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獣になれなかった22歳の私

トップ画は絶対に獣になれない我が家の猫だが、『獣になれない私たち』の第1話を観た。 Twitterで「ガッキーが可哀想」という感想は目にしていたものの、予備知識ゼロの軽い気持ちで観たのが失敗だった。 新卒1年目の出来事がフラッシュバックしてひどい動悸と吐き気に襲われた。 どんなに理不尽で辛い境遇でも変わらず美しいガッキーを見ながら「あぁ、これがPTSDってやつか」とぼんやり思った。 1話のあらすじをざっくりまとめると、 いつも笑顔で仕事もでき、誰からも愛される主人公・深海

    • 眠れない結婚前夜に思うこと

      あと数時間で、28年間付き合った苗字が変わる。 子供の頃にさんざん「ゴジラ松井」とからかわれ、あまり好きではなかった苗字だけど、いざ変わるとなるとやはり少し寂しい。 世の中の既婚女性たちは皆こんな夜を越えて妻になったんだろうか、なんて考えるとなんだかグッとくる。 苗字なんてただの記号かもしれないけど、家族との血の繋がりが絶える訳じゃないけど、職場では「松井さん」のままだけど。 あたらしい名前を試しに書いてみては、なんか芸能人みたいな名前になっちゃうなと笑う。あと画数多す

      • 私と同じ名前の彼女へ

         名前で呼ばれる機会があまりないので、清水富美加ちゃんの話題にいちいちドキッとしてしまう。名は体を表すというけれど、彼女はその名のとおり「ゆたかで、うつくしく、あたえる」人だった。  昨年、彼女にインタビューをさせてもらったことがある。こんな無名のライターから同じ名前とか言われても困らせちゃうだけだよな…なんて思ったので黙っていた。しかしマネージャーさんとご挨拶したときに「ぜひ本人に教えてあげてください、絶対喜ぶと思います〜!」と笑顔で言ってもらえたので、勇気を出して「実は

        • KIDSじゃなくなった私がSuchmosについて思うこと

           平成生まれ、であることにちょっとした誇りを持っていたように思う。アルバイト先、合コン相手、就職してからは上司やクライアントから「えっ、平成生まれ!?」と驚かれるたびに、私たちは新時代の人間なんだとよくわからない特別感を抱いていた。  しかし、平成は既に29年を迎え、平成元年生まれの私は27歳になっていた。仕事柄、年上の方と接することが多いので若手扱いされるものの、もう立派なアラサーだ。キャリアアップしたり、結婚や出産をしたりと、私の何十歩も先を進んでいく同級生たちの後ろ姿

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        • 書を捨てず、街にも出ちゃう
          4本

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          おんがく

          1年以上ぶりの全感覚祭はめちゃくちゃに寒くて、厚着をしてこなかった私が悪いんだけど、いつまで経っても野外ライブという気分になれなかった。去年と同じところへ同じ人と来るなんて、実はものすごい奇跡のはずなのに、そんなことどうでもよくなるレベルの寒さだった。 それでもNUUAMMのライブは素晴らしくて、子供の持つ純粋な残酷さ・暴力性みたいなものがしぼんだ心臓にあたたかな血液を送ってくれた。綿菓子の中に隠された手榴弾をかじってしまわないように、細心の注意を払って甘いところだけ食べたけ

          続・おばあちゃんの話

          おばあちゃんの話、を書いてからすぐ、危篤状態の連絡を受けて木曜日の最終新幹線で広島へと戻った。 モルヒネを投与されたおばあちゃんは、いつも夢の中にいるようだった。 「あつい?」「痛い?」という質問にうなずいたり、首を振ったりするくらいで、モルヒネによって痛みだけでなく思考までも奪われたようで見ていてつらいものがあった。 それから4日間、私たち家族は毎日朝9時から19時までおばあちゃんにつきっきりで、全員が疲れきっていた。 おばあちゃんが暴れて外してしまう酸素マスクをつけ直し

          続・おばあちゃんの話

          おばあちゃんの話

          「呉ばあちゃんが、大腸に穴があいてヤバい状態です。48時間もてば乗り切れるかも…と言われました。最悪の時は、連絡します」 広島に住むオカンからのLINEは、深夜2:59に届いていた。ディスプレイの右上を見ると朝の10:10。少し遅めの、いつもどおりの日曜日が始まる予定だった。オカンに電話をすると「遠いけぇ、無理して来んでもいいよ」と言われて、おばあちゃんが倒れたときの話になった。 「おばあちゃんがベッドに丸うなって痛い痛い言うけぇ、こりゃいけんって救急車を呼んだんよ。そし

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