68.重心と体重移動と浮力 クロール

68.重心と体重移動と浮力

1.クロールにおいての重心移動と浮力

クロールにおいて、
短距離では頭(前方)に体重を乗せたまま、
手を短めにクルクルとかく。機動は縦の円。

長距離では左右に体重を移動させながら
手を後ろまで長めにかく。軌道は横の楕円形。
その時の浮力は、どのように動くか?

短距離の「頭に〜」の場合、浮き上がってくるのは胸(みぞおちの背後)で、進むことによってそれに引きずられるように腰や脚が浮き上がってくる。
浮いたままキープといった感じ。腹筋全体でうっ!と支えている。

長距離の「左右に〜」の場合、浮き上がってくるのは左手を伸ばして下げていれば反対の右肩で、1番目肩、2番目腰、3番目膝といった具合だ。

違いは浮く場所、あとはタイミングも少しずれる。
下の手(今なら左手)の前鋸筋が縮み、脇腹腹筋、骨盤、腿横と、支えるために縮む筋肉が頑張る場所が徐々にずれて分散する。

泳者が浮いていると一言に言っても、伏し浮きのように止まった状態で考えてしまうと、重さがかかればその場に沈むような感覚があるが、進んでいるということは、それなりに水が固定され(床のような役割を果たす)そこを滑るのでぽこっと浮くというよりも、床を滑っている時にその状態が続いている…という水面に浮き続けている浮力を意識すると良い。反対の考え方では沈み込むである。
ビート板が浮き続けている様子を考えてもらえればわかりやすいだろうか?

大人になって雑巾持って床を滑るようなことは、流石にできないとは思うが、前に滑り続ける為には、お尻に体重が乗っていると、それが重りとなって前には出ていかない。前のめりの姿勢で体重が前にかかりっぱなしの状態で(ここが姿勢の練習とか、お腹に力を入れてなどと言われる部分)それをできるだけ継続すると浮力が出てくる。

飛行機が飛び上がるのは進行方向は前で方向は上なので、下から浮かび上がる力を使ってやると良い。

水泳の場合、進行方向は前で、この点は同じだが、方向は水平である点、飛行機とは異なる。みぞおち付近を軽く曲げて背中を浮かせる水泳は、この水平移動のためで、そのため重心を前のめりに、つまり肩や手を沈めてあげると、水平移動がしやすいという仕組みだ。


……………
大人になってから子供の頃泳げなかったので挑戦したいと始めた方は、だいたい似た点で引っかかってくるのでその話をしたい。読み物としてみていただければ嬉しいし、1人でも泳いでみよっかな?ぷかぷかしたいな!の方が増えてくれることを切に願うし、可能ならば私とご縁がつながれば最高だ。

1.人は本来浮きます。
人間の体には呼吸によって空気が入っている。
吸う、吐くの深さ、浅さにもよるが深呼吸で500ml浅い呼吸でも250mlが入れ替わる。確か単位は1分間。
そのほかに緊急事態用のバックアップがあり、また、体の中を巡っているものも含めると、目一杯吸った状態で肺活量の分は残っていることとなる。
空のペットボトルを持って浮いてもらえればわかるが(浮き輪がわりにする)500mlでもかなり浮く。2Lもあれば、遭難時に使えるくらいだ。
仮に、肺活量が3.0Lとすると、無くなったのは最大でも0.5Lで、2.5Lは、残っている。
先程のペットボトルの話と同様に、浮くための容量としては、まぁまぁ「ある」ということだ。

2.じゃあ、沈むには?
息を吐けば沈みますよ。は教科書的な話である。まぁ60%合格といった感じだろうか。
では残りの40%の話は?というと、どちらの方向にどのように沈む力をかければ、どこにどのようにし沈むのか?という、場所の話と、どのようにの話、それから、いつ、というのも大事だ。

いつ?については、息を吐いてからすぐではない、息を吐いてすぐは、まだ体のバランスが呼吸満タンの状態で保たれている。
ではいつ?というと、吐いてから1,2,3と数えて4くらいのところで、床方向に尖っている場所、例えば膝や腰に沈む力がかかりながら、バランスが崩れることにより膝裏や腰にどーっと水が乗ってきた時に沈む力の方が強くなり沈む。
そのため前体重でお腹に力を入れて支え…などと話すのは、沈みやすい重たい場所(脚全体)があり、そちらに力がかからないよう、やじろべえで、バランスを取るためだ。

水泳においての重たい場所は胴体と脚。
そのため陸上での重心はおへそとなるが、水泳ではみぞおちに上がる。

腰を曲げて後傾にして仙腸関節の周りで支えてなどというのも、腰を浮かせる「努力」をしないと、脚の重さと長さによって下半身が重くて、浮袋(肺のこと)もなく、浮く道具が脚にはないので、放っておくと下に引っ張られて沈むからだ。

3.水の神様は天邪鬼
力むと沈みます、頑張ると溺れます。
ではどうするか?極力なにもしないことです。
え?!と思うことだろう。

私は子供の頃にコーチから、何もしないで進め、
はいどうぞ!と言われた。

ちょうど理科で浮力を習っていた頃で、ずーっと浮き続けられたらいいのになぁと感じたのを覚えている。
       ↑
推進力 →   浮力  
      重力   抵抗←
       ↓

この図を書いた時に、浮力と重力の力が大体同じになる沈まない場所という境目が、水面の約10cm付近にあるとジャグジーで習った。

この場所を使って、浮き上がるとか沈むとか平らに浮けば良いと理解した。

抵抗を最小限にして、適度に推進力を得て、浮力を使って動きなさい。とコーチは言っていた。

つまり、
抵抗を最小限には
水とぶつかる場所を減らして

推進力を得ては
かくか、けるかして

浮力を使いながら
水面で浮き上がる力を存分に使い


泳ぎなさいだった。

早くなるためには
この話と、大きな動作を素早くやればいいと
言われた。

とりあえずここまでで一度おしまい!



2.背泳ぎにおいての重心移動と浮力
3.平泳ぎにおいての重心移動と浮力
4.バタフライにおいての重心移動と浮力

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