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from the studio | AIと掛け算

from the studioはquantumからお送りしているメールマガジン「q letter」の中で連載している、quantumメンバーによるコラムです。取り組み中のプロジェクトに関するトピックスや、日々の気付きなどをお届けします。

「髪を切る仕事はAIがあっても残り続けますよね〜。よかったよかった。」お世話になっている美容師さんとそんな世間話をしながら「フィジカルな世界で欠かせないものごと」は今後どれだけAIが発達してもずっと残るだろうなと、アフターAIの世界を想像する時間がありました。

新規事業に携わる者として、AIの動向は日々追っているのですが、ここ数ヶ月で"プロ驚き屋"の「すごい!」「やばい!」の投稿と並んで、エンジニアの「料理を覚えるわ…」「体を鍛えようかな…」といった冗談混じりの不安の吐露を目にするようになりました。

少し前までは「コードを書くサポートをしてくれるから便利」程度の性能だったAIが、今では「ソフトウェアのサービスをAIで代替できてしまう」レベルまで進化していることを、敏感に捉えた投稿だと思います。事実、チャットボットやデータ分析ソフトをAIで実装した例を見かけることもあり、その危機感にはリアリティがあります。

このような"焦り"をしばしば目にするようになった折に触れた、美容師さんの「よかった」は新鮮なものでした。大工や料理人の友人とAIの話をしても美容師さんと同じような反応で、さらに言えば、フィジカルな事業を主な領域とする企業勤めの人も同様で、昨今のAIの発達状況に対してまだ一歩引いて眺めているような印象があります。この、AIの現状に不安を感じる人と、安堵できる人のギャップには個人的な興味があります。

少し、AIそのものの話をします。

世間を賑わせている昨今のAIは、「AlphaGo」のような過去に注目を集めたAIとは異なり、使用用途に限りがなく、汎用的な活用ができるGeneralなAIです。これを前提としたとき、今後のイノベーションはAIの領域に特化した使い方を見つけられるかどうかが、全事業者にとって一つの勝負所になるだろうと考えています。その特化の方法として、「フィジカルな何か」と組み合わせることが、一つの解になるのだろうと、冒頭の美容師さんとの雑談を機に考えるようになりました。

※本コラムのためにMidjourneyで生成した美容室

今はまだ溝があるAIとフィジカルですが、両者の掛け渡しにチャレンジしてみると、そこから今までにない大きな事業が誕生するかもしれません。「自社の事業には関係ない」と思っている方こそ、AIについて考えてみると、何か発見に繋がりそうです。

あなたはAIに、何を掛け算しますか?

author  |   宮下 巧大 ( Venture Architect )
 東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了。設計事務所にて建築やインテリアのデザインを経験した後、マーケティングプロダクトを提供するIT SaaS企業に就職。データとデザインの力を掛け合わせた事業開発に従事。2023年より株式会社quantumにジョインしクリエイティブ起点の事業開発やブランド設計に取り組む。また、事業開発やデザインとAIについての研究も行っている。一級建築士。

※このコラムは、quantumからのニュースや、新規事業・スタートアップに関連する情報をお届けするメールマガジン「q letter」にて過去に配信したものです。

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