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夢のエアーズロックへ①

2023.02

ある日、恋人が転職をすることになり、次への職場へと移る前の1ヶ月の有休消化期間を使ってオーストラリアのメルボルンにいく、と告げられました。

なにそれ、楽しそう、私も行きたい。

しかし私も1ヶ月休む、、なんてことはできないから、3日の有給と土日を使って5日間、なんとか3泊5日のスケジュールを調整することにしました。

彼と行く初めての海外旅行。

メルボルンを調べていくうちに、観光スポットは少なく約2日あれば主要エリアはまわれることがわかりました。

そうすると、ガイドブックでやっぱり気になるエアーズロックのページ。

そもそも3泊5日でエアーズロックには行けないよな…と最初は諦めるものの、やっぱりどうしても気になってしまう…

メルボルンからエアーズロックは1泊だけでもよければ全然行ける距離だとわかり、リサーチすればするほど「行くしかない!」となり、夢のエアーズロック行きが決まりました。

彼が先にオーストラリアに行き、2日後に私が追いかけ、メルボルンで集合してエアーズロック行きの飛行機に一緒に乗る、という計画。

しかし…
さまざまなアクシデントやイレギュラーがあり、一日遅れてやっと羽田空港を出発…
しかもその日はメルボルン直行便が少なく、シンガポール経由で行くことに。(どうしてもシンガポール経由じゃないとエアーズロック行きの飛行機の出発時間に間に合いませんでした)

途中、あまりの高額のチケットの金額に、やっぱこのまま行くのを諦めるべきか…とも何度も悩みました。

一晩中、どんどん高くなっていく金額に、「こんな機会はないんだ行こう」、「いややっぱ辞めておこう…」と何回ラリーを繰り返したことか…

結果、間に合う飛行機を血眼になって探し、当日購入で大金を払うことを決意。

シンガポール空港
メルボルン行き

まずはシンガポールに到着し、次のメルボルン行きの搭乗口を電光掲示板で確認すると…

まさかの出発前に1時間の遅延決定…

それじゃあ間に合わない、とシンガポール空港のジェットスターの地上係員にお願いをし、1便早い飛行機に変更できないか交渉をしたところ、まさかのOKでまずは一旦一安心。

これでエアーズロックに行ける…と安堵しながら一つ早い時間に飛行機に乗れたのはいいものの、今度はまさかの機内で約2時間の出発待ち…

この2時間、生きたここちせず。
飛行機が滑走路からぴくりとも動かない。

時差を何度計算してもエアーズロック行きの飛行機に間に合わない…

それをオーストラリアに一足先にいる彼に伝えたいが電波が通じず、1人でモヤモヤ…葛藤…
このまま歩いてオーストラリアまで行った方が早いのでは?とばかな発想をしてしまうくらい長い長い待機時間でした。

もし私が間に合わなくても1人で行ってね…
でもやっぱり寂しいから待っててくれたりするかな…と、出発後も不安でいっぱいになりながら長時間のフライトを過ごしました。

こんな大金を払ったのに、結局エアーズロックに行けないなんてバカみたいだ…

1人でメルボルン着いたとしても、彼がエアーズロックにいてバラバラで過ごすなんて元も子もないよな…

やっぱ無理な計画なんかしなければよかった…と様々な感情がいっぱいでもちろん一睡もできず、ずっと画面のフライトマップを見つめていました。

フライトマップと残りの飛行時間を見つめていると、2時間も遅れて出発した割にはかなり早く着くことがわかりました。

飛行時間を計算すると、やっとメルボルン空港に着いた頃には、ちょうどエアーズロック行きの飛行機の搭乗が始まっているような時間。

ターミナルの移動もあるみたいなので、頭の中で必死に移動のシミュレーションをしていました(もちろん空港の構図がわからないのでただただ走る、という想像)

客室乗務員に事情を話し、1番に機内から降りて走り出せるよう、ドア付近の座席に移動してもらいスタンバイしていました。

飛行機のドアが開いた瞬間、

「グッドラック!」

と乗務員からエールを貰いました。

ずっと1人で悩んで悩んでカチコチになっていた表情筋がちょっと緩み、涙が出そうになって返事ができませんでした。

声を出すと涙も一緒に出てきてしまいそうなくらい、この「グッドラック」がすごく心に沁みました。

溢れそうな涙を必死に抑えて、返事の代わりに精一杯頷きました。

まず到着ロビーに着いた瞬間、空港のWi-Fiを使って彼に連絡することもできましたが、そんな時間を使うなら走って搭乗口まで行くしかない、とスーツケースと一緒に猛ダッシュで違うターミナルへ移動。

間に合うか、間に合わないかなんてもう関係なく(関係あるけど)、ただただ搭乗口に彼がいることを祈って、一緒にエアーズロックに行けることを祈って、走りつづけました。

走って走って、人混みを掻き分けて、でも内心どこかで諦めている自分もいました。


国内線ターミナルへ到着し、急いで保安検査場で荷物検査をしていると、空港のWi-Fiに繋がった携帯に彼からLINE電話が…

「今ついたかな?エアーズロック行き、1時間ほど遅延するみたいだよ。保安検査場を抜けたところで待ってるよ」

それを聞いた瞬間、じわっとあったかい涙が出そうになったのを覚えています。

乗っていた飛行機の便名を彼に伝えていたため、遅延していること、今到着したこと、すべて彼は把握していました。

久しぶりに聞いた彼の声、飛行機に間に合うこと、待っててくれたこと、不安はもう何一つないこと、もう1人じゃないってこと。

「よかった〜!」

飛行機が遅延したことで、こんなにも喜んだことはないと思います。

荷物検査を終え、無事彼の姿が見えて合流できた時は安堵の気持ちでいっぱいになり、本当に泣きそうになりました。

「一緒にエアーズロックに行ける!!」



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