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中国語を始めて4年経ちました

前回のピアノに引き続き、私が4年間続けてきた日課のレポートを記録していく。下がこないだのピアノに関する記事。

ピアノを弾き始めたのと同じ日に、中国語の勉強を始めた。これも毎日50分途切れることなくやっていたので1000時間を超えた。

当たり前だが、もはやある程度はしゃべれるしある程度は聴ける。これはたぶん日本人中国語話者あるあるなんじゃないかと思うが、街で見かける漢字を目にしては、心の中で中国語読みしていたりする。

例えば、「世田谷」って書いてあったら脳内で即座に「しーてぃえんぐー」という中国語読みに声調(中国語では語尾を上げたり下げたりして言葉を使い分ける。そのパターン)と一緒に変換する。「熊本」なんかはひどくて、中国語だと「しょんべん」になる。脳内では「しょんべん行って辛子蓮根食いてえ」みたいなことになっている。

また、日本語と中国語で意味が違う同じ単語の使い方を「どっちだったっけ?」的に一瞬迷ったりする。

たとえば、この文章の冒頭に登場した「勉強」。これは中国語だと意味が違う。いわゆる日本語的な意味の「勉強」は何かを学ぶ意味があるが、中国語だと「勉強」は、「どうにかする」という意味だ。「我昨天晚上喝了太多酒。但我勉强回家了。」だと、「私は昨日酒を飲みすぎた。でもどうにか家に帰った。」ということになる。

で、日本語の会話の中に「勉強」が出てくると、0.01秒くらいどっちの意味かわかんなくて迷うようなことがある。

何はともあれ、たぶんレベルとしては、大学で第二外国語で中国語取ってかなり一生懸命やった場合に到達できるくらいのレベルにはなった気がする。

なんで中国語をしゃべりたいのか、というと、かなり明確な理由があって、それは、「中国語しゃべりながら白酒を一気飲みする」ためだ。

コロナのちょっと前、中国のクライアントの案件で、非常にやり甲斐がある規模の、スケジュール的にもかなりヒリヒリするプロジェクトがあった。

出来上がったもののクオリティとプロジェクトにおける立ち位置的なところを考えて、結果としてあんまり公表はしていないのだが、間違いなく私の人生を揺さぶったプロジェクトで、多くのことを忘れられない。

で、そのプロジェクトが終わって、お金を支払ってもらわないといけなかったわけだが、そこで問題が発生した。複雑な話でも何もなくて、普通になされるべき支払いが、部分的ではあったが行われないのだ。

当時は起業したてだったのもあり、これはかなり困った。困ったものだから、この件についてはかなり頑張ってお願いをして、最終的にどうにかなったんだが、何しろ当時は困った。

後からいろいろ聞くと、海外と取引が多い会社だとそうでもないらしいが、中国の会社、会社によっては、「支払いをなるべく遅延させられる経理の人が評価される」という文化が一部にあるらしく、こういうことはわりとあるあるではあるらしい。

当時の私は中国で仕事をするのも初めてだったし、中国の、いわゆる商習慣もプロジェクト進行のノリも全然わかっていなかった。しかし、上述の仕事が、自分にとってはすごくエキサイティングだったのもあって、もっとこの国で仕事したい、というように思ったし、その上でどうすればそういう商習慣ギャップを乗り越えつつまともに仕事できるのか、みたいなことも考えるようになった。

その上で、中国で活躍する先人に聞いて回ったり、ものの本を読んで理解した感じ、「中国語で会話して白酒(コーリャンとかでつくった中国の蒸留酒)を一気飲みすると、中国の皆さんは家族扱いしてくれるようになり、そうするとビジネス的にもいろいろ優遇してくれる」ということがなんとなくわかった。

こちらが白酒の最高峰、茅台酒。

なんとなくわかったというか、この「白酒一気飲み」についてはある種、象徴的な儀式として話に上っているだけで、要するに中国では、めっちゃ仲良くなると家族のように扱ってくれるようになり、そうなると、なんやかやいろいろ良くしてくれる、ということだ。で、仲良くなる近道として中国語をしゃべれると良いよね、ということなのだ。

私も経験があるが、実務レベルで、たとえば深圳の工場に基板を発注したい、とかそういうときは自動翻訳ですべて完結できるし、別に中国語を理解したりしゃべれる必要はない。つまり、概ねの人は中国語どころか英語だってそんなにしゃべれなくて良いとすら私は思っていて、そういう趣旨の記事も以前書いた。

なのだが、これが制作や開発の実務と違って、新しい仕事をつくる、とか、営業活動をして売り込んでいく、とかの領域になってくると話が通じればよい、ということではなく、人間関係だったり、あるいはいかに自分たちのやっていることを魅力的にプレゼンできるか、とかになってしまう。

なので、仕事上の立場的に中国語をしゃべれるようになりたい理由はあったし、子供の頃から中国文化全般に憧れてきたのもあって、「来世は中国語しゃべれるようになりたいなー」とか考えていた。

が、前回の記事にも書いたように、「残りの人生、やりたかったことをちゃんとやっとこう」みたいな決心をするタイミングもあり、おもむろにNHKの中国語講座Duolingoを始めたのが、ピアノを弾き始めたのと同じ日だ。それから4年間、毎日50分欠かすことなく中国語を学習してきた。

オンライン外国語学習プラットフォームのDuolingoは、学習を始めた初日からずっとやっているので、今日で1467日目連続で続けている。もういい加減Duolingoのレベルはクリアしているが、ピンイン(発音のトーン)の復習にはなるので、やるにはやっている。

引き続き、オンラインのマンツーマンの中国語授業を受けている。相変わらず、Netchaiで週に3〜4回授業を受けている。この3年間くらい変わらず、内モンゴルに住んでいる発音にうるさい先生とずっと一緒にやっている。3年も毎日のようにSkypeで会話しているので、実際に会ったことないし、たぶんすごい年下だけど、気分的には「お師匠様」くらいな感じで尊敬するようになってしまった。

各種オンライン中国語講座の比較なんかは、2021年の日課レポート記事に書いた。

これに加えて中国語作文を鍛えるべく、毎日中国語で日記を書いて先生に添削してもらっている。これもちゃんとこの1年も続けた。

あとはYouTubeなどでのリスニング教材を聴きながら洗い物などの家事をやったり、みたいな感じで、継続はしてきたので、少しずつレベルは上がっているのだろう。上がっていないとおかしい。

とはいえ、この一年は中国語学習的には苦難の年だった。その原因は、中国語検定二級だ。

去年の今頃までに、私は世界中で実施されている中国語の検定(HSK)については一番難しい6級に既に合格していた。6級受かったから今度は中国語検定、いわゆる中検を受けよう、ということで、HSK6級よりやや難しいと言われていた中検2級にチャレンジしてみようということで初めて受けたのが一昨年の秋だった。

HSKと中検は全然違う。ちょうど良い比較対象が英語におけるTOEICと英検で、HSK=TOEIC、中検=英検、みたいな感じがイメージとしては正しい気がする。TOEICもHSKも問題が素直というか、変に凝った知識は必要なくて、各言語の「ノリ」さえつかめてしまえば、正答を予想しやすい感じがする。「なんとなくこういうこと言ってるのかな?」みたいな直感で答えられるというか。で、それに対して英検も中検も、しっかりとした知識がないと太刀打ちできないというか、ちゃんと勉強して、ある知識がインストールされていないと「ノリ」がわかっていても太刀打ちできないような感じというのがある。

で、そんな「凝った知識」が必要になる中国語検定2級、一昨年の秋に最初に受けたときは不合格、昨年の夏にリベンジしたときも全然リスニングができなくて不合格

こんなにも1つの試験に苦労した経験が初めてのことなので、不合格後、めちゃくちゃ悔しくてリスニングの教材を買い込み重点的に練習した。その時使ったのがこの本。この本はリスニングの練習にとても良い。

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中国語検定2級は、リスニングで100点中70点、読解と作文で100点中70点を両方クリアしないと合格にならない。夏の試験までは、リスニングも読解作文も合格点まで行かず、歯が立たない感じに陥っていた。

で再リベンジということで受けた昨年秋の試験、3度目の挑戦ではリスニングの特訓の甲斐があってリスニングが85点くらい取れたのだが、読解作文が68点で、あと2点足りず不合格という、串カツ田中に直行して泣きながらメガハイボールをがぶ飲みしかない悔しすぎる結果に終わった。

そして、こないだの3月、読解と作文における単語力が足りない! と思って単語帳をたくさんつくって語彙力を増やして臨んだ4回目のチャレンジ。

結果はまだ届いていないのだが、リスニングで失敗、自己採点では70点には届かず、たぶん読解もそんなに取れていなさそう、というところでたぶん不合格だろう、という状況となっている。

ここまで来ると「これは草むしり検定5級」か? みたいなレベルで受かる気がしなくなってくる。超きつい。自己肯定感が定期的に下がるイベントと化している。

とはいえ、中国語学習業界? で言うと、中検2級は上級学習者の証みたいなもので、この次の準1級は、中国語の先生とかでも受かるのギリギリで、1級になると、中国人でも平気で落ちるらしいので、このくらい苦労するものなのかもしれない。

実はこの4月から、京都精華大学で特別実習講座みたいなのを担当させて頂くことになったんだが、これも当初は中国人留学生を中心に生徒を集めることで自分の中国語力も上げる、という下心もあったところ、日本人を中心とした講座になってしまい、普通に頑張って教えるぞ! みたいなことになっている。これについては別途記事にしてレポートすることになるような気がする。

そして、この日課・習慣を始めてから毎年やっているのだが、元同僚でWhatever TaipeiのShinyと中国語で雑談して、それをベンチマークにして中国語うまくなってるかを確認する、というのを今年もやらせて頂いた。Shinyさんご協力ありがとうございました。比較用に2021年のやつと今年のを並べておいておく。

2021年(3年前の)

2024年(今年の)

おすすめの中国語ドラマについて教えてもらったりしているが、彼女は宮廷劇が好きらしい。検定は落ち続けているが、去年よりはしゃべれるようになっている気がする。

そうこうしているうちに、インバウンドの観光客向けの中国案件だったりとか、中国での展示物だったりとか、ちょこちょこ仕事の話は生まれつつあるので、今年こそは中国語しゃべりながら白酒を飲んで中国の方々と仲良くなりたい。

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