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難病患者、ブラックジャック展へ行った


後期流産(死産)した話が出てきます。
辛い経験を思い出してしまう方は、ご自身で読む/読まないの判断をお願いいたします。




私とブラックジャック

はじめまして

初めて読んだのは幼稚園年長か、恐らく小学校1年生だった。
当時、大の仲良しだったMちゃんのお家が接骨院で、接骨院の待合室にチャンピオン版のブラックジャックが置いてあった。ブラックジャック以外の漫画もたくさんあって、Mちゃんには中3までの間に何冊の漫画を読ませてもらったかわからない。

私は主にクレヨンしんちゃん、こち亀を読んでいたんだけど、Mちゃんはブラックジャックをよく読んでいた。子どもだったから、友達が読んでいる漫画を無性に読みたくなる。

少し読ませてもらった。グロくて諦めた。
なんの話のどのシーンがグロいと思ったか、具体的には思い出せないけど、とにかく怖かった。
ブラックジャックは怖くて諦めたくせに、金田一少年の事件簿は怖がりながらも読み進めた。我ながら、基準がわからないね〜。


高校生

高校2年生ぐらい、学校の図書館に手塚治虫漫画が全導入される革命が起きた。
嬉々として私は読み漁った。その頃の私は立派なオタクで、漫画オタクになっていた。ついでに腐女子になっていた。(わからない方はスルーで!🦊)
ブラックジャックも再チャレンジして、今度は怯えることなくスルスル読み進めた。でも原作を途中までしか読まず、pixivで二次創作をニヤニヤしながら漁る時間の方が長かったかも…端的にいうと邪な目でしか読んでおらず、真面目には読んでなかった。


難病×後期流産×腎結石ありの状態


私と夫はまぁまぁなオタクで、2人とも20代だけど古い漫画(完結している漫画)が好きという共通点がある。
後期流産あと、1週間ほど私の実家でダラダラゴロゴロしていたのだが、その間に叔母(母の姉)の家から漫画をたくさん借りた。ちょうどTwitterでブラックジャック展をやる告知を見たから、ブラックジャックを2人で読んでから展示デートに行こうという話になった。

夫は火の鳥大好きマンであるものの、ブラックジャックは初めましてだった。私は人生3回目。


人生3回目のブラックジャックを読む私が、難病患者で、後期流産後で、腎臓に石まであるのは、なんかもう”いのち”をテーマにした漫画を読むのにピッタリ過ぎない?
そんなわけで、読み返した感想が今までと丸っと変わってしまった。どの話も「患者」の立場として読んでしまった。
患者目線で読むと、ブラックジャックに治療されたいかというとかなり微妙。選べるなら、椎竹先生が良いかなぁ。


好きなエピソード

執念

たった1コマだけ、ストーリーには関係ないけど私の難病が出てくる。この話の初出は1976年6月で、その当時のベーチェット病患者は高確率で失明していたらしい。私はベーチェット病の眼底出血がありながらも、現代医学のおかげで失明を免れた。今のところ、視力低下もしていない。
ベーチェット病は患者数が少なくて、SNSでは同じ患者さんと繋がれているものの、リアルでは親族も含めて出会ったことがない。(遺伝性の病気じゃないから、血縁者にもベーチェット病患者がいないのが普通)
殆どの医者がベーチェット病患者に遭遇しないから誤診も多くて、確定診断がつくまでに時間がかかることも特徴だ。知名度が上がるだけでも、救われる人がいる。
と、書いてる私も、この話は割と最初の方に出てくるから高校生のときに読んでるはずなのに、そのときは気にも止めなかった。

ベーチェット病の名前だけでも知ってくれたら嬉しい


戦争はなおも続く


母の愛虚しく、ブラック・ジャックの努力も虚しく。
高校生の時に読んで1番印象的だったのが、この話だった。未来永劫、意味が変わらない話だと思う。戦争だめ、絶対だめ。本当にだめ。ただその時は、「戦争はなおも続く」がタイトルも含め、短編としての完成度が抜群に高いという点で好きだった。

読み返した私は死産を経験したから、自分の子どもが自分より先に死んでしまう悲しみを知ってしまった。この話の辛さが100倍くらい理解できた。我が子は妊娠17週で亡くなったから、現世での思い出は殆どないに等しかったけど、お母さんの悲しみと戦争に行かせたくなかった気持ちがわかりすぎる。
戦争って、子どもとの思い出がたくさんある状態で徴兵されるじゃん。最悪だよ。戦争で我が子が死ぬことを名誉に思う毒父親の話もブラックジャックであるけどさ、頼むからドッチボールとか、オセロとかで勝敗を決めてくれよ。

私も1度、歩行が困難なほど腰が痛くなり、ヘルニアの診断を受けたことがあった。ただそれも、今から思えばベーチェット病の関節炎だったかもしれない。


ある老婆との思い出


ブラックジャックのエピソードってバッドエンドが多いけど、この話はthe・ハッピーエンドなところが好き。
救われた赤ちゃんが、無事大人になったところまで描かれているのも良い!
今までハピエンの話は「落としもの」「助けあい」が好きだったけど、自分が妊娠・死産をしたことで「赤ちゃんが無事に産まれて育った」点にやたら感動してしまった。


ブラック・ジャック展、最高だったよ!


撮影スペースが原作漫画世界に入れるギミックになっていて、最高だった〜〜。夫と全力で写真を撮りあった。背景に溶け込めることを重視するなら、白黒の服装で行くと👍
撮影スペースは一般観光客も入れる場所にあるから、人が多い時間だと撮影が大変かも。

ブラック・ジャックを読んだことない人も、展示を見てから漫画を読んでも良い!展示内容は惜しみなく原画を公開してるからネタバレのオンパレード状態になるけど、ブラック・ジャックはオチわかってても面白いから大丈夫!



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