀦𑀼नु》/𑀦𑀽नू》/𑀦𑁂ने》/𑀦𑁄नो》/𑀦𑁆न्》/𑀦𑁆𑀦𑀸न्ना》】ナ/ニ/ニー/ヌ/ヌー/ネ/ノ/ン・ㇴ/ンナ

  16. -N-𑀦𑁆𑀆न्आ》/𑀦𑁆𑀇न्इ》/𑀦𑁆𑀈न्ई》/𑀦𑁆𑀉न्उ》/𑀦𑁆𑀊न्ऊ》/𑀦𑁆𑀏न्ए》/𑀦𑁆𑀑न्ओ》/𑀦𑁆𑀲𑀸न्सा》/𑀦𑁆𑀰𑀸न्शा》/𑀦𑁆𑀚𑀸न्जा》/𑀦𑁆𑀢𑀸न्ता》/𑀦𑁆𑀢𑁆𑀲𑀼न्त्सु》/𑀦𑁆𑀤𑀸न्दा》/𑀦𑁆𑀳𑀸न्हा》/𑀦𑁆𑀳𑀼न्फु》/𑀦𑁆‌𑀬𑀸न्‌या》/𑀦𑁆‌𑀬𑀼न्‌यु》/𑀦𑁆‌𑀬𑀽न्‌यू》/𑀦𑁆‌𑀬𑁄न्‌यो》/𑀦𑁆𑀭𑀸न्रा》/𑀦𑁆𑀯𑀸न्वा》/𑀦𑁆𑀯𑀺न्वि》/𑀦𑁆𑀯𑀻न्वी》/𑀦𑁆𑀯𑁂न्वे》】ンア/ンイ/ンイー/ンウ/ンウー/ンエ/ンオ/ンサ/ンシャ/ンザ/ンタ/ンツ/ンダ/ンハ/ンフ/ンヤ/ンユ/ンユー/ンヨ/ンラ/ンワ/ンウィ/ンウィー/ンウェ - 日本語の〈ンヤ〉行[-˜.j-]を示す場合はヴィラーマの後にゼロ幅非接合子[ZWNJ]を加え、金曜を〈किन्‌यो➡𑀓𑀺𑀦𑁆‌𑀬𑁄〉[キンヨー]のように示す。

  17. Ñ➡NY𑀜𑀸ञा》➡𑀦𑁆𑀬𑀸न्या》/𑀜𑀺ञि》➡𑀦𑁆𑀬𑀺न्यि》/𑀜𑀻ञी》➡𑀦𑁆𑀬𑀺न्यी》/𑀜𑀼ञु》➡𑀦𑁆𑀬𑀼न्यु》/𑀜𑀽ञू》➡𑀦𑁆𑀬𑀽न्यू》/𑀜𑁂ञे》➡𑀦𑁆𑀬𑁂न्ये》/𑀜𑁄ञो》➡𑀦𑁆𑀬𑁄न्यो》/𑀜𑁆ञ्》➡𑀦𑁆𑀬𑁆न्य्》/𑀜𑁆𑀜𑀸ञ्ञा》➡𑀦𑁆𑀬𑁆𑀦𑀸न्न्या》】ニャ/ニ/ニー/ニュ/ニュー/ニェ/ニョ/ニュ・ン/ンニャ - ヒンディー語日本語表記ではNYAन्य》[ニャ]に置き換えられ、その場合に対応するブラーフミー表記は《𑀦𑁆𑀬》となる。

  18. -Ñ-𑀜𑁆𑀘𑀸ञ्चा》➡𑀦𑁆𑀘𑀸न्चा》/𑀜𑁆𑀚𑀸ञ्जा》➡𑀦𑁆𑀚𑀸न्जा》】ンチャ/ンジャ - ブラーフミー文字本来のチャ行・ジャ行の前のンはNYA𑀜》を用いてÑCAञ्च➡𑀜𑁆𑀘》[ンチャ]とÑJAञ्ज➡𑀜𑁆𑀚》[ンジャ]のように用い、日本語翻字の場合は、ンジャメナが〈ञ्जामेना➡𑀜𑁆𑀚𑀸𑀫𑁂𑀦𑀸〉[ンジャーメーナー]のように語頭形となる。ヒンディー語に合わせた方式では、NCAन्च➡𑀦𑁆𑀘》[ンチャ]とNJAन्ज➡𑀦𑁆𑀚》[ンジャ]に置き換えられ、ンジャメナは〈न्जामेना➡𑀦𑁆𑀚𑀸𑀫𑁂𑀦𑀸〉[ンジャーメーナー]となる。

  19. H𑀳𑀸हा》/𑀳𑀺हि》/𑀳𑀻ही》/𑀳𑀼हु》/𑀳𑀽हू》/𑀳𑁂हे》/𑀳𑁄हो》/𑀳𑁆ह्》/𑀳𑁆𑀳𑀸ह्हा》/𑀳𑁆𑀬𑀸ह्या》/𑀳𑁆𑀯𑀸ह्वा》】ハ/ヒ/ヒー/フ/フー/ヘ/ホ/ㇵ・ㇶ・ㇷ・ㇸ・ㇹ/ッハ/ヒャ/ファ - ファ行のHVAह्व➡𑀳𑁆𑀯》[フヴァ]は沖縄語など琉球諸語表記に用いる。

  20. PH𑀨𑀸फ़ा➡फा》/𑀨𑀺फ़ि➡फि》/𑀨𑀻फ़ी➡फी》/𑀨𑀼फ़ु➡फु》/𑀨𑀽फ़ू➡फू》/𑀨𑁂फ़े➡फे》/𑀨𑁄फ़ो➡फो》/𑀨𑁆फ़्➡फ्》/𑀨𑁆𑀨𑀸फ़्फ़ा➡फ्फा》/𑀨𑁆𑀬𑀼फ़्यु➡फ्यु》/𑀨𑁆𑀬𑀽फ़्यू➡फ्यू》/𑀨𑁆𑀬𑁄फ़्यो➡फ्यो》】ファ/フィ/フィー/フ/フー/フェ/フォ/ㇷ/ッファ/フュ/フュー/フョー - ファ行音のFA》[f]は、ネパール語やマラーティー語と同じくPHA》で対応する字母で示す。

  21. B𑀩𑀸बा》/𑀩𑀺बि》/𑀩𑀻बी》/𑀩𑀼बु》/𑀩𑀽बू》/𑀩𑁂बे》/𑀩𑁄बो》/𑀩𑁆ब्》/𑀩𑁆𑀩𑀸ब्बा》/𑀩𑁆𑀬𑀸ब्या》】バ/ビ/ビー/ブ/ブー/ベ/ボ/ブ/ッバ/ビャ

  22. P𑀧𑀸पा》/𑀧𑀺पि》/𑀧𑀻पी》/𑀧𑀼पु》/𑀧𑀽पू》/𑀧𑁂पे》/𑀧𑁄पो》/𑀧𑁆प्》/𑀧𑁆𑀧𑀸प्पा》/𑀧𑁆𑀬𑀸प्या》】パ/ピ/ピー/プ/プー/ペ/ポ/ㇷ゚/ッパ/ピャ

  23. M𑀫𑀸मा》/𑀫𑀺मि》/𑀫𑀻मी》/𑀫𑀼मु》/𑀫𑀽मू》/𑀫𑁂मे》/𑀫𑁄मो》/𑀫𑁆म्》/𑀫𑁆𑀫𑀸, 𑀦𑁆𑀫𑀸म्मा, न्मा》/𑀫𑁆𑀬𑀸म्या》】マ/マー/ミ/ミー/ム/ムー/メ/モ/ㇺ・ン/ンマ/ミャ - 語中のMMAम्म➡𑀫𑁆𑀫𑀸》[ンマ]は、例外的に群馬の〈गुन्मा➡𑀕𑀼𑀦𑁆𑀫𑀸〉[グンマー]のようにNMAन्म➡𑀦𑁆𑀫》[ンマ]と表記される場合がある。

  24. -M-𑀫𑁆𑀧𑀸म्पा》/𑀫𑁆𑀨𑀸म्फा》/𑀫𑁆𑀩𑀸म्बा》/𑀫𑁆𑀯𑀸म्वा》】ンパ/ンファ/ンバ/ンヴァ - ンワはNVAन्व➡𑀦𑁆𑀯》, ンヴァはMVAम्व➡𑀫𑁆𑀯》と書き分ける。

  25. Y𑀬𑀸या》/𑀬𑀺यि》/𑀬𑀻यी》/𑀬𑀼यु》/𑀬𑀽यू》/𑀬𑁂ये》/𑀬𑁄यो》/𑀬𑁆य्》/𑀬𑁆𑀬𑀸य्या》】ヤ/イィ/イィー/ユ/ユー/イェ/ヨ/ィ/イヤ - 拗音を示す場合は、原則的にYAय➡𑀬》の前の子音字にヴィラーマ記号を付加して合成子音字を作成する。

  26. R𑀭𑀸रा》/𑀭𑀺रि》/𑀭𑀻री》/𑀭𑀼रु》/𑀭𑀽रू》/𑀭𑁂रे》/𑀭𑁄रो》/𑀭𑁆र्》/𑀭𑁆𑀭𑀸र्रा》】ラ/リ/リー/ル/ルー/レ/ロ/ㇽ/ッラ

  27. RY𑀭𑁆‌𑀬𑀸, 𑀭𑁆𑀬𑀸र्‌या, र्या》/𑀭𑁆‌𑀬𑀺, 𑀭𑁆𑀬𑀺र्‌यि, र्यि》/𑀭𑁆‌𑀬𑀻, 𑀭𑁆𑀬𑀻र्‌यी, र्यी》/𑀭𑁆‌𑀬𑀼, 𑀭𑁆𑀬𑀼र्‌यु, र्यु》/𑀭𑁆‌𑀬𑀽, 𑀭𑁆𑀬𑀽र्‌यू, र्यू》/𑀭𑁆‌𑀬𑁂, 𑀭𑁆𑀬𑁂र्‌ये, र्ये》/𑀭𑁆‌𑀬𑁄, 𑀭𑁆𑀬𑁄र्‌यो, र्यो》】リャ/リュ/リュー/リェ/リョ - 語頭形は日本語デーヴァーナーガリー表記のRʼYAर्‌य》[リャ]に合わせて《𑀭𑁆‌𑀬》となり、ZWNJ合成が必須となる。ネパール語デーヴァナーガリー文字ではZWJ合成によるRYAर्‍य》[リャ]行となり、それに合わせて《𑀭𑁆‍𑀬》となる。語中形は通常形のRYAर्य》[ルヤ]に合わせて《𑀭𑁆𑀬》となる。

  28. V𑀯𑀸वा》/𑀯𑀺वि》/𑀯𑀻वी》/𑀯𑀼वु》/𑀯𑀽वू》/𑀯𑁂वे》/𑀯𑁄वो》/𑀯𑁆व्》/𑀯𑁆𑀯𑀸व्वा》】ワ・ヴァ/ウィ・ヴィ/ウィー・ヴィー/ウゥ・ヴ/ウゥー・ヴー/ウェ・ヴェ/ウォ・ヴォ/ゥ・ヴ/ウワ・ッヴァ - 合拗音を示す場合は、原則的にVA𑀯➡व》の前の子音字にヴィラーマ記号を付加して合成子音字を作成する。

  29. 𑀗𑀸ङा》/𑀗𑀺ङि》/𑀗𑀻ङी》/𑀗𑀼ङु》/𑀗𑀽ङू》/𑀗𑁂ङे》/𑀗𑁄ङो》/𑀗𑁆ङ्》/𑀗𑁆𑀗𑀸ङ्ङा》】カ゚/キ゚/キ゚ー/ク゚/ク゚ー/ケ゚/コ゚/ング/ンカ゚ - 鼻濁音。単子音の場合は通常のGAग➡𑀕》に置き換えられる。

  30. -Ṅ-𑀗𑁆𑀓𑀸➡𑀦𑁆𑀓𑀸ङ्का➡न्का》/𑀗𑁆𑀓𑁆𑀬𑀸➡𑀦𑁆𑀓𑁆𑀬𑀸ङ्क्या➡न्क्या》/𑀗𑁆𑀓𑁆𑀯𑀸➡𑀦𑁆𑀓𑁆𑀯𑀸ङ्क्या➡न्क्वा》/𑀗𑁆𑀕𑀸➡𑀦𑁆𑀕𑀸ङ्गा➡न्गा》/𑀗𑁆𑀕𑁆𑀬𑀸➡𑀦𑁆𑀕𑁆𑀬𑀸ङ्ग्या➡न्ग्या》/𑀗𑁆𑀕𑁆𑀯𑀸➡𑀦𑁆𑀕𑁆𑀯𑀸ङ्ग्वा➡न्ग्वा》】ンカ/ンキャ/ンクァ/ンガ/ンギャ/ングァ - ブラーフミー文字本来のカ行・ガ行の前のンはNGA𑀗》[ンガ]を用いてṄKAङ्क➡𑀗𑁆𑀓》[ンカ]とṄGAङ्ग➡𑀗𑁆𑀢》[ンガ]のように用いる。ヒンディー語に合わせた方式では、NKAन्क➡𑀦𑁆𑀓》[ンカ]とNGAन्ग➡𑀦𑁆𑀢》[ンガ]に置き換えられる。

特殊表記

インド系文字を使用する言語では、発音に当てはめる表記がそれぞれ異なっています。
ネパール語式表記では英語《A》[æ]経由で借用されたア段は、ラがRYĀर्‍या➡𑀭𑁆‍𑀬𑀸》[リャ]という風に拗音に変化します。

  1. AI𑀐》/𑀓𑁃कै》/𑀕𑁃गै》/𑀲𑁃सै》/𑀰𑁃शै》/𑀚𑁃जै》/𑀢𑁃तै》/𑀘𑁃चै》/𑀢𑁆𑀲𑁃त्सै》/𑀤𑁃दै》/𑀦𑁃नै》/𑀦𑁆𑀬𑁃न्यै》/𑀳𑁃है》/𑀨𑁃फै》/𑀩𑁃बै》/𑀧𑁃पै》/𑀫𑁃मै》/𑀬𑁃यै》/𑀭𑁃रै》/𑀯𑁃वै》/𑀦𑁆𑀐न्ऐ》】アイ/カイ/ガイ/サイ/シャイ/ザイ・ジャイ/タイ/チャイ/ツァイ/ダイ/ナイ/ニャイ/ハイ/ファイ/バイ/パイ/マイ/ヤイ/ライ/ワイ・ヴァイ/ンアイ - 本来のサンスクリット語AIऐ➡𑖋》によるアイ音表記。ヒンディー語では発音がアェー[ɛː]に変化し、英語《A》[æ]経由で借用されたア段の発音を表す。

  2. JH𑀛𑀸झा》/𑀛𑀺झि》/𑀛𑀻झी》/𑀛𑀼झु》/𑀛𑀽झू》/𑀛𑁂झे》/𑀛𑁃झै》/𑀛𑁄झो》/𑀛𑁆झ्》/𑀛𑁆𑀛𑀸झ्झा》/𑀜𑁆𑀛𑀸, 𑀦𑁆𑀛𑀸ञ्झा, न्झा》】ザ/ズィ/ズィー/ズ・ヅ/ズー/ゼ/ザイ/ゾ/ズ/ッザ/ンザ - マラーティー語JHAझ➡𑀛》[ʣʰ ヅァ]によるザ行音表記。沼津市はヒンディー式では〈नुमाज़ू➡𑀦𑀼𑀫𑀸𑀚𑀽〉[ヌマーズー], マラーティー式では〈नुमाझू➡𑀦𑀼𑀫𑀸𑀛𑀽〉[ヌマーヅー]と表記される。

  3. 𑀝𑀸टा》/𑀝𑀺टि》/𑀝𑀻टी》/𑀝𑀼टु》/𑀝𑀽टू》/𑀝𑁂टे》/𑀝𑁃टै》/𑀝𑁄टो》/𑀝𑁆ट्》/𑀝𑁆𑀝𑀸ट्टा》/𑀡𑁆𑀝𑀸, 𑀦𑁆𑀝𑀸ण्टा, न्टा》/𑀝𑁆𑀬𑀼ट्यु》/𑀝𑁆𑀬𑀽ट्यू》】タ/ティ/ティー/トゥ/トゥー/テ/タイ/ト/ッ・ㇳ/ッタ/ンタ/テュ/テュー - インド諸言語でTTAट➡𑀝》は、東京の〈टोक्यो➡𑀝𑁄𑀓𑁆𑀬𑁄〉[トーキョー]など英語経由による日本語の借用語を示す場合に用いられる。

  4. 𑀟𑀸डा》/𑀟𑀺डि》/𑀟𑀻डी》/𑀟𑀼डु》/𑀟𑀽डू》/𑀟𑁂डे》/𑀟𑁃डै》/𑀟𑁄डो》/𑀟𑁆ड्》/𑀟𑁆𑀟𑀸ड्डा》/𑀡𑁆𑀟𑀸, 𑀦𑁆𑀟𑀸ण्डा, न्डा》/𑀟𑁆𑀬𑀼ड्यु》/𑀟𑁆𑀬𑀽ड्यू》】ダ/ディ/ディー/ドゥ/ドゥー/デ/ダイ/ド/ド/ッダ/ンダ/デュ/デュー - インド諸言語でDDAड➡𑀟》は、北海道の〈होक्काइडो➡𑀳𑁄𑀓𑁆𑀓𑀸𑀇𑀟𑁄〉[ホーッカーイドー]など英語経由による日本語の借用語を示す場合に用いられる。

  5. BH𑀪𑀸भा》/𑀪𑀺भि》/𑀪𑀻भी》/𑀪𑀼भु》/𑀪𑀽भू》/𑀪𑁂भे》/𑀪𑁃भै》/𑀪𑁄भो》/𑀪𑁆भ्》/𑀪𑁆𑀪𑀸भ्भा》/𑀫𑁆𑀪𑀸, 𑀦𑁆𑀪𑀸म्भा, न्भा》/𑀪𑁆𑀬𑀼भ्यु》/𑀪𑁆𑀬𑀽भ्यू》】ヴァ/ヴィ/ヴィー/ヴ/ヴー/ヴェ/ヴァイ/ヴォ/ヴ/ッヴァ/ンヴァ/ヴュ/ヴュー - ネパール語方式のBHAभ➡𑀪》[バ]によるヴァ行音表記。ワ行音を示すVAव➡𑀯》[ワ・ヴァ]と明確に区別される。

  6. L𑀮𑀸ला》/𑀮𑀺लि》/𑀮𑀻ली》/𑀮𑀼लु》/𑀮𑀽लू》/𑀮𑁂ले》/𑀮𑁃लै》/𑀮𑁄लो》/𑀮𑁆ल्》/𑀮𑁆𑀮𑀸ल्ला》/𑀦𑁆𑀮𑀸न्ला》/𑀮𑁆𑀬𑀼ल्या》】ラ/リ/リー/ル/ルー/レ/ライ/ロ/ㇽ/ッラ/ンラ/リャ - 固有名詞に用いる。

  7. VH𑀯𑁆𑀳𑀸व्हा》/𑀯𑁆𑀳𑀺व्हि》/𑀯𑁆𑀳𑀻व्ही》/𑀯𑁆𑀳𑀼व्हु》/𑀯𑁆𑀳𑀽व्हू》/𑀯𑁆𑀳𑁂व्हे》/𑀯𑁆𑀳𑁃व्है》/𑀯𑁆𑀳𑁄व्हो》/𑀯𑁆𑀳𑁆व्ह्》/𑀪𑁆𑀯𑁆𑀳𑀸व्व्हा》/𑀫𑁆𑀯𑁆𑀳𑀸, 𑀦𑁆𑀯𑁆𑀳𑀸म्व्हा, न्व्हा》/𑀯𑁆𑀳𑁆𑀬𑀼व्ह्यु》/𑀯𑁆𑀳𑁆𑀬𑀽व्ह्यू》】ヴァ/ヴィ/ヴィー/ヴ/ヴー/ヴェ/ヴァイ/ヴォ/ヴ/ッヴァ/ンヴァ/ヴュ/ヴュー - マラーティー語方式の合成子音字VHAव्ह➡𑀯𑁆𑀳》[ヴァ]によるヴァ行音表記。