昼過ぎの太陽とセレブモデル


カジカ「ほしがったってむだね。あれはクマソの守り神。手に入れようとすれば、身をこがすだけだわ」―火の鳥 ヤマト編



昼すぎのストリート。
彼女自身も知らなかった心。

きっと今日太陽が大きく感じたのは、
火の鳥だけじゃないはず。

彼女と出会えた美しい縁。

たくさんの参考書を眺めなくても、
答えはここストリートで見つけられるのかもしれない。


5月初旬

今月はゲット数に拘る。

先月自分で定めたチャレンジ。
ナンパを始めて8ヶ月くらい経った今、なんでそんな事をしたのかは色々と思う所があって。
自分の成長を見てみたかったというのも理由の1つだ。

自分ルールを作った。
U街ストリートに拘る事。
即か準即かはどちらでも構わない。
月初から走り続けた。

そして走り続けた結果は17ゲット。

予想通り途中で息切れした。
疲れ、或いは自分の心のバランスを維持しきれなかった事が敗因。それにより女性との距離感を誤り、刺すタイミングなどを間違えたりで何人かには凄く嫌われもした。
まあ今の自分の実力はこんな物なんだろう。

途中途中で励ましてくれたり、アドバイスをくれた背広会魅了師会のメンバーをはじめ、たくさんの皆様には感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。

昼過ぎ少し時間ができたのでいつもの街へ。
疲れた身体を癒す為、今日はゆっくりしよう。

カフェオープンテラス席で先月の事を振り返る。本当にしんどかったけど、有意義な経験だったなとアイスティーを飲みながら思い出に浸る。

近くにAKITOくんがいるというのでLINE。
直ぐに席まで来てくれた。
お互いの近況報告をしながら笑った。

先月後半に火の鳥がスランプを感じていた時にグループLINEにて「そういう経験は僕もあります。なんで即れない?くそっ‼︎てなると駄目です。結果を期待しすぎない。気楽に楽しくやる事ですよ。」「相手のコントロールじゃなくて自分の心をコントロールする事に意識をむけてください。」
というメッセージにはハッとさせられた。
そこから大切な事を思い出し、調子が上がった様に思う。

「AKITOくんあの時はありがとうございました。」

「いやいや僕なんかが恐縮です笑」

そんな話をしているとペイちゃんを見かけてご挨拶。
素敵な笑顔とお話を聞けた。

その後AKITOくん接点のおかげでピコさん、ぽちさん、鈴木さんも来られる。ずっと話したかった方々だったので嬉しかった。

太陽が燦々と輝くテラス席で皆で楽しく話す。
突如訪れたいい時間。
とてもいい空気が流れた。

そしてやっぱり話題の中心はナンパの事。
たくさん笑う。
我々は何歳になっても男の子。
いつだって忘れちゃいない。

そんな感じでゆったり話しているとテラス席の横をスタイルの良い、凄くオーラのある女性が通り過ぎる。

「どう?」
「いいね。」
「誰いきます?」
「あっじゃあ俺行かせていただきます。」

火の鳥が行く事に。
早歩きで追いかける。
さあ行こう。

「すみません、お姉さんちょっといいですか?僕のこの腕時計すげえ変わってるでしょ?」

「えっ....?あ、はい。たしかに変わってますね笑」

火の鳥はさっきまで皆と楽しく話していた空気感を纏いながらオープンした。
そりゃオープン出来るだろう。

多分、完ソロの時だったらオープン出来ていなかったんじゃないかと思う。

「あの?なんですか笑?」

「ただこのスターウォーズの腕時計を自慢したい男ですよ。」

並行トーク。
自己開示。
自然に自然に。
周りからは彼氏彼女だと見える様に。
あとは自分を大きく見せすぎない事。
さあビタ止めのタイミングを図ろう。

当たり前だけど早すぎる連れ出し打診は承諾されにくい。
もう少し和んで。
彼女が笑う。
いいぞ。
もっともっと。
彼女の破けたデニムの話。
また彼女が笑う。
よしまずはビタ止めしよう。

「ちょっとそっちで止まって少し話しましょうよ。」

「えっなんでですか?」

「もっと話したいからですよ笑」

「私は別に話したくないですよ。」

「あー、そうなんですか‼︎僕と一緒ですね。」

「イヤイヤ笑 今話したいって言ってたじゃん笑」

適当な感じの話しをしながら笑う。
ビタ止め成功。
連れ出し打診。
少しグタる。

「私この後用事あるんで。」

「あー、それも一緒だ!似てますね僕達。」

「ははは笑 一緒だって言っとけば良いと思ってるでしょ笑?」

「バレました笑?じゃあ15分だけ行きましょう?」

連れ出し成功。
この自身満々な感じの彼女。
とにかくオーラが凄い。
いいぞ。
テンションが上がってきた。

いつもは行かないカフェに入る。
またもやオープン席。
今日はたくさん太陽を感じられる日だ。

さあやってやろう。

今こそ先月ほぼ毎日ナンパと向き合った成果を見せる時だ。


「それでね、モナコに彼氏の別荘があってね。」

「うんうん、モ、モナコ?」

全身からオーラを放つ彼女は、モデルをしているとの事だった。
頭から足の爪先まで全て完璧に手入れされていて、さすがモデルといった感じ。
また納得のスタイルの良さとハーフの様な顔立ちで、自信に満ち溢れた表情が魅力的に見えた。

そして何より凄いのは彼女のライフスタイルだった。

1年の内の半分程は海外で過ごしている。
モデルの仕事がある時だけ日本に帰ってくる。
彼氏がいる海外に拠点を構え、世界を飛び回っているらしい。

住む世界が違いすぎる、、、

でも彼女の話は新鮮でとても刺激的だった。

「本当君の話はおもしろいね。今日は情熱大陸だと思ってインタビューさせて。」

「いいね、おもしろそう笑 でも私いつか本物に出ると思うけど。」

たくさんの質問をした。
びっくりするような話をたくさん聞いた。
食べる物へのこだわり。
運動へのこだわり。
綺麗になる為にストイックに。
凄い生活を送っていた。

「あ、あのさ、ちなみに彼氏って何者なの?」

「ああ、彼氏はね◯◯◯なの。」

「えっ⁉︎」

「だから◯◯◯。」

驚かされた。
セレブ。いやセレブなんてものじゃない。
これ以上は彼女の身バレになるので言えないが、まさに彼氏はスペシャルな男だった。

火の鳥とはレベルが違いすぎる。

「でも彼氏が外国人って大変じゃない?」

「そうかしら? 私、前の彼氏もその前も海外の人だったけど。」

「そうなんだ...。」

突破口を探す。
もう少し彼氏の事を聞いてみよう。

「でも少しは不満に思っている事あるでしょ?」

「それが全然無いのよ。今の彼氏は最高な男よ。」

「えっ?そんなに?」

「ほんとパーフェクトなのよ今の彼。」

「君の家族とかは何て言ってんの?」

「それがさ。私のパパとも仲良くしてくれてて。パパも喜んでいるわ。」

「そ、そうなんだ。いい奴だね、、、」

「あっ、私のInstagram見る?彼氏登場させてるから。」

クルーザーでパーティー
サングラス掛けてる素敵なカップル
鍛えた身体がカッコ良いイケメン外国人
F1見に行ったり、ラクダに乗ったり

「こ、この飛行機って.....?」

「もちろん彼のプライベートジェットよ。」

彼はアルファメイル。
間違いなく生まれた時から勝者のメンタリティを叩き込まれたであろう男。

そして話を聞けば聞くほどナイスガイ。
そりゃ彼女がホレるのも無理がない。

ルーティーン・ボーイフレンドクラッシャー?
いや全く意味がないだろう。
また彼よりレベルの高いアルファだと自分を魅せようとするのは無理がある。

余りの彼氏の絶対的存在に意気消沈しそうになる火の鳥。
彼女の話を上の空で聞いていた。

どうしたら彼女を魅了できるんだろう、、
間違いなく彼女は今まで火の鳥が出会った事のない人種だ。。

「あっ私そろそろ用事あるから行かないと。」

「ま、まあちょっと待ってよ。まだ取材は完了してないよ、、ほらっ、スパークリングワインでも飲んだら?」

「まだ夕方なのに笑? じゃあ飲んじゃおうかな。」

まずい。

このままだと、ただナンパで出会えた珍しい女性の話を聞いただけで終わってしまう。

イメージしろ火の鳥。
残り時間はスパークリングワイン1杯分。
必ず勝てるべく道がある筈だ。

諦めるな。
こういう女性を倒したいんだろ?

一番ダサいのは見逃し三振。
だったらダメ元でもいいから振りにいこう。

別に失敗したって失うものはない。
我々はナンパで出会ったんだ。

もうすぐ夕方なのに、
テラス席の太陽はまだ燦々と輝いている。
夏が近づいてきている証拠だ。

さあこの太陽が沈む前に決着をつけよう。


太陽と北風理論。

以前に大阪背広魅了師会所属、
野性のプリンスから聞いた言葉。
彼は火の鳥のスト師匠であり、迷った時にはよく相談させてもらっている。

北風のように必死にグダを崩そうとしても、相手はコートを脱がないが、太陽の様に照らし続ければコートを脱ぐ。

そのままだけど、とても奥が深いなと思った。

火の鳥は今日太陽になろう。

でも太陽になる?
どうすれば彼女にとっての太陽に?
まだわからない。

ただ理詰めがポジティブな結果を導かない事はなんとなくイメージできた。

トイレの鏡を眺めながら、そんな事を考える。
顔を2.3叩いてテンションを上げた。

さあやろう。

「火の鳥遅かったわね。」

「ごめんごめん。ちょっと仕事の連絡してた。」

火の鳥の下の名を呼び捨てる彼女。
それは海外暮らし特有の表現。
そして全く嫌な気がしない。

彼女もまたアルファな彼氏と同じ。
これだけのオーラを持ち合わせているのに、全く嫌味な所がない素敵な女性だった。

これまで火の鳥は街に出れば必ず結果に拘ってきた。

それは相手にどんな用事があろうと、或いはどれだけスト高であろうと関係ない。
もし出来なければ自分の力不足と考えてきた。

そして正に今、心から即りたいと思える彼女が目の前に。

今やらなくていつやる。
用事があるかどうか、どれだけセレブな彼氏がいようが関係ない。

今日即る
イメージしろ
必ずイマジネーションは具現化する

「それじゃあインタビューの続きね。今いい絵取れてるよ笑」

「あははは笑 おもしろいね。」

「ここからはもっと内面にフォーカス当てていくよ。」

「わかったわ笑」

「じゃあ次の質問。君のSEX感を教えて。」

質問のスピードを上げていった。
時間は限られている。
用事とは何の用事なんだろう?
もっと早く聞いておくべきだったか。

いくつかの質問と彼女の独特な感性から出てくる答え。
楽しかった。
とても楽しい時間だった。
彼女を見るときっと彼女も同じ事を思っている。

人が一番興味のある事は自分自身の事。
特に女性には多い。
また彼女は自分の話をする事がとても好きな様だ。

「ねえこの後の予定って何?」

「エステよエステ。」

「もうキャンセルしなよ。今こうして話してる方が君を綺麗にすると思わない?」

「たしかにね笑 私も少しキャンセルしようかと思ってたのよ。」

よしっ。第一関門突破。
彼女は間違いなく今を楽しんでいる。

「次の質問。君は恋愛の経験はそんなに多くないのかな?」

「えっなんでわかったの? 私付き合うと長いし、本当に良いって思わないと付き合えないの。」

「いいじゃん。素敵だよそういう所。じゃあ付き合ってない人とSEXしたことは?」

「ないないない笑 あり得ないよね。」

「ああ俺と一緒だね笑」

「また一緒じゃん笑」

理詰めしないように。
言葉で負かそうとしないように。
太陽。
太陽を意識して。

「ねえ火の鳥っていつもこういう事してるの笑?」

「さあどうだろね笑」

「なんで私に声かけてきたの?」

「綺麗だったからに決まってるじゃん笑」

「ふうん。で、私と話してみてどんな印象?」

「すげえおもしろい。魂が喜んでる。だから抱きたいねマジ笑」

「まじありえないんだけど、、笑」

「ははは笑 わかりすいだろ?俺」

太陽ってなんだろう?
まだよくわかんないけど、
野生のプリンスは「火の鳥さん、敢えて適当に適当にですよ。」と言っていた。

敢えて適当に。
あらゆるグダる様な言葉を真正面から受け止めず、或いは反論せずスルーする。
ありがとねってマインドで聞き流してみる。
いちいち相手の言葉に自分の感情をネガティヴな方向に揺れ動かさない様に。

「そういう目で見ても無理よ笑 私本当に今満足してるから。」

「あーそれも一緒だわ俺と笑 嬉しいよ。」

「本当適当だね笑 火の鳥。」

それからもたくさんの会話のやりとり。

いつも失敗する時は焦りすぎている。
或いはすべて計算通りの会話、即のためへの逆算されたトークが女性へ伝わってしまうのかもしれない。

だけど今日は意識してみた。
敢えて崩す事や仕上げるといった様な事を意識しない事を。

すると彼女はとても心地よさそうに笑っていた。

この人適当でしょうがない人だなって呆れていただけかもしれないけど。

「火の鳥ってさ、なんでこんな余裕な感じで接しくんの笑? てか何者よ笑?」

「だからただのサラリーマンだって笑」

今の彼女には火の鳥の言葉が届くかもしれない。

何故こんな展開になったかは、まだよく理解できていない。

ただ素敵な彼女を、綺麗に照らそうと意識しただけなのに。

そしてある時から彼女は火の鳥に意見を求めてくる様になった。

それは彼女自身の心の話。

なので一つだけ気になっていた事を話した。

「ははは笑 火の鳥には全てお見通しだね...。本当そうだと思う。」

「大丈夫。君は間違っちゃいないよ。」

彼女の表情が変わった。

出会ってから今まで一度も見たことのない表情だった。

「あっ、あと言い忘れてたけど、俺とSEXしたら運気上がるよ笑」

「本当適当だね笑 」

「ははは笑 なあとりあえずこの後ドライブいかない?車そこに停めてあるんだ。」

「いいね。行こう行こう笑」

適当な火の鳥の打診が通る。

少しドキドキした。

軽くドライブしてLHイン。

ドアを開けた瞬間から
ドラマの様な情熱的なキスが始まる。

彼女の身体は本当に美しかった。

そしてここまで献身的に男を愛する女性に出会った事が無いかもしれない。

最高なSEXだった。

「ねえ私、火の鳥と出会って本当に自分がしたい事がわかった気がする。ありがとう。」

「よかったじゃん。本当にしたい事って?」

「これから私のInstagram見ておいてよ。きっと変わったって思うから。」

車で彼女を家の近くまで送る。

バイバイする彼女もやっぱり綺麗でオーラがあった。

自分の成し遂げた事をぼーっと思い出しながら、帰りの道中を行く。

火の鳥は何処にでもいるただの30代のサラリーマンだ。

そんな普通の男が一生出会う事もない様な、
セレブモデルと結ばれる事になろうとは。

やっぱりあの街のストリートには夢がある。

昼すぎのストリート。
彼女自身も知らなかった心。

きっと今日太陽が大きく感じたのは、
火の鳥だけではないはず。

彼女と出会えた美しい縁。

たくさんの参考書を眺めなくても、
答えはここストリートで見つけられるのかもしれない。

また次の日も街に出る。

さあ太陽に照らされたいのは誰だい?

いっその事オープンもこれでいこう。

「こんにちは。僕があなたの太陽です。」

「あっお兄さんこの前も声掛けてきたよ。でLINE交換したじゃん。サイテー、、、」

「あっそうだっけ、、ははははは、、、笑」

先月この街に繰り出しすぎた弊害。。

意外とこの街は広い様で狭い、、、

ありがとう

ドキドキできたよ。


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