70.(68-1)下半身による重心移動 クロール ローリング

クロールのバタ足キックとローリングありのキックの違いについて説明をする。恐らくは腰を全く動かさず水平を保ったままキックをしている方は、膝を曲げたバチャバチャキックとなりやすく、それは大腿四頭筋(太もも前)腿の力に頼ったキックの傾向にある。

対して腰の力に頼ったキック、概ねローリングのことを話しているのだが、ローリングした後、キック動作で膝下を伸ばし水を押すため、動作の完了までを捉えればクロールキックとも捉えられるし、動作の途中、大事な要素のみだけを捉えれば、(腰を動かしローリングしただけ)重心移動が終わったと考えることもできる。

ここではローリング動作の終わり、つまり重心移動が終わったところという意味で、股関節開閉と骨盤後傾位での姿勢保持が大事だと言っていると思って読んでいただければ嬉しい。

これは腹筋や背筋、臀筋による力強い力を出せるようにするためで、重心移動後膝が伸びて水を捉えてキックで足が動いた時の姿勢保持も兼ねるため推進力が得やすい。(無駄な抵抗も少ない)
是非マスターしたいキックだし、姿勢だし、抵抗を減らすローリングだ。

重心移動というテーマなので動作は大事な要素のみ、完了はしていない、つまりどのようにローリングするの?について大切な点をお伝えしたい。

まずはどのように腰が回っていくのか、腰の動きと曲がる場所、力を入れる場所の説明をしよう。


1.股関節の開閉

股関節の開閉、クロールにおいては片足が休みで片足が動くように意識するとわかりやすい。
その後腰を交互に入れて大きめのローリングから、徐々にコンパクトにまとめていくことをおすすめす?

直接的な動きとはかけ離れた説明とはなるが、仰向けに寝た状態で練習すると意識がしやすい。

1.片膝を立て片方の足は伸ばして休み、休みの足は床に踵とハムストリングをペタッとくっつけるようにする。
2.片膝立てをした足の内もも(内転筋)を休みの足の内もも(内転筋)につけるように、膝を開閉する。
3.この時片膝立ちの側の足の腰が浮くところまで持ち上げながら倒すとこれがローリングで使う下半身の重心移動だ。

最初は自身の足の重さだけで寝返りを打つようなイメージで練習を行い、続いて筋力を使って同じ動作を行うと使い勝手が理解できてよい。
長距離では重さを使って動かすし、短距離ではむしろ腰を動かすというよりは足が動くことによってバランスが崩れるのを動きながら安定させる使い方をする。

先程の内ももをくっつけて腰が浮いた時と、
腰が床についている時とを比べてみると、
腰が浮いた時は休みの足の方に体重が乗っていて、それは腰が浮いたことにより重心が移動している。
床についている時は両方の(腰)お尻に重さが乗っていることがわかる。
床に寝てローリング動作を練習している場合は、片尻体重になると理解すればよい。

重心移動についてはここまでで終わりだが、その後に膝が伸びキックが入るので載せておきたい

……………

ローリングによるバタ足キックの手法


では具体的に
水中でのローリングによるキックを説明しよう。
ここでは具体的に片足休みを右足とし、動かす足を左足とする。

1.まずは下に書く骨盤後傾の状態で水面に腰が平行に浮いており、足は少し水面より下がっている状態を確認する。

2.その状態で、おやすみの足の右足に左足を絡めるように
足を組むようなつもりで股関節をパタっと閉じて左足を右足に引き寄せる。左足はやや内旋(うちねじり)をするとやりやすい。その時左足の膝は右方向を向いている。

3.2の姿勢が取れたところまでが重心移動で、その後、膝下を伸ばせばキックがはいる。
主に2ビートなどの効かせるキックは、膝下だけでパタパタするのではなく、腰の回転を太もも、膝下(足)に伝え、水を押してやる。足が伸ばせるか?の問題は後回しとし、ローリングでバランスが取れているかを重視して練習を行いたい。



平泳ぎのように両足で開く閉じるの動作と少し異なるので、まずは股関節の動きについて理解を深めよう。

参考までに………

股関節は、大腿骨(だいたいこつ)の上端にある骨頭(こっとう)と呼ばれる球状の部分が、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるソケットにはまり込むような形になっています。正常な股関節では、寛骨臼が骨頭の約4/5を包み込んでおり、このことが関節を安定させています。股関節が安定し、更に周辺の筋肉と協調することで、私たちは、脚を前後左右に自在に動かすことができます。




2.骨盤後傾での姿勢保持


骨盤後傾姿勢を保持するためには、
お尻を締め、お腹に力を入れ仙腸関節を水面と平行に(まっすぐ)に保つように意識すると良い。
泳ぐ方からすれば腰を丸めたまま泳ぐようなイメージだ。
骨盤後傾の時は膝が緩んでいた方が動きやすい。膝をピンと伸ばそうとすると、股関節の前にある腸腰筋が伸びてしまい太もも(大腿四頭筋)に余計な力が入る。太ももの力を抜いて腹筋と背筋、大臀筋のそれぞれのパワーを活かすための姿勢と考えていただければ良いと思う。

仙腸関節とは、
腰椎の終わり部分の骨盤内にあり骨盤安定にとても重要。お尻やお腹の筋力から繰り出される強いキックを生むためには、この骨盤の向きが保てているのか?が重要。

参考までに…


仙腸関節とは、背骨の下部にある仙骨が、骨盤の左右の腸骨と組み合わさってできている関節です。仙骨の「仙」と腸骨の「腸」の頭文字をとって仙腸関節と名付けられました。
仙腸関節は、上半身の体重を支えているため、いくつもの頑丈な靭帯によって包まれ、補強されています。


骨盤後傾姿勢
壁に寄りかかるようにして腰を丸め、骨盤ニュートラルで床に着いていた座骨が長座をしている足先の方に滑り出ていく形のことで、恥骨が上がり腰で座るような姿勢だ。尾骶骨を中にしまい込むような姿勢で、腹筋を縮めると腰が丸まる。

骨盤ニュートラル
壁を背に長座など床にペタッと座った場合、座骨といってお尻の骨が二つ床に当たっていることと思う。この骨がまっすぐ真下に(今ならば床)に刺さっている状態が骨盤ニュートラル、もしくは立ててという姿勢である。

骨盤前傾姿勢
反り腰の方に多くみられる。腰の骨を前に突き出し尾骶骨を壁の方に突き出すような姿勢だ。腰のアーチを強め顎が前に出る事で背中に力を入れて姿勢を支えようとする。腹筋が抜けていることが多い。


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