65.長距離と短距離のフォームの違い

ありがたいことにコラムファンの生徒さんから、お題リクエストを頂戴した。
ちょうどネタ切れの時に、困ったなぁ…明日までに出てこなかったらここで止まるのか…この振り上げた拳の行き先模索中だったが、救われた。

まさにまさにで、嬉しい。鉄を熱いうちに打ちまくってアウトプットに全力投球と、モグモグタイムを終え栄養が入った心身で立ち向かおうとしている。

さてと、長距離と短距離のフォームの違いは私なりの考えと感覚では、重心をゆったりのんびりと書けるのか、素早くかけるのか、重心をかけるスピードの違いと考えられると思う。

多くの指導者や選手はでの動かし方がとか、伸びてとか個人の感覚に頼って説明することが多いと思うので、しっくりくる言葉に落とせるか、両建てで言ってみよう。

まず長距離
個性的な泳ぎ方が多いのでよく映像を見比べてみてほしいが、どの選手にも独特のリズムがある。そのリズムこそが私が伝えたい重心移動。
右手をかくの時は伸びていて、左はそうでもないなど。この重心移動で使っているのが、伸びている側の手(右手をかいていれば左側)脇腹腹筋と背筋だろうと思っている。筋肉を伸ばしていても、ほんのちょっと縮む力が働くのだが、エキセントリック(伸張性収縮)が得意かどうかだろうと見立てている。
これを指導者達は、踏ん張ってとか力入れてという訳だ。長距離の場合、何百回も長時間にわたってこのエキセンを行う必要があるため、重心を移動してバランスが取れる最低限の力で支えている。
得意な側というのがあり、そこに大いに頼って泳ぐため、左右差すごい!に至ると思う。
その寄せ集めであるため、リカバリー動作で、次のキャッチのことを考えていると、肘をストレートに伸ばすよりここはコンパクトに…と肘を曲げていたり、肩を沈めて腰で勢いを受けると思っていれば、脇を伸ばして腰を回転させ(股関節をパタっと閉じるように…説明後日)なんて動作に入りやすいように動くだろう。
また、長距離において、一定のリズムを淡々と刻むことはフォームよりもなによりも極めて大切だ。そのためにも、泳者が気持ちよく動き続けられる一定のリズムがあり、それが左右非対称のため、1纏りの連続では完結しているが、一定か?と言われると不規則と感じるのかもしれない。ゆらぎとでも思っておけば良いのかもしれない。

対して短距離は、ゆっくりと重心移動をしている暇はなく、どちらかと言えば重心を進行方向にかけたまま、ころぶー、倒れるーのまま、なんとかバランスを保って壁までいくだけなのだろうと思う。
短距離の選手の方が左右対称で、リズムも一定にかんじるのは、重心が常に前にあるので、左右対象にしないと次の動作に素早く動けないからではないだろうか?長距離の選手の、右の次が左でというかんじの順番ではなく、ずーっと真ん中で押し込んでいるような体重のかけ方なのでは?と感じる。
そのため、フォームの違いとして出てくるのは、前重心が崩れない間に次の手が回ってくるというものだ。手の軌道という視点から見てみると、長距離選手がストロークする姿を真横から見た場合手の軌道は入水とフィニッシュでの間で幅広い楕円を描くのに対し、短距離は肘を高く上げた位置と水中との縦方向に手が動き、円に近くなる。私の勝手なイメージだが、短距離の選手の方が肩甲骨を素早く器用にクルクル回すように使えると感じる。
手のひらの向きについても
長距離選手は水に対して逆らわず受け流すような使い方をするように感じるが、短距離の選手のそれは、向きを固定してあり肩甲骨の動きだけで回っているように感じる。

力まずに早く回すという、長距離選手の苦手なそれは、彼らの操体法が器用であるからだろうと思う。
古武術のYouTubeを見ていて、足を浮かせて重心の位置をずらして…など、素早く動くための動き方があるみたいなので、いちいちあれしてこれしてと考える長距離選手と比べ、目的が達成出来ればなんでも取り入れるという柔軟な心と体の持ち主が短距離の選手なのかもしれない。

以下どうでも良い余談だが。
長距離選手との食事会は6時間とか12時間とかとにかくながーい。
一方短距離の選手との食事会はとても早く15分から長くても30分だ。食べるスピードも非常に早い。
興味関心に対しての一極集中が可能な短距離選手と、まったりのんびりしている長距離選手と、マインドや行動にも、やるか、やらぬかの点においてのメリハリにおいても、別の生き物のように感じてしまう。

ちなみに私のもぐもぐタイムは大変遅く、圧倒的に長距離寄りの意見だ。
短距離の得意な天才の皆さんからも長距離選手のここが変だよ!のご意見を頂戴したい。

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