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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

huluオリジナルドラマ「十角館の殺人」 のネタバレ感想


さいしょ

ワイは原作小説を子供の頃に読んで以来の綾辻行人さんファンなのですが、
このたび十角館の殺人がhuluでオリジナルドラマ化されると聞いてテンションぶち上がっておりました。
絶対映像化不可能!と言われていた作品だけに、どんな風に映像化されるんだろう・・とわくわくしながら一気に見てしまいました。
初見の感想は・・・冒頭に詳細に書くと長くなっちゃうので、最後に書いていきたいと思いますが端的にいって最高に素晴らしかったです。
さて、新装改訂版の文庫を引っ張り出してきましたので
小説と見比べながらもう一度見ていきたいと思います。
(コミカライズもされているようですが残念ながら漫画は未読です。)
なお、本作品の犯人、トリック等、核心部分を隠さずにネタバレしまくってしまっているので未読、未視聴の方はご承知おき下さいますようお願い申し上げます。

全体の構成

原作小説では、第一章「1日目・島」、第二章「1日目・本土」・・・といった感じで、島に渡ったミス研一行の物語と、本土で青屋敷事件を追う江南くんの物語が1日刻みで語られるようになっているのですが、
ドラマではそれよりも頻繁に視点変更が行われるようになっています。
そのほうが、より島と本土の時間の並行感が明確になるという判断なのでしょうか。
なお原作は島または本土の1日を1章として各章は複数の項番に分けられており、内容を勝手に要約して列挙すると以下のようになっています。

小説版

  • プロローグ(犯人の独白)

  • 第一章 一日目・島

    • 1-1(ミス研一行が漁船で島へ向かう)

    • 1-2(島へ上陸、十角館への到着)

    • 1-3(部屋決め、青屋敷跡の探検)

    • 1-4(会話。昼食)

    • 1-5(エラリイのマジック、夕食、ヴァンの体調不良)

  • 第二章 一日目・本土

    • 2-1(江南、中村青司の手紙が届く)

    • 2-2(中村紅次郎訪問、島田潔と知り合う)

    • 2-3(江南と島田、喫茶店へ)

    • 2-4(喫茶店。青屋敷事件と千織の話。飲みに行く)

    • 2-5(守須宅へ。三人で手紙や青屋敷事件についての推理)

  • 第三章 二日目・島

    • 3-1(オルツィ起床。プラ板のプレート発見)

    • 3-2(プレート犯人探し。プレート片付ける)

    • 3-3(昼食。プラ板考察)

    • 3-4(夕食。プレート言い合い。ヴァンの体調不良)

  • 第四章 二日目・本土

    • 4-1(江南と島田、庭師吉川の妻訪問の車中)

    • 4-2(吉川宅、吉川の妻との会話)

    • 4-3(紅次郎宅へ。不在。守須宅へ)

    • 4-4(バールストン先攻法。守須、推理を降りる)

  • 第五章 三日目・島

    • 5-1(アガサ起床。オルツィ死亡)

    • 5-2(犯人探し)

    • 5-3(外部犯の可能性を検討)

    • 5-4(夕食後、カー死亡)

    • 5-5(毒の混入方法、犯人の動機を推理)

  • 第六章 三日目・本土

    • 6-1(江南と島田、S町へ。ミス研一行を島に送った漁師と遭遇)

  • 第七章 四日目・島

    • 7-1(ルルウ起床。予備のプレート。カーの左手。遅い昼食)

    • 7ー2(青屋敷の地下を探検。テグス、エラリイ転倒)

    • 7-3(エラリイの手当。所持品検査の提案と拒否)

    • 7-4(ブチギレアガサ)

    • 7-5(アガサ介護、ルルウの胸騒ぎ、解散)

  • 第八章 四日目・本土

    • 8-1(江南と島田、紅次郎を直撃)

    • 8-2(守須、江南宅を訪問)

    • 8-3(江南、紅次郎の告白を守須に語る。探偵終了宣言)

  • 第九章 五日目

    • 9-1(ルルウの起床と外出。アガサ起床と化粧)

    • 9-2(ヴァン起床。アガサ死亡。ルルウの部屋にプレート)

    • 9-3(ルルウ安否確認、窓破壊、不在のため外へ。死体発見)

    • 9-4(ルルウ安置、アガサの検死)

    • 9-5(最初から再検討。十一角のカップに気づく)

    • 9-6(検討、口論、雨、足跡の再確認のため外へ)

    • 9-7(足跡の検討)

    • 9-8(犯人は猫島にいる仮説。ポウ死亡)

    • 9-9(地下室の発見。白骨死体発見)

    • 9-10(火事発生)

  • 第十章 六日目

    • 10-1(守須、館炎上の知らせを受ける。江南、島田と合流)

    • 10-2(島田、紅次郎犯人仮説)

    • 10-3(島田兄との会話)

  • 第十一章 七日目

    • 11-1(6名死亡の新聞記事。
           地下室から庭師吉川の死体発見の新聞記事)

  • 第十二章 八日目

    • 12-1(ミス研部室での会合。事件の説明と聴取)

    • 12-2(犯行の準備の告白)

    • 12-3(1,2日目の行動の告白)

    • 12-4(3,4日目の行動の告白)

    • 12-5(5日目、ポウ死亡までの行動の告白)

    • 12-6(6日目までの行動の告白)

    • 12-7(会合終了)

  • エピローグ

ドラマ版

これがドラマだと、
第一話:プロローグ、1-1、2-1、1-2、1-3A、2-2、1-3B、1-4、1-5、2-3、2-4、2-5。
3-1、4-1'、3-2、4-2、3-3、3-4、4-3、4-4’、5-1A。
第二話:5-1B、(江南宅)、5-2、(紅次郎宅)、5-3、6-1、5-4A、(紅次郎宅)、5-4B、(帰りの車中)、5-4C、(江南宅)
第三話:5-5、(江南宅)、(K大へ)、7-1、7-2、(看護師を訪問)、(紅次郎外出)、(紅次郎宅への車内)、7-3、7-4、7-5、8-2’、9-1A、9-1B、9-2、9-3A
第四話:9-3B、9-4、(千織の墓)、9-5、8-1’A、
9-6、9-7、8-1’B、9-8、8-1’C、
9-9’A、8-3’、9-9’B、(帰りの車中)、
10-1、10-2、10-3
最終話:11-1、12-1、12-7、(江南。島田、管理人との会話)、12-2、12-3、12-4、12-5、12ー6、
エピローグ

といった構成になっています。
初見の時は全く気付かず、原作通りの構成だと思って見ていたのですが、
数時間ぐらいの時系列の組み換えはけっこうあるっぽいです。
そして日付レベルでは、

  • 守須の「僕は降りる」宣言は原作では2日目でしたが、ドラマでは4日目の出来事になっていること。

  • 「兄弟不仲情報」については、原作では島田が物語開始時点から、事前知識として持っていました。おそらくは紅次郎とのこれまでの付き合いの中で、聞かされるか、察していたのでしょう。(P98 兄弟の仲は―)しかしドラマでは3日目の吉川妻との偶然の出会いまで明かされないという違いがあります。

  • そして青司の、千織に対するわが子への愛情というものがどうやら希薄だったようだという情報も、原作では2日目の吉川妻との話でわかることですが、ドラマでは4日目の病院の会話で喪主の件についての話を聞いてわかるような演出に変更されていること。

  • 江南と島田が紅次郎宅で青屋敷事件の真相を知るのは原作では4日目の出来事ですが、ドラマでは4日目も留守で会えず、5日目の出来事となっていること。

上記の時系列の組み換えや設定変更があったのかなと思ってます。
この変更は恐らく、完全に原作通りに進めると、
2日目に守須君がブチギレ降板するのは、映像化すると両方とも一話目の内容で、わずか数十分間の視聴で急に豹変することになりますので、
それではいかにもいきなり感があるのかな、とか、
では守須の降りる宣言を2日目からどこへ動かすか。4日目にするしかない。4日目に守須を憤慨させるためには、千織の出生紅さんに直撃計画が4日目に提案されるのが自然である。そのためには、推理がそこへ辿り着くためのとっかかりとなる兄弟不仲情報と娘好きじゃなかった情報の入手を3日目以降に遅らせるのがよい。となったのかな、とか、
原作では5日目は島の物語しか存在せず、江南、島田など本土メンバーがどのように5日目を過ごしていたかが全くわからないため、ドラマ化すると日常に戻り友人と徹マンする江南などを撮らなければいけなくなり緊張感が削がれるため、本土側も5日間の物語に引き延ばしたのかな、
などと勝手な推測をしていました。
まあ物語の核心にはあまり影響ないのでよい変更かもしれませんね。
では各話の感想です。

第一話

じだい

物語の舞台は1986年。原作が書かれたのは1987年でほぼリアタイ設定であったものが、2024年現在では実に37年が経過しています。
そのため個人的にはドラマ化に際して舞台を現代に変更するなどの何らかの翻案が行われたりするのかな?と、少し不安に思っていたのですがそんなことはありませんでした。
本編と一緒に配信されていた綾辻先生の対談特番を見たところ、どうやら時代設定を当時でやってくれというのは綾辻先生からの要望でもあったようです。
しかし仮にそれがなかったとしても、時代が動くことはなかったんじゃないのかなと少し見て思いました。
原作再現にかけるこだわりの熱量がすごかったので。
奇しくもこの80年代半ばという時代は、知的遊戯のための一世界として、地理的に周囲から隔絶した場所で連続殺人を行えば、トリック次第で警察の捜査線上にもあがらず完全犯罪を成し遂げられるという読者との共通了解を保っていられたギリギリ最後のユートピア(作中ではエラリイが既に難しいというニュアンスで語っていますが、それでも現在に比べればかなりマシでしょう)だったのかなと思っています。
Nシステムが1986年から稼働、DNA鑑定が現実に警察の捜査に使われだしたのは1992年ごろから、1990年代半ばになると携帯電話ががっつり普及し、民間防犯カメラも1990年ごろから爆発的に普及、現在にいたるまで設置数は増加の一途を辿る、という感じで、現実における犯罪捜査能力はこの後別次元ともいえるレベルで一気に進化していきます。
それ自体は非常に喜ばしいことなのですが、
いみじくも本作冒頭でエラリイがぶちあげた本格論の通り、
現実から切り離されたフィクションの中においては「無粋きわまりない警察機構」の「捜査技術の勝利」に他ならないわけです。
もしも何のヒネりもなく舞台を2024年に持ってきたならば、
どうにかこうにか執筆用PCやスマホの通信を不通にするなりデジタルデトックスなどの詭弁を弄するなりしたとしても、
鑑識の魂の捜査で得られた微細証拠や、路上の防犯カメラなどから、
犯人はエピローグを待たず逮捕されてしまうでしょう。
それでは本格もロマンもへったくれもなくなってしまいます。
ですので、原作通りの時代設定でほんとうによかったなあとおもいました。

プロローグ

さて物語は3月下旬、原作通りに犯人の独白から始まります。
小説だとプロローグにあたる部分ですね。

1-1(1日目 10:30AM)

K大ミス研一行が島へ向かっています。
原作では漁師さんは親子二人でしたが、青年男性一人に変更されていますね
エラリイ君の十角館名物・新本格論から船上でのやりとりが続きますが、割とみんな盛り上がっている中一人若干沈んだ様子のオルツィが、「追悼」に来てる感あって良かったです。

2-1(1日目 11:00AM)

舞台は本土に変わり、江南くんが登場します。
徹マン明けなのは原作通り。ドラマオリジナルキャラのアパートの管理人さんがいいですね。
小説ではさらっと「狭い部屋」で終わっている江南の部屋でしたが、ドラマになるとザ・大学生の下宿という感じにディテールが詰められており、
江南は工学部なのに一体何に使うんだという、謎に目出し帽を装着した人体模型や変なマネキンなど、胡散臭いアイテムが雑多に転がってる感じがよかったです。
本棚には架空のミステリ小説が並んでいますが、二度目に本棚が映った時に「記憶喪失の探偵」が2冊に増殖してますね。どうでもいいですが。
江南が見る郵便物のチラシ、テニスコートレディがピザ配達専門店と書かれているのにどうみても風俗店ぽいのが面白かったです。
もしかして1980年代のデリ〇ルは、表向きにピザ配達などの別のビジネスをうたわなければチラシを撒けなかったんでしょうか?
実際テニスウェアで来るのでしょうか?ちょっと尖りすぎてませんか?
など、どうでもいいことが気になってしまいます。
そして中村青司からの手紙。宛先を見ると、江南のアパートはO市神崎にあるようです。googlemapで調べてみると、うみたまごのある所らへんですかね。
中村青司という名前から思い当たり趣味の新聞スクラップから青屋敷事件の記事を引っ張り出し、東宅に電話をかけるのは同じ。小説だと東君が一体誰なのかこの時点では全然わかんないんですが、ドラマだとはしゃぐルルウ君がオーバーラップしてくるので「ああ、東一君はルルウなんだな」とわかるのがいいですね

1-2、1-3A(1日目 12:00PM)

ミス研一行、島に到着。角島、本を読んで漠然と想像していたよりもずっとデカかったです・・・あと想像してたよりゴツかったですね。がっつり岩肌って感じで。ただ原作にも断崖、絶壁、急斜面などの自然の厳しさを教えてくれるワードが目白押しだったので、普通に自分のイメージ力が足りなかっただけだな。
そして逆にイメージよりかなり小さめな十角館。
でもこれも自分のイメージの方が間違ってたんだなーと思いました。
十角館は館ものというよりは孤島ものであって、十角館そのものは焼け落ちた青屋敷の離れに過ぎないんですよね。
ちょっと6、7人泊まれるよってぐらいだったらこんな感じか。
そしてヴァン君の登場。1日前入りして準備をしてくれていたすごくいい人なんですが、風邪をひいて体調が悪いみたいです。心配ですね。
続いて部屋決め。
エラリイonステージが追加され、オルツィの追悼宣言がアガサとの会話から切り出されています。
そして岩場に打ち寄せる波のシーン。停止してよく見てみたら、真ん中のでかい岩の奥の方にロープらしきものが引っかけてあるっぽい?のが見えます。
初見では全然わかりませんでした。

2-2(1日目 3:00PM)

江南が紅次郎宅を訪ね、来ていた島田と出会います。
おおむね原作通りですかね。

1-3B(1日目 3:00PM)、1-4

エラリイ、ルルウ、ポウ、ヴァンの4人が青屋敷跡へ探検に来ています。
この探検は原作では昼食前に行われているはずなのですが、すでに昼食を食べた後の午後の話に変更されています。
実際その方が自然な気もします。
カー振られ話はもうちょっと後のことなんですがここにくっつけてますね。
続いてアガサとオルツィ。
原作では「全部きれいに洗わなきゃどうしようもない」と昼食前の段階で使用する食器を洗っていましたが、15:00以降への変更となると、この日の昼は何を食べたのか気になりますね。もしかして何も食べていないのかな。
ポウが抜けて、カーと会話するくだりはカット。
昼食時のルルウの挨拶も当然カット。分散して他の会話に吸収された感じになっています。

1-5(1日目 6:30PM)

エラリイのマジック披露はカット。オルツィの文学に自信ネキもカット。
かわりに、かわりなのかわかりませんが、
原作では実際なにを食べたのかもわからないガチ空気だった夕食が、アガサメシウマ設定が追加されることによって・・・って、ドラマでも何を食べてたのかわかりませんねこれ。
皿と器が見えますからカレーかシチューか、そんなようなものでしょうか。
ただ皿がかなり小さめに見えて、昼に何を食べたかもわからない20そこそこの若者たちがこの量の夕食で満足できるのだろうか・・?とか全く関係ないことを考えてしまいました。
ルルウやポウがカーに対してニヤケ面なのは、振られたネタを共有したことによるイジりなのでしょうか。
原作でカーの飲酒をポウがたしなめるシーンは、相手をオルツィに変えてここに移動してきている感じですかね。
ルルウの執筆依頼もここに移動。
そしてヴァンの体調不良ですが、カーの悪態に対するルルウの「あの時もそう言ってましたよね・・・」という台詞が追加されてるの良いなあと思いました。
この時点では全貌が明らかになっていないですが、中村千織の事故についてのカーの態度はそういったもので、酒禁止にした合宿に一人だけ酒を持ってきたり、それを冒涜だと言ったオルツィに言い返したり(これは、6人の中では千織の父が青司だと知っているのはオルツィだけなので仕方ない部分もあるでしょうが)と、全く責任を感じない姿勢が示されていると理解しました。これは本心からか、はねっかえりのカーがことさら無理しているせいなのか、明確にはわからないところではありますが。
そしてポウの「あんなことは、もう二度とごめんだ」から、千織の事故は三次会に参加したミス研一同の全員の心にダメージを与えていることがわかります。
ところで、三次会の場所は原作ではお店だったのですが、ドラマでは部室に変更されているようです。
お店だと店側が迅速に救急車を呼んだのかなど責任の所在が不明瞭になりそうですが、部室なら救命の責任を持つ主体が部員のみに限られるため、犯人のヘイトがシンプルになるということでしょうか。
また店員や他の客などの証言可能な第三者が発生しなくなることで三次会の様子全体がブラックボックス化し、本当に積極的に救命活動を行ったのか?という疑心暗鬼を助長する効果もありそうですね。
このシーンを最後に島での1日目は終了します。

2-3、2-4(1日目 7:00PM)

紅次郎宅を辞した江南と島田が喫茶店にいます。
2-3は原作では喫茶店に向かう前の会話でしたが、すべて現地での会話に変更されています。
店名がMOTHER GOOSEになっており原作再現されています。
原作ではもう少し早い時間だったのですが、タイミング的に夕食時に変更されていますね。
手紙の解釈、3つの意図についての会話の後、
原作では島田は青屋敷事件の詳細を語るのですがこれはまるっとカットされてます。
視聴者的には、先ほど1-3Bでミス研メンバーが語った内容で十分ということなのでしょうか。
千織についての話の後、守須の家へ向かう流れになります。
原作ではここから「夕食がてら」飲みに行った後、その帰りに守須宅へ寄ったという流れのため、島田の移動経路は電車かタクシーだったはずですが、
ドラマでは車で移動していますね。

2-5(1日目 10:50PM)

守須君を訪ねます。一見さんを伴って夜の10:50に突撃しても暖かく迎えてくれるあたり、とても仲のいい友人なんだなあということがわかりますね。
守須君のマンションは小説では「O市駅前の目抜き通りを抜けた、港に近い一角」となっているのですが、封筒の宛名は大分・・・じゃなかったO市藤の台になっています。少し違う場所に変更されてるっぽいですね。

3-1(2日目 8:50AM)

うなされたオルツィが目を覚まします。
もう一年以上前の事件でずっとうなされてるんすか・・と思うものの、
オルツィは6人の中で彼女だけ、父母は角島に住んでいると千織から聞かされていたはずですから、9月の青屋敷事件も千織の死に全く関係がないとは思えず、その遠因は結局自分たちにあるのではないかと自責の念を強くしていた可能性はありますね。
プレート発見はアガサに変更されています。

4-1'(2日目 9:15AM)

原作では島田は江南宅に泊まらず解散し、翌日改めて迎えに来たようなのですが、ドラマではそのまま泊まる流れになっているので管理人さんとの面白いお芝居が追加されています。
午後からの出発が朝出発に前倒しされていますね。
1日目とは逆に車中の会話がカットされています。

3-2(2日目 10:00AM)

たまごやきを食べながらプレートを置いた犯人を捜しますが誰も名乗り出ず、外部犯の含みも残しつつ解散します。

4-2(2日目 1:00PM)

江南と島田が安心院の吉川宅に到着します。わりと時間がかかっているので、どこかでお昼にしたのかもしれませんね。

3-3、3-4(2日目 6:30PM)

午後の物語は省略され、すべて夕食の準備をしながらの会話に集約されています。

4-3(2日目 8:25PM)

原作では別府についたのが午後九時過ぎでしたが、少し早く行動しているからか8:25には紅次郎宅へ着いたようです。
原作ではこの時点ですでに紅次郎NTR説を唱えていますが、
ドラマでは兄弟仲の悪さについて情報を持っていないせいか、そういった仮説が組みあがる段階にはないようです。

4-4’(2日目 11:00PM)

守須宅へ行き、推理の続きをします。
吉川妻の話を信ずるならば、吉川の動機はNTRにしてもお金にしてもいかにも薄弱なものになってしまうため、他の線を考えます。
そこで十角館名物、ネヴィンズ・ジュニアが云うところの”バールストン先攻法ギャンビット”。
吉川の死体を身代わりとして青司が生存している可能性について考え始めます。
ドラマでは紅次郎が最初から強い調子で「死体は間違いなく青司本人のものだった」と言い切るのと、
島田が「青司と紅次郎の兄弟仲は良くなかった」という情報を持っていないこと、また青司が千織をあまり好きでなかったようだという情報も吉川妻から手に入らないことから、
江南たちの推理は、
青司が生き延びているならば、死体は間違いなく青司だったと言い切った紅次郎も怪しい。
兄弟を庇ったのでは?青司と紅次郎は結託していたのでは?
という方向に向かいます。
ここifっぽくて面白いんですよね。
原作では紅次郎が「私も死体を確認させられた」ぐらいしか言わないのと、
最初から兄弟仲は悪かったと知っていることから、
仲が悪かったのなら共謀の可能性などないだろう、と最初から考慮されておらず、
紅次郎の死体確認についても、青司が顔のない死体で生き延びたとするならば、死体は青司ではないのだから、紅次郎は単に青司の偽計に騙され別人の死体を見間違えたのだろう。
と解釈することになり、当然匿われることなどありえず、青司は独りでどこかに潜んでいる、そしてそれはもしかしたら角島なのかもしれない、という方向に推理は向かうわけです。

そして、青司はなぜ夫人や使用人を殺害したのかという動機についても、
原作では、島田は兄弟不仲情報、愛情不足情報を持っているため、
そこから想像を膨らませ、兄弟の不仲には和江夫人が絡んでいそうだ→動機は嫉妬なのではないか?と仮説を提示し、さらにそこから検討を進めていくことで守須は不謹慎だと憤慨することとなってしまい、安楽椅子降りる宣言をするのですが、
ドラマでは情報不足のため動機に関してこれといった仮説は出ず、
守須の降りる宣言もないまま解散することになります。

原作における守須の回想では、「自分はもうこの件から降りる、と宣言し、翌日以降、彼らが連絡してくることのないよう釘を差す。」とありますが、
冷静に考えると、これって、江南や島田の話の中にもっともらしくキレられるような、明確なキレポイントがないとなかなか難しい話じゃないですか?
原作では千織の出生についての話が出たからこそ不謹慎だとキレることができましたが、もし江南たちが当たり障りのない話に終始していたら無理っぽいですし、ドラマでは事実そうなっています。
(そうなった理由はそれだけではないとは思いますが)
クールでスマートなマスクの下で内心、
「うわー降りる宣言するタイミングねえよー。うわーどうすっかなー。もうしょうがないかー。今言う方が不自然だもんなー。とりあえず言わないどいて、明日は来ないことを祈るかー。そうするしかないかなー。」
とか焦ってたかもしれないと思うと、妙に笑えました。

5-1A(3日目 11:15AM)

アガサ起床。オルツィの部屋にプレートが貼ってあるのを発見。
オルツィが死んでいます。
いい引きですね。
1日1話でやめとこうと思ってもこんなの絶対続き見ちゃいますね。

第二話

5-1B(3日目 11:45AM)

おそらくアガサが起こして回ったのでしょうか。オルツィを除く全員が起きてきます。ポウが部屋に踏み入り、オルツィが死んでいるのを発見します。
原作ではそのまま検死をしますが、ドラマではみんなに死を伝えて追い出してから改めてポウが入って検死という流れになっています。
カーは絵にかいたようなク〇野郎ぶりを発揮しています。

江南宅(3日目 12:00PM)

原作では三日目・本土は夕方のS町での聞き込みしか描写されておらず、わりと頁数的にもあっさりしています。
ですのでここはドラマで追加した描写になるのですが、どう見ても島田は守須宅を辞した後、江南くんの家に泊ってますね。
あれ、1日目も泊ってませんでしたっけ?まさかの連泊。
ここは第一話、2日目夜に守須宅で行われた推理を復習するコーナーになっている感じですね。

5-2(3日目 12:30PM)

おおむね原作通りの流れですね。ごはんはちゃんと食べたんでしょうか。

紅次郎宅(3日目 2:30PM)

原作では3日目には紅次郎宅を訪れていないですが、
ドラマオリジナルの展開で、昨夜の推理から、紅次郎が青司に協力した可能性を探り、またもしかしたら青司が匿われているかもしれないと調べに来た感じになっています。
紅次郎がヨット巧者であるという設定はドラマ独自ですかね。
島田さんに目配せされた江南君が2階に探索に出かけます。
がっつり足音がしててバレバレなのが面白かったです。
誰かいるのかな?と思った物音は、吹き込んだ風で写真立てが倒れた音だったようです。
紅次郎宅は別府としか言及されていませんでしたが、郵便物の宛て名がここで確認できます。
原作通り鉄輪にあるようですね。
写真と、それから誰かから送られた手紙は視聴者には見えないようになっています。

5-3(3日目 3:00PM)

カーを除く一同が何か本土と連絡を取る方法はないかと外に出ます。
ルルウが波間に何か気になるものを見た描写があります。
何度か紅次郎宅と切り替わりますが、
1話目と同じ、岩に打ち寄せる波の映像が出てきます。
他の絵でもどこかに同じものが見えてたんですかね?
停止してよく見てみたんだけどわからなかった・・・。
本土と島の、それぞれの謎を解く鍵になるヒントが同時に出てくる重要なシーンだよと、そのために細かく切り替えていくよと、そういうことなのでしょうか。

そしてカーもいつの間にか集合、エラリイは外部犯=中村青司犯人説をぶちあげます。

6-1(3日目 4:00PM)

ここで原作と同じように、ミス研一行を島まで送った漁師に会うためS町に向かいます。
鉄輪の紅次郎宅から佐賀関、じゃなかったS町まで、googlemapで調べましたが高速を使わないと1時間30分ぐらいだし使っても1時間かかるっぽいので、4:00PMはちょっと厳しいのでは?
とかどうでもいいことをつっこむのがオタクなんですよね。
オタクついでに、J崎だけがどこのことなのかわからないという他の人の感想を見た記憶があるので私も調べてみました。
佐賀関の突端の岬が関崎という地名らしいのですが、ここが別名地蔵崎と呼ばれているそうですので多分これなんじゃないですかね。

脱線しましたが話をもとに戻すと、
紅次郎宅で探りを入れた結果青司が匿われている痕跡がなかったため、じゃあ島で生きているんだろう、そして紅次郎さんはヨットがうまいからこっそり船で青司の隠遁生活を援助してるんだろうという方向に舵を切ったようですね。
ここで、たまたまちょうどこの日に、主人を悼むため、車で片道2時間弱、もし運転ができなかったらバスと電車を乗り継いで4時間、タクシーだと2万円オーバーの道程を越えて安心院からS町へやってきた吉川妻と偶然出会うことができ、引っ張りに引っ張った兄弟不仲情報を授けてくれます。
しかし二人とも「ほ~ん」みたいな顔で聞いておりますが、
実際のところこの状況だったら
「それ早く言えよ~~!!なんでこの間言わなかったんだよ~~!!!」
ってなりませんかね?

兄弟不仲情報は、
凶行の原因は嫉妬?→もしかして:NTR→千織の出生の秘密と、
青屋敷事件の謎に芋づる式に迫っていく、そのとっかかりとなる超重要ピースなので、それがこのようなご都合感の強い方式で与えられるというのは、なんというか2サスっぽすぎて、「館」でやるのはどうなのかな・・・とか思ってしまったのですが、すいません偉そうなこと言ってすいません!!!

5-4A(3日目 8:00PM)

エラリイがカードマジックを披露します。ドラマでは今回が初回です。
マジックの内容は原作と同じ、アガサが思い浮かべる数字も同じ。
しかしこのマジックどうやるんでしょうね?

紅次郎宅(3日目 8:00PM?)

一瞬本土に切り替わり、江南、島田が紅次郎宅を再訪している姿があります。

5-4B(3日目 8:00PM?)

原作ではカーも一緒に卓を囲んでいたっぽいですがドラマでは執筆をしています。死人島のオルツィの写真を眺めていたり、原作とは違いエラリイの失言を嘲るニュアンスはなく、カーなりにオルツィを悼もうという気持ちがあったのかもしれないなと思いました。

帰りの車中(3日目 時間は謎PM)

兄弟不仲情報を得たことにより、紅次郎が青司に協力ルートの蓋然性は二人の中で減少したように見えますが、方向性は依然として見えてきません。
青司死亡、青司生存島で生活(単独)、青司生存島で生活(紅次郎協力)、青司生存紅次郎宅で生存、ざっくりいってこれらのいずれも否定も肯定もされていないと。そのような感じに見えます。

5-4C(3日目 時間は謎PM)

カー心肺停止。ルルウはポウの心マを見て千織の事故を思い出します。
ルルウは割と思い出しキャラですね。

江南宅、5-4D(4日目 12:00AM)

今日は島田はさすがに自宅に帰ったらしく、日付の変わる頃、
江南は青司の手紙を見ながら千織との会話を思い出しています。
一方そのころカーはだいぶもうだめ感が出ています。いい奴だった・・。
いい引きですね。
今度こそ2話目でやめとこうと思ってもこんなの絶対続き見ちゃいますね。

第三話

5-5(4日目 2:30AM)

毒の混入方法について検討が行われます。
遅溶性カプセルで事前に毒を飲んだんだよ説は蓋然性が低すぎるということなのか、ドラマでは検討されません。
・ルルウの監視をクリアする自然さで普通にアガサが毒を塗った。
 毒を塗ったカップは位置を覚えておいて避けた。
・自分のカップを取る際にエラリイがマジシャン的技巧で毒を放り込んだ。
・誰かがあらかじめ毒をいずれかのカップに塗り付けておいた。
 ※毒カップの区別がつけられず、本人が避けられないという理由で否定。
・外部犯。この場合自分は飲まないので区別など関係ない。
などの仮説が検討されます。
そしてクローズドサークル名物、みんなで固まって寝れば安心だ!からの嫌よ誰も信用できない!で場はお開きとなり就寝。
いや、こういうシチュエーションだと「おいなんで全員で寝ないんだよ」とか思ってしまうタイプなのですが、臨場感のある映像で体験をすると、うーん確かに嫌かもなって思ってしまいました。
なんか固まって寝たからって別に全然安心できなそうだし、奇想天外な手でまた一人だけブッ殺されそうじゃないですか?
それなら各自自己責任でサバイバルの方が良心が痛まなくていいかなあ。

江南宅(4日目 2:30AM)

ここもドラマオリジナルのシーンで第二話からの続きですね。
千織との会話を振り返った江南は会誌のバックナンバーを引っ張り出しながら、千織の死は本当に持病によるものだったのかと考えます。
島田と連絡を取り合い、K大に行くことになったようです。

K大学(4日目 12:00PM)

二人はK大学に来て、ミス研の部室へ向かいます。
4日目の旅の出発点である、千織の死は本当に持病によるものだったのか?という江南君の疑問の背後には、持病が原因の事故ではなく、かつ手紙の差出人がそれを知っていた場合、単なる逆恨みであるとはいえず、告発、復讐に動く動機としては十分だという考えに基づくものだと思われますが、
島田さんの、捜査資料を見た。事件性はなかった。の一発で立ち消えになってしまいました。部室に来るまでもなかったのでは・・・・。

ところで江南くんはもしも俺も残っていたら彼女を死なせずに済んだんでしょうか。と呟きますが、それって万一失敗したら殺害リストにのってしまう危険なもしもなんですよね・・・。
島田さんはもしもの話を考えたって不毛だと言っていますが、実際どうだったんでしょうね。
物語上最初から最後まで他のメンバーと分断されているため、実際彼らと一緒にいるときの江南君はどんな感じだったのか全くわかりませんが、タメでも異常にクセの強いエラリイやカー相手に江南君がイニシアティブを取れたとは到底思えませんので、仮にその場に居続けたところで結末が変わることはなかったっぽい感じがすごくします。
やっぱり帰ってて正解だったと思うんですよね・・・。

7-1、7-2(4日目 12:30PM)

カーの手首はアガサが発見するように変更されています。
全員で青屋敷跡に向かいます。
しかし犯人はどうやって青屋敷地下室への入り方を知ったんでしょうね。
もしかしてこちらの土地も買ったのかな。

看護師を訪問(4日目 2:30PM)

昔は医療関係者の守秘義務も希薄だったのか、島田の手品攻撃が功を奏したのかわかりませんが、千織の往診を担当していた医師に随伴していたと思しき看護師さんがめちゃめちゃ教えてくれます。
千織は祖父のもとに預けられていたが母親と手紙のやりとりはしていた、と映像が入りますが、ここで手紙に使用されている便箋と書かれた文字の筆跡が、紅次郎宅2階で江南が見たものと酷似しているのが視聴者へ向けたポイントになっているのかなと。
続いて千織の喪主が父親の青司ではなく紅次郎だったという話を聞いて、そりゃさすがにおかしいんじゃね的な空気が流れますね。

紅次郎外出(4日目 時間は謎PM)

疑えー!俺を疑ってくれー!といった感じで紅次郎が外出していき、
俺はー!ヨットが巧いんだー!といった感じで写真が映されます。

紅次郎宅への車内(4日目 時間は謎PM)

看護師から得た情報から、青司の手紙について
・手紙は青司本人によるもの。しかし青司が告発や逆恨みからの復讐に動くほど娘を愛していたとは思えないので、だとするなら何か別の目的がある。
・手紙は青司本人によるものではない。
といった仮説を立てます。
ここって、発言としては、どのような可能性もあまり排除していないように聞こえますが、言外には「そんな目的は考えづらい。シンプルに考えるなら手紙は青司本人によるものではないし、だとするなら手紙を出したのは紅次郎ではないか」ともう方向性を定めてるように思えました。
実際ここで紅次郎が留守だったため空振りに終わってしまいますが、
もしも在宅ならば5日目の出来事がここで発生していたわけですし、
仮説が固まっていなければ帰宅直後に守須に披露できないでしょうし。

7-3、7-4、7-5(4日目 5:00PM)

ポウが持ち検を提案しますが、「手首見たくない」とか「逆に危ない」という謎理由でみんなに却下されてしまいます。
外部犯だろこれ!外部犯だろ!と言った直後に「この中に犯人がいたら持ち物検査は逆に何か仕掛けられるから危ない」とはいかにも苦しい気がするんですよね。

ここで徹底持ち検をしていれば、流血大惨事にはなったかもしれませんが、全滅は免れることができた気がします。
本当に惜しかったポイントですね・・・。

ご飯を作る間も一挙手一投足を監視され、ついに限界を迎えブチギレ絶叫するアガサ。こんな状況でも飯作りが「女の仕事」とされていることに当事者ですら疑いを抱かないのは80年代のジェンダー感完全再現というところでしょうか。

鉄の(無)神経を持つエラリイ以外は睡眠導入剤を飲み、寝ようということになって解散。

8-2’(4日目 10:30PM)

ここで、原作から2日遅れで手に入った愛情不足情報を守須にドヤ顔で語る江南。千織の出生疑惑、紅次郎直撃計画をノリノリで語り守須に怒られる二人。
第一話2日目、4-4の内容がここに移動してきています。
違うのは手紙の差出人も紅次郎説が出てきていることですかね。

9-1A(5日目 5:00AM)

ルルウがうなされて目を覚まします。中村つながりだけで、千織と青司には何らかの関連があるのでは?と思いついたルルウすごいですね。夢で閃くタイプのキャラなのでしょうか?
さらに3日目に見ていた波打ち際の光景がフラッシュバックし、何かを確かめなければいけないと外出します。

9-1B(5日目 8:00AM)

アガサ起床。血色が悪いため、メイクを明るめにしようと口紅の色を変えます。

9-2、9-3A(5日目 10:00AM)

ヴァン起床。アガサの死体を発見して吐きそうになります。
ポウを呼びに行き、ポウはエラリイとルルウを大声で呼び起こします。
ルルウの部屋に「第三の被害者」のプレートが貼ってあるのに気づきます。
原作ではドアに鍵がかかっていて窓を割ったり等のあれこれがあるのですが、ドラマではカットされており鍵は普通に開いています。
部屋の中には誰もおらず3人は外へ探しに行きます。
エラリイが青屋敷跡周辺で倒れて死んでいるルルウを発見します。
いい引きですね。
マジで絶対3話目でやめとこうと思ってもこんなの絶対続き見ちゃいますね。

第四話

9-3B、9-4(5日目 11:00AM)

ルルウは死後5~6時間。十角館に運んで帰ります。
アガサは死後3時間ちょい。

千織の墓

紅次郎に真相を問いただす前に、中村家の墓参りをする江南。
昨日はいきなり直撃してたじゃんと思いますがそこはそれこれはこれ。

9-5(5日目 1:00PM)

もう一度最初から事件を検討しなおすことにします。
ここはほぼ原作通りですね。
オルツィ殺害時の侵入経路は謎のまま。
左手首の切断には相応の必然性がなければならない、がそれが何かはわからない。
続いてカーの件を検討する中で、エラリイが11角のカップに気づきます。

8-1’A(5日目 2:00PM)

紅次郎宅へ到着した江南と島田は紅次郎を待ち伏せすることにします。

9-6(4日目 時間は謎PM)

つづいてカーの見立て。それほど危険を冒して手首切断を続けたのには何か重要な意味があるに違いない(ない)からのルルウの件→アガサの件と原作通りに続きます。
それぞれ誰が犯人かを指摘して揉める際に、ポウの家族の精神疾患やヴァンの過去のトラウマを詰りあう箇所はカットされています。

9-7(5日目 3:00PM)

煙草クレクレタイムは、足跡チェックの後から、前に変更されています。
うーん改めて見直すと、ちゃんと不自然な姿勢をしていますね。

8-1’B(5日目 時間は謎PM)

二人は紅次郎に会うことができます。

9-8(5日目 時間は謎PM)

エラリイが中村青司は中村千織の父であり、自分たちを殺害する動機は千織の事故の復讐であると推測。
と突然ポウが苦しみだします。いい奴だった・・・。

8-1’C(5日目 3:00PM)

紅次郎との会話は、原作の4日目をほぼ踏襲する形。
ただ江南の言葉は、手紙を出したのは紅次郎と思い込んでいるような節がありますね。しかしむしろ、そちらのほうが自然だと感じます。
原作では、手紙の差出人は紅次郎ではないかという疑惑はこの時点では全く出てません。逆にその方が不思議だなと思いました。

9-9’A(5日目 4:00PM)

11角のカップが隠し部屋の鍵になっていると見抜くエラリイ。
シーンは地下室へ入っていくところまで。
しかし警察の捜査って、青屋敷事件の3~4人殺害、建物は放火、1人が行方不明っていうランクの捜査の時って、どのぐらい本気で鑑識的なやつやるんでしょうかね。
離れの収納の中にあるさりげない謎のオブジェ・・・
なんだかわからないや、で終わるもんなのかなあ。
建設したのはさすがに自分じゃなく業者だろうし、某館と違って秘密じゃないだろうから、警察が図面を出させればばれちゃいそうですけど。
後付けで自分で作ったとかそういう系なんですかね。

8-3’(5日目 時間は謎PM)

ここで島田さんが語る藤壺のエピソードとともに、
ドラマオリジナル要素として、3日目の午後に紅次郎宅の2階で江南君が見つけかけた写真と手紙は実際どんなものだったのかが明かされます。
しかしこれ、あと少しだけ江南君に観察眼かしたたかさがあったら、
「ちょっといいすか島田さん。いや紅次郎さん和江夫人とできてたっすよ。普通にラブレターあったっすよ2階に」からその時点で真相告白に至る目もあったってことになってしまう気も。
そこから守須を訪ね、あれ、いないなー、からの、空いた時間の4or5日目で島に行ければ3~5人生存のGoodエンドは目指せたかもしれません。
残念です・・・。

それから、ここどうするんだろう、とずっと気になってた青司との電話については、「次の段階に行くことにした」〇、「大いなる闇の云々」×、「送ったプレゼントは大切に扱え」×と、単に青司が狂気に飲まれたという理屈で収まる感じになっています。

小説だと、新たな段階云々と大いなる闇の祝福云々は改訂版で追加された箇所になります。
新たな段階云々は、ダリア関係なしでも、心を病んで猟奇殺人に及んだ人間の思考としてギリいけるかなという理屈で言わせたのかなと。
大いなる闇云々は、さすがに知らない人からはなんだよそれって話になるのでカットなのかなと。
青司がダリア信仰についてどう考えていたのか定かではありませんが、
・がっつり信じており、
 どこかのタイミングで和江夫人にも「第一段階」を踏ませていた
・全然信じてなかった(あるいは半ば信じながらも恐れていた)けど、
 NTRで頭がくるった時に思い出して、
 狂気の中で独自解釈のダリア論を叫びだした。
 この場合頭がくるっているので和江夫人は素状態だった可能性もある。
 あるいは自分の血を勝手に輸血するなど、
 やっつけで簡易的な処置を行って「はい第一段階OK!次にころします」
 みたいな。

このどっちかの感じだと思います。
しかし一度はあのように某館を改修したのですから、大いなる闇に対する、抵抗の意思はあったはずなのですよね。
と考えるとやはり後者なのかなあ。
そして"送ったプレゼントは大切に扱え。"ですが、この発言にどのような意図があるのか、解釈が難しかったです。
これは要は
「食え」
ってことを言ってたんですかね・・・?
間接だから弱いかもしれないけどバフはかかるぞと。
藤の木が不死性を獲得するルートですね。
でも嫌いだった紅次郎に祝福を分け与えるわけがないか。
そうすると、夫人は俺と一緒に第二段階に進むから、お前にはせめて手をおすそ分けしといてやるよ、すまんやなwということなんでしょうか。
あるいは第二段階に進んだら左手に聖痕が出るからありがたいで~。
そしたら腐ることもないし神棚にでも祀って大切にしろやw
ということなんでしょうかね。
いずれにせよ勝者の余裕というか、後ろ足で砂を引っかけていくような嫌がらせ感があって、わざわざ左手を送り付けたのかなり好きです。

いやーそれにしても青司が最初の作品でいきなり死んでしまうの本当に残念です。メ〇カト〇鮎と同じぐらい残念。
(でも結構創作の世界ではそういうの多い気がしますね)
海外ドラマとかだと人気が出て次シーズンをやることになった時のために、「実は生きてました!」とやってもいけそうなギリギリのラインでごまかしたりよくしてますが、青司さんはガッツリ死亡してますからね・・・
しかも狂気のモラ男と化した末、使用人もついでに虐殺とかいう最悪の死に方で正史がfixしてしまい残念至極です。

9-9’B(5日目 4:30PM)

地下室を探検したエラリイとヴァンは白骨死体を発見します。

帰りの車中(5日目 11:30PM)

ここでは手紙の犯人は結局だれかわからなかった。となっています。
これは紅次郎には「いや手紙出したのは俺じゃないよ。まじで。これは絶対。ほんと俺じゃないから。」と否定された、ということなのでしょうね。

10-1、10-2、10-3(6日目 8:00AM)

守須のもとに電話が。ここではヒントがかなりあからさまに示されていますね。「叔父さん」からの電話、髪をかき上げ眼鏡をかけながら電話に出る、と。
そして兄弟のやり取りの後、例の一行映像版で第四話終了。
いい引きですね。
もう絶対何があっても必ず4話目でやめとこうと思ってもこんなの絶対続き見ちゃいますね。

最終話

11-1(8日目 9:00AM)

原作七日目の新聞記事は、ここで流れるテレビのニュースに変更されています。

12-1

ミス研部室での部員たちへの聞き込みをバックに、守須は回想に沈んでいきます。
ところで回想の映像の中では、守須は一切メガネをしていませんね。

ところで飲みの席であれ?と思ったことが。
通常大学1年って20歳になれなくないですか?
千織の誕生日については、原作では暗黒館の末尾に付された青司年表で、千織は1965年11月生まれとされています。
が、1985年1月12日の飲み会で20になったのだとすると、1965年1月生まれとなり、ルルウやオルツィは65年4月以降生まれでしょうから、入学年度は1年違ってくるはずです。
・今日誕生日(早生まれ)というのは飲むためについた嘘だった。
・身体が弱かったので留年していた。
・さすがに昔の話とはいえ未〇年飲〇はまずいのでごまかしてみたが、整合性を取るのを忘れた。
のどれかなのだと思いますが、どれなんでしょう。

12-7

独りそそくさと帰路につい・・・てはいませんが、
ドラマでは、部室での会合がお開きとなってから、犯行の回想が始まるようになっています。
江南は友人たちの死に気落ちし、「もう何も考えないことにした」と言います。

江南、島田、管理人との会話

ドラマで追加されたシーンですね。どうやら国東の摩崖仏を見にいっていたらしい島田が江南を下宿の前で待っています。
気落ちする江南とどこまでも真相究明に情熱を燃やす島田、二人の温度差からのすれ違いの後、部屋へ戻ろうとする江南に管理人が声をかけます。
江南の心中を読み切ったような励ましとアドバイス・・・と思いきや、
その心は家賃の督促でした・・・。
しかしこのシーンいいですね。ベタな救いになっていないところがいい。
江南はもう一度自分なりに推理を組み立て始めます。

12-2~12-6(一か月後)

犯行の回想。
やることが・・・やることが多い・・・!
というほど多くもない気がしますね。

エピローグ

原作では江南がいる描写はなく、島田と守須のサシの会話っぽいですが、
ドラマでは江南も一緒に来ていることになっています。
江南が考え抜いた推理を披露するのもオリジナルですね。
交際相手を間違えている以外は正解で動機を言い当てています。
ここもいいですね~・・・。

守須の自己認識に関しては原作とドラマとでは若干違いがあると思っていて、これは設定の違いによるものも大きいと思うんですよ。

原作ではたぶん、千織は初めての飲みじゃないんですよね。
(80年代なので、いや堂々とはいえませんが場所によっては今でも)
大学で新歓といえば飲み、みたいな感じで、18からガボガボ飲酒マンが当たり前の状況であったと。
そのため、千織も入学当初から、体に気を使いながらもそれなりに飲みの席には出ていたと。
それで今までは大丈夫だったのに、
今回急アルになったのにはアルハラがあったに違いないと。
これは守須の言い分にもそれなりの理屈があるように、個人的には感じました。
そして守須君、原作ではかなり自責もしているんですよね。
原作では、P414"どれほど己を責めたことか。なじったことか。それ以上に、あの場にいた六人を憎んだことか。"と。
それでも許せないからやりましたという感じなんですよね。

しかし一方ドラマでは、創作でも未成年飲酒はダメ!ということなのか、
20歳になったし飲みます→ダメでした。という流れに変更されています。
こうなると鑑賞者としては、ミス研一行の言葉通り本当にアルハラと呼ぶべきほどの強要はなくて、単に初飲酒だったので千織が自身の体のリミットをわかっていなかったため、自爆したという筋も捨てきれないわけです。
そして守須君の自責要素はあまりなく、他方、ミス研メンバーに対する「お前ら事件の始まりだぐらい思ってただろ!」という妄想じみた憎しみは、原作よりもブーストされていそうな気がします。

結果、原作よりもドラマの方が、より守須君の復讐の身勝手さ、独りよがりさが強調されて感じられたのかな、と思いまして。

原作では既に自責あった上での復讐なのですが、ドラマでは自責言及なしからの江南君の推理で思い知る→ラストになるので、その分物語としては深いのかなと。
(ミステリ的には、指輪のエピソード知ってたなら警察に言えよ!というツッコミどころになってしまいそうなのが非常に残念ですが・・・。)

的外れな江南君の推理の中で指輪のエピソードを披露され、
「いつかこの指輪、みんなの前で付けられるといいな・・・」という千織の思いに気づけず、三次会の席で引き留めた千織に対し、彼女の思いに応えるよりも、自分の"二人だけの時間を汚されたくない"という思い、交際を隠すことを優先したのはやはりエゴではなかったのか。
自分が交際を宣言して千織と共に三次会に同席していたら、彼女の死は防げたのではないか。
彼らに責任や過失があったというなら自分にも同様にあったのではないか。それなのに一方的に彼らを断罪し裁きを与える立場を取ったのは正しかったのか。
既に自分が間違っていたことはわかっていますが、それでも島田の言葉を突っぱねて完全犯罪を成し遂げようとします。
そこで瓶で、審判で、それはやはり間違ってるよと。
そこで低血ボルトですよと。最高でしたね。

かんそう

いやー最高でしたね。
やっぱり原作読者は「十角館のドラマが出ます!」って聞いたら、
えっどうやるんだろう???ってなると思うんですよね。
俺も当ててやろうと思って、ずっと色々考えてたんですよね。
なんか一人だけ真っ黒の全身タイツをかぶって出てくるコ〇ン君方式とか・・・首から下しか移さないとか・・・。
でもどう予想しても、「映像にそういう加工がされてる」って時点でもうネタバレになっちゃんすよね。そんな方法を取るはずがない。
えーどうやるんだろう?うーん???
結局全く予想できず公開当日を迎えたわけですが、第一話を見てまじでびびりました。
直球でど真ん中きたーーーーー!!!!と。
同一人物を別人と錯覚させるトリックなので映像化したら同じ人が出るしかない→同じ人が出てたら一発でバレる→映像化不可能。
という誰の頭にもあった単純な図式に対する、
いやできるでしょ!演劇の力を見せてやる!という真正面からのアンサー。途中でも書きましたが、
守須君は普段の大学生活ではコンタクトなんですよね。
それから島ではコンタクト+髪型をセットしないで出てきてますが、
これは本当はここで眼鏡をかけていたとかかけていなかったとか髪をセットしていたとかしていなかったとか、長い髪なのに江南君が来るまでに乾いたのか、とかそういうのは全然関係なくて、
叙述トリックの映像バージョンなんだよと、多分そういうことなんですね。
地の文にトリックを仕掛け、同一人物を別の人物と誤認させていました!
地の映像にトリックを仕掛け、同一人物を別の人物と誤認させていました!
うん全く同じです。
これは本当にすごい。
原作をすでに知ってしまっているのがある意味で残念でならなかったです。
全部忘れるスイッチがもしあったら、押してからドラマをもう一回見てみたかった・・・。
そんな最高に楽しい5時間でございました。

ちなみに僕が原作を読んだのは小学校6年生の時だったんですが、
バカな子供だったので当然、
「動機は復讐っぽいから陰の気が強そうな奴がする事・・・
 なんか一番暗そうなのはオルツィやな。
 そうか、百合やな。これは百合なんや。オルツィが犯人や。」
「ああ、死んでしもうた。おかしいな。
 じゃあカーだ。カーが犯人だ。なんか乱暴そうだし。
 よくわからんけど振られたとかは偽装で千織と付き合ってたのかもな。」
「ああ、死んでしもうた。おかしいな。
 いやもう全然わからんぞ。アガサかな。これアガサやろ。」
「ああ、死んでしもうた。それも二人も。
 なんでだ??さっぱりわからん。もしかしてポウなのかな。」
「ああ、死んでしもうた。もうさっぱりわからん。
 おうち燃えてしもうた・・・。」

ん?おうおう、わかっとるで。小学生かてルパンぐらい知っとるんや。
守須君はモーリス・ルブランに決まっとる。
ん?あれ違ったか。ヴァン何とかいう海外の小説家って、別に他にいるの?
ヴァンって他にももう一人島にいたじゃん。
あれいやおかしいな。あれ?うわ!
みたいな感じでした・・・。

初読読み終わってからツッコミポイントを探しまくって、
筋書よりも枠組みが重要って言ってるけどさあ!
~~~が~~~だったらどうするつもりだったんだよ!
みたいなのを考えたりしました。

  1. 「実は今度、7人で角島で合宿を・・・」

  2. 「いや、ヴァンも参加するって言ってたよ」

  3. エラリイ「もう一人、1日先に来て泊ってるやつがいるんですよ~」
    漁師「ほ~ん、そうなんか~。」

  4. 「おいヴァン!まだ起きてんだろ!ドンドン。おい!ドンドン。」

  5. 「所持品検査!いいね。うわ!なんでこんな部屋に?」
    →そういえば変な部屋設定はドラマだとありませんでしたね。

  6. 「所持品検査?いいね。ぺたぺた。おいなんだこの瓶」

この辺が相当やばそうで今で疑問ではあったりするんですが、
どういう枠組みで乗り切るつもりだったんだろう。
まあこういう粘着質なツッコミがオタクの性ですよねやっぱり。

今回十角館が成功を収めたことで、続編の制作もGOが出るといいな~。
水車館も大好きなんですよね~。いや全部好きなんですけど。
水車館ドラマ化しないかな~。楽しみだな~。
(でもあと他のやつも映像化結構厳しそう・・・)

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