これが僕たちが欲しかった未来なのか?(ジャパンモビリティショーの感想)

東京ビックサイトで開催されている、ジャパンモビリティショー2023に行ってきました!少しだけ感想とか。

面白かったんですが、感想は一言で言うなら「これが僕たちが欲しかった未来なのか?」でした。EVコンセプトも多く展示され、日本もEVシフトに向けて大きく動き出していることを感じさせる展示ではありましたが…。

未来のモビリティ、と言うコンセプトの展示会だっからか、やや興醒めするものも。日産だけど。車のインテリジェント化が進む中で、提示される未来の「それじゃない」感。AIがドライバーの心理状態を察知してくれて、おすすめの曲をかけてくれたりとか?まあそれはそれですごいと思うけど。

日産のブース。これはネットの拾いものです。

車の進化が、走ること自体を超えて、別の領域、空間の提供とか、ドライバーとAIのコミニュケーションとか、新しい次元に広がっている。逆に言うと、進化の領域が、もう車それ自体ではないと言う印象を受けた。もっとも、今回の展示はほとんどコンセプトなので、そんな未来はかなり先の話ではあるが。

好感できないトレンドは、なんでも自動化されること。例えばセンサーが周囲の状況を察知して、ドアを勝手に開けてくれたりとか。アイシンのブースで紹介されていた技術だが、そんなん欲しい?という感想。安く作ることよりも不要な付加価値をつけて高く売りたい、という作り手の思惑を感じてしまった。EVの航続距離もそうで、満充電で東京ー大阪を往復できるEVなんて要らなくて、それならバッテリーの量半分にしてくれとまあまあ、それは説明用ムービーで紹介されていた進化の一つの例えなので、噛みつくのも良くないかもしれないが。航続距離に関しては、ブレーキをコントロールして回生量を増やす技術もあるそうで、それが安く標準化されるならそれに越したことはない。

さて、いくつか回ったブースの写真を紹介。

まず一番印象に残ったのはTHKのEV。あのリニアガイドとか作ってるTHKです。コンセプトとはいえ、かっこいい!シートやインホイールモーター、サスペンションにボールスプラインの技術を応用しているそう。なによりデザインと内装めちゃくちゃカッコよかったですねー。ぜひいつか販売まで漕ぎ着けて欲しいですね。

次はヴァレオの48V 6kWのミニカー向けのモーター。こんな小さいけどミニカーであれば90km/h出せるらしい(※ただし、ミニカーの法定最高速は60km/h)。モーターって凄いんだなぁ、と改めてモーターの力を再認識。ベルト駆動になってるのはなんで?と聞いたところ、元々このモーターはオルタネーターで、それを流用したからだそう。この駆動モーターはシトロエンのアミに搭載されている。

車体に取り付けるとこんな感じ

ヴァレオは6in1イーアクスルの展示もあった。EV専用プラットフォームは最近は後ろにイーアクスルを搭載するのが増えているらしく、後部座席の下にイーアクスルが来るため、イーアクスルの低背化が課題だとのこと。なので、インバーターなどを薄く作る必要がある。中国では前方配置の例が多いように思うが、そうなのか。

某社でもイーアクスルについて聞いたところ、意外と3in1のニーズは多いとのこと、必ずしもXin1にしてまとめることがいいわけではなさそう。ただ、やはりコスト面で言うとXin1が優位のよう。部品メーカーの生の声が聞けたのは嬉しいですねぇ。

次に、空調のサンデン。これは面白かった。冷媒は冷媒ユニットの中だけを循環し、車内を循環するのは水やクーラント液。今後プロパンなど可燃性の冷媒が使用される可能性を考えると、車内をプロパンが循環するよりは、冷媒が冷媒ユニットの中だけを循環しているので、そこだけ漏れ検知をすれば良いものこと。冷媒の使用量も少ないのでコストも下げられる。ただし、効率がやや落ちること、また重量が増えることが課題。

フォクスコンのMIHも展示をしていた。MIHのEV事業はまだまだ検討中でもたついてる感じがするが、B-Onと言う会社が使っている配送用のEVはすごい。ドライバーがコンテナの横から荷物を取り出せるのだが、コンテナの中で(たぶん)自動で取り出す荷物を手前に出してくれて、配送ルートから積み方を考える必要がなくなったり、取り出してすぐ検品して、配送ミスをなくす工夫がされている。これは配送業務がグッと楽になるよね。

あとはBYDですかね。ドルフィンの運転席に座ってみました。特別凄いと言う感想はなかったけど、逆に安っぽさとかもない。シールとかもカッコよかったです。月並みだけど。

タンクターン見れませんでしたが、BYDのU 8は、写真で見るよりずっとかっこいいです。

スズキ。ファミリーを狙った好感度の持てるステージでした。コンパニオンのお姉さんの服も、落ち着いた感じ。常連じゃないので昔と比べてどう、と言うことは分かりませんが、露骨な女性の美(というか、エロ)を売るようなコンパニオンはほぼおらず、時代ですね、と言う感想。まああんなの続けてるの中国ぐらいか。

他にも色々みたんですけど、完成車メーカーの展示は案外ふーんと言う感じで、そんなに面白くなかった。コンセプトばっかだったし。日立アステモは四輪用のイーアクスルは出してなくて、二輪用だけ。二輪ってインホイールモーターがもう実用化されてるけど、イーアクスルにして中央に配置するメリットってなんなんだろう。聞けばよかった。

色んな技術を見てると、技術ってすごいね、と思う。自分も設計してみたかったなと思ったりもするが、時間を巻き戻せるから、自分は設計者の人生を選んだろうか?そんなことを考えさせてくれる、刺激のある展示会だったと思います。

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?