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特別支援学校に入学してから1年

自閉症とわかってから4年、特別支援学校に入ってから1年が経とうとしています。長いようで、あっという間でもありました。もし特別支援学校にするべきか、支援級にするべきかなど迷っている人がいれば一つの判断材料になることを願ってこの一年の様子を何回かに分けて書いていきます。


臨海青海特別支援学校

港区から通学可能な臨海青海特別支援学校に通っています。都内では2019年に開校した学校ということもあって大きく新しい。ゆりかもめのテレコムセンター駅の近くにありまsy。学校見学は年間を通じて定期的に開催されており、もし車で向かう場合は、テレコムセンタービルの地下に有料駐車場があるのでそこを利用すると良いでしょう。この学校は東京都内だけでなく沿岸部周辺からも数多く生徒を受け入れている都立学校であり、管轄は東京都になる。多くの生徒は定期運行される通学バス(観光バス)に定時に指定のポイントから乗り込み、下校とともに指定のポイントに返ってくる形式です。港区側からの通学では、白金あたりからいくつかのルートを通ってレインボーブリッジを渡り学校まで向かっています。

授業生活

小学部では少人数制のクラスで指導を行っています。クラス分け等の理由は学校側の基準や配慮によるものであろうからわかりませんが、クラス授業は担任の先生がおおよそ目の届くサイズで行われるため不安はありません。指導内容は全て計画書に記載されたものが共有されるため、年間を通じてどのような指導が行われるのかはおおよそのレベルは理解できるようになっています。また、通常の学校とは異なり、私たちが通ったような多数の人間に向けた画一的な授業だけではなく、指導内容は児童のレベルに合わせてある程度パーソナライズされています。図形の一致に取り組む子もいれば、文字を書く練習に取り組む子もいます。先生はとても大変だと思いますが(そして感謝しきれないが)、一人一人のレベルに合わせた日々の課題が、自分の学習ラックに格納され順番に取り組んでいく形式です。これは特別支援学校では、私が見学に訪れた特別支援学校ではほとんどがそうでした。

特別支援学校の授業特徴は、本人の障害や特性に応じたおおよそのカテゴリがあります。週時程はここで確認できます。例えば自閉症であれば、社会性の課題が強いと認識されているため、授業カリキュラムの項目は、国語、算数、社会性(集団活動)のように、特に注力して取り組むべき療育的な科目が組み込まれています。社会性の授業では、複数人で布を持ちピンと張った状態で風船を運べるかどうかなど、自分だけでは達成できない行動を練習したりしているのです。

給食に関しては、アレルギー対応による除去食に対応してくれます。給食は全て成分表と除去対象が確認できるため、入学前に事前に保健師の先生と相談の上決めることができます。ただし除去食であり、特定の児童に対して要望次第でアレルゲンフリーの食材を用いる等ではありません。あくまでも対象品目を給食提供から除外するということなので、こうした対応を調整する場合には家庭から弁当を持参させる必要があります。私の場合は「グルテンフリー」と「カゼインフリー」である必要があったため、特定の除去食となる日は弁当を作って持参させています。

先生、学校関係者や通学バス送迎の方々

基本的に全ての方々が支援的で、保護者としては日々の皆様の取り組みと支援に感謝しかありません。詳しくは知りませんが、特別支援学校ではそもそも所有している通常の教諭免許に加えて障害児教育のための支援学校教諭免許等が取得されているようです。支援級と特別支援学校のどちらかに迷っていたとき数多くの見学を行いましたが、現状数多くの支援級は正直に述べると、支援を行うための体制や人材として成立していない状況にあると捉えました。一方で特別支援学校では障害が前提で取り組まれているため、通常の保育園通園と療育で健常児との差が開き、「周囲からあの子は障害児だから」と思われているだろうという卑下をせずに、何度も立ち上がる自分の精神と戦う日々からすれば安寧のレベルはとても高いものです。

通学バスは運転手さんだけでなく、通学支援のためのスタッフさんが複数名搭乗しており、毎朝明るく挨拶をしてくれます。今日も一日あの子は周囲が理解できない辛い状態でいないだろうかと思わずに、朝子供を学校にスッキリ送ることができる日々は、保護者の精神衛生上もとても良いものであると感じています。

特別支援級と特別支援学校で悩んでいる方へ

私の子供は自閉症で、区立の教育センターで受けた知能指数検査ではIQは50程度でした。K式検査では、言語・社会能力は1.5-2歳程度で極めてゆるやかな成長でした。文字や数字は書ける、文字や数字の発音はできるのですが、口語や文法とすることができないタイプです。身体能力には問題はなく、何度か行った検査において視力、聴力などは良好であると病院で判断されたため、身体障害ではないと捉えています。視線が合わない、言語(特に口語)の理解がとても困難といった特徴が強い子です。そのため例えば一人の先生が複数人に対して指示や解説を行うという状況において、それらの発言が「今聞くべきこと」であるとか「指示」であるという認知が難しく、共同注視を行うことができない状態でした。個別に力強く、はっきりと意識を集中させたり視覚的な情報に基づいて指導を行うことで学習はできる傾向がありました。自傷行為、突然の発狂や行動などはなく精神的には安定していますが、特定の音や状況において感覚が過敏または恐怖感があります。

上述の状態であることから、私は指導者に一定程度の専門性があり、ある程度の個別教育が可能で、混乱時には逃げることができ、そして何より本人が「できる」と思える環境を選ぶべきだと考え特別支援学校を選択しました。

これは私個人の感想であるため、支援級を否定するものではありません。支援級は先生に問題があるのではなく、体制に問題があるように感じます。自分が見た限りでは、支援級は先生が障害児を専門に担当することを意識しているとは言い難い姿勢や態度を多く見受けることがあったため、二次障害や通学自体が忌避感や恐怖になってしまうリスクがあると感じました。発達障害や知的障害は、その精神や心までもが障害なわけではありません。痛いことも、苦しいことも、そして楽しいことも、愛も感じることができます。学校は楽しいと思って欲しい、一緒に少しでも未来を願い行動してくれる人々と共に成長して欲しい。別にエリートやアスリートになって欲しいわけでも、親のエゴで何かと比較しないと生きていけないような人間になって欲しいわけでもありません。ただ幸せに生きるための力を身につけて欲しい。そう思っています。

次は、特別支援学校入学前にいくつか見学した特別支援学校について思い出していきます。

画像は Midjourney で生成しています
/imagine The World as Seen from the Perspective of an Autistic Child --ar 16:9

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