0502「アボット・キニーのさなだ虫」
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0502「アボット・キニーのさなだ虫」

私は運動神経がものすごく無い。どのくらい無いのかというと、中学生の頃、運動測定みたいのでハンドボール投げとかがあったと思うが、どうしても前方にボールを投げることができなくて、あれの記録が「マイナス2m」とかになってしまう程度に運動神経がない。反射神経みたいのも無い。ボールが飛んできたらキャッチする、とか、障害物が来たら避ける、とか、そういうのは総じて苦手で、はたから見るとドン臭い動きをする人だと思う。

ゆえに、子供の頃から、シューティングゲームとかアクションゲームというものが苦手で、スーパーマリオとか、いくらやっても人より上手になることができなかった。e-sports的なものは格好良いなと思ったりするが、ストリートファイターなんてそういう系の最たるものなので、ものすごく下手だ。ああいうのは無理だ。

なので、小さい頃から何をやるにしても、他の人たちが全員できていることに失敗したりする。たとえば、スキューバダイビングなんかをやってみあことがあるが、あからさまに他の人と較べてできないことが多くて、動きもバタバタしていて、何が起こるかというと酸素が1人だけ速くなくなる。ああいうダイビングみたいのは団体行動で、誰かの酸素がなくなったりすると全体でダイビングを終わらなくてはいけなくなったりするので、私だけが高速で酸素を消費すると顰蹙を買うのだ。周囲の白い眼が痛い。

「もっとマンタを見ていたかったのに・・・。あのハゲのせいで・・・。」と思われているのではないかと辛くなってしまって、続けることができなかった。ダイビングはとても素晴らしいものなのに。

昨日からロサンゼルスにいる。今回はいつもと少し違って、内陸での打ち合わせは昨日だけで今日はわりとSanta MonicaとかVeniceらへんの海岸ぞい、いわゆるウエストサイドでの打ち合わせが続くので、珍しくVeniceのおしゃれストリート、Abbot Kinney通りのアパートに泊まってみた。この記事にある通り、こまっしゃくれている。

いつも内陸なので、このへんに来るのは半年以上ぶりで、ちょっと久しぶりなのだが、この半年での大きな変化としては、例のキックボードのシェアライドが完全に流行っていて、そこかしこに電動キックボードが放置してある。仕組みとしては中国のMobileとかoloと同じで、アプリでQRコードをスキャンすると乗ることができて、好きなところに置いて返せる。ロサンゼルスのウエストサイドでは、このキックボードサービスが複数乱立していて、どこの街角でも置いてあるような状況になっていた。

専門のLimeとかBirdとかはもちろん、LyftやUberも参入していて、みんなさっそうとこれに乗って滑っていく。これが乗り方説明ビデオだ。

存在はもちろん知っていたが、これとちゃんと向き合ったことが無かったので、今回はこの電動キックボードに乗ってみよう! と思い、登録してみたが、一方で、上述のように「みんなが簡単にできることをどうしてもできない」タイプの人間なので、「もしかしたら自分は他の人のようにあんなに颯爽と道を滑ることはできず、こけるのではないか」と思ってはいた。で、実際に乗ってみると、思った通り、怖すぎる。スロットルみたいのを回すと加速するのだが、身体が引っ張られちゃって全くコントロールが効かず、思いきりこけた。

どうせそんなこったろうと思ったが、案の定、私はこの電動キックボードに乗ってはいけないタイプの人だった。たまにこういうことがあるから辛い。颯爽とLAの道を滑りたかった。

ちょっと落ち込みつつ、朝飯を買えるところを探していたら、今度はキックボードではなく、この小さな自転車みたいのが並んでいるのを見つけた。

「WHEELS」というサービスらしい。見た感じ、これは電動自転車なのか。これだったらもしかしたら自分でも乗れるかもしれない、と思って登録してみた。案の定電動自転車というか、ほとんど簡易原チャリみたいな感じだった。

これは面白い。これだったらこけないし、ロサンゼルスの路上を軽やかに滑ることができる。自分が乗っている映像は撮れないので、YouTubeに落ちていたのを貼ってみる。

素晴らしいのが、この自転車はアンロックするとBlueToothのスピーカーになっていて、スマホに接続して自分の好きな音楽を流せるのだ。これをやると、街に音楽が流れ始めて、すごくロサンゼルスっぽくなる。自分の周り半径5mくらいがカリフォルニア化する感じだ。そんなことをせずともここはカリフォルニアだが、そういうレベルの高いカリフォルニア感がある乗り物だと思った。折角なので、Abbot Kinney通りのおしゃれムードをぶち壊しにしてやろうと思って、ブリーフ&トランクスの「さなだ虫」をプレイしてみた。それでもまだカリフォルニアだった。

WHEELSに乗って海岸まで行って颯爽と風を感じてみると、すごく気持ちがいい。今までどうしても、ロサンゼルスという街をどう愛せばよいのかわからなかったのだが、なんとなくこの街との付き合い方がわかったような気がする。

最近筋トレをしているので、アーノルド・シュワルツネッガーも筋トレをしたという伝説のマッスル・ビーチまで行ってみた。ここは屈強な筋肉自慢たちが筋肉を見せつけながらトレーニングをする場所だが、WHEELSで心がカリフォルニア化していたので、そのまま入ってダンベルを上げてみた。すごく楽しい。初めて自分がカリフォルニアと握手したような感じがした。これはQOLが高い。シュワルツネッガーになった感じはしなかった。

中国と同様にシェア自転車系にありがちな自転車の山みたいな光景がさっそく発生していて、人間というものの難しさを感じたりもしたが、カリフォルニア化しているので、「空に太陽があればそれでいい」みたいな考え方をすることができる。これがカリフォルニアというものか。

BASSDRUM / Tech Director - http://bassdrum.org - http://qanta.jp 日記と過去記事が掲載されるはずです。