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猪苗代町の作家 高見沢功さんと、原作を書いた白虎隊のマンガの話

 小野町で、作詞家の丘灯至夫さんをマンガにした『小さな巨人』が出版されるという話をこのあいだいたしました。そのマンガのシナリオを担当されたのが猪苗代町の高見沢功さん。
 高見沢功さんって、どんな作品を書かれている方なんだろうと思ったら、福島県や歴史の偉人を題材にした本を発表されている方なんですね。

 この方のこれまでに手掛けた作品を読んでみたいと『白虎隊物語 綺羅星のごとく』を購入いたしました。会津若松市にある歴史春秋社から2019年に発行されたマンガ。180ページぐらいで800円。
 高見沢さんについて知りたいなら、文字で書かれた本の方を読むべきなんですが、文字だと買っても読まなくなる可能性が高いのでマンガ本を選択しました。

 マンガの作画は郡山市出身の矢沢順さん。
 高見沢さんと矢沢順さんの組み合わせは、2013年の『オテンバ-ル八重』という作品もありました。新島八重、山本八重のマンガですね。
 NHKでドラマ「八重の桜」で賑わっていた頃、綾瀬はるかさんの「八重の桜」とともに、書店の店頭に並んでいるのを観た記憶があります。

そのほか高見沢さんが書かれた小説は『白虎隊・青春群像 白雲の空に浮かべる』(2018年)、『只見川』 (2019年)、『五色沼』 (2020年)、『大逆転 渋沢栄一・炎の青春』(2021年)、『大波乱 渋沢栄一・海を渡る』(2022年)、『棲家求めて 保科正之、若かりし日々』 (2023年)、『日比留の海』 (2024年)と最近は、一年に一作のペースで小説を発表し続けているようです。

 高見沢功さんって、どんな方かなと思ったら、2019年に只見川という小説を書くための資金のためにクラウドファンディングされていたので、そちらに詳しく経歴が書かれています。

 静岡県沼津市生まれ。2歳のとき福島県猪苗代町に移り、高校時代から小説を書きはじめ、映画監督を目指して日大芸術学部で映画について学び、大学在学中に会津についての映画を8ミリ映画で制作。
 東京のCM制作会社に就職し、東京で14年間務めたあと、郡山のCM制作会社に勤務。2004年に郡山にCM制作会社を作り独立。

 そして、高校時代に小説を書いていたことを思い出し、仕事とは別に小説を書きはじめたそうです。

 1996年に『長女・涼子』で福島県文学賞小説部門・奨励賞。1997年に『地方御家人』で福島県文学賞小説部門・準賞。1998年に『十字架(クロス)』で福島県文学賞小説部門・文学賞を受賞。
 平成24年度~令和5年度 福島県文学賞小説部門・審査委員を務めているそうです。

 映像系をしつつ、小説を書いて活躍している人がいたんだ、とびっくり。
 しかも、自分が生活している郡山市で働いているとは、びっくりびっくりです。

 その方がマンガの原作、シナリオで作ったのが、『オテンバール八重』、『白虎隊物語 綺羅星のごとく』、そして今回の『小さな巨人』なんですね。いよいよ丘灯至夫さんのマンガを読むのが楽しみです。

 で、『白虎隊物語 綺羅星のごとく』を読んだわけですが、多数の白虎隊についての本や小説、マンガを参考にして作られているようです。
 年表や地図、白虎隊に関係する人たち一人ひとりについてエピソードをまとめたものなども、巻末についています。
 白虎隊について、非常にわかりやすい。
 マンガのストーリーも「什の掟」を中心に組み立てられていて、単なる悲しい物語、昔話的になっていていなくてわかりやすい。

 わかりやすいはずなんだけど、残念ながら、自分の心に近づいてこなかったです。
 それは一つには、「白虎隊」を題材にするため、一人の人物を主人公にした視点で描けないので、読者は物語に熱中できない。
 もう一つには、事実に合った話を描く関係上、嘘なストーリーは描けない。
 この二つのしばりがあって、面白くするのは難しいです。

 そして、さらにもう一つは、本じゃなく自分が悪いです。どうしても自分が、現在の倫理と論理でストーリーを観てしまうので、150年くらい前の生きていた人々の心に近づけないということです。自分の想像力の無さですね。これが邪魔をして熱中できなかったです。

 ですがこの本、福島県民なら一家に一冊、白虎隊ってどんな人たちだったのか知るため、県外の人に説明するためにも、持っていて良い本と思いました。

 というわけで、今回は、高見沢功さんという、映像系の仕事をしながら小説を書いている方が郡山市にいることに気づいてびっくりした、と、その彼が原作を書いた『白虎隊物語 綺羅星のごとく』を読んだ感想の話でした。
 それにしても早く、新作の丘灯至夫さんのマンガが読みたいですね。

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