関節リウマチの評価指標

steinbrockerのステージ分類

関節破壊の程度

  • ステージI: X線で骨の破壊が見られない初期。

  • ステージII: 骨破壊が軽度で、関節運動の制限があるが変形はない中期。

  • ステージIII: 骨と軟骨の破壊が見られ、関節変形があるが線維性または骨性の強直がない高度進行期。

  • ステージIV: 線維性または骨性強直がある末期​1​

steinbrockerのクラス分類

ADL障害の程度

  • クラスI: 日常生活の活動が普通にできる。

  • クラスII: セルフケアと職業活動は可能だが、趣味活動に制限がある。

  • クラスIII: セルフケアは可能だが、職業や趣味活動に制限がある。

  • クラスIV: セルフケア、職業、趣味活動に制限がある​2​。

ランスバリー指数


関節リウマチの炎症活動性を評価するための指標です。この指数は以下の6つの項目から成ります。

  1. 朝のこわばりの時間

  2. 握力

  3. 関節の数

  4. 赤血球沈降速度(ESR)

  5. 疲労の発現時間

  6. アスピリンの必要量

これら6つの項目の合計パーセンテージを用いて、全身の疾患活動性を数値化します​1​​2​

ランスバリー指数は、リウマチの診療における他の活動性評価指標、例えばDAS28、SDAI、CDAIと同様に重要ですが、リウマチの特有の炎症や活動性をより細かく評価するための指標として用いられます

Larsen分類

Larsen分類は1977年にLarsenによって開発された、関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis, RA)のレントゲン写真を用いた評価法です。この分類は関節炎の進行度を数値的に評価し、診断や治療経過、予後の把握に利用されます。

  • Grade 0: 正常。関節炎と関係のない変化があっても良い状態。

  • Grade I: 軽度の異常。関節周辺軟部組織の腫脹、関節周囲の骨粗鬆症、軽度の関節裂隙狭小化が見られる。

  • Grade II: 初期変化。骨びらんと関節裂隙狭小化が見られるが、荷重関節の骨びらんは含まれない。

  • Grade III: 中等度の破壞性変化。骨びらんと関節裂隙狭小化があり、荷重関節の骨びらんも見られる。

  • Grade IV: 高度の破壞性変化。骨びらんと関節裂隙狭小化があり、荷重関節に骨変形が見られる。

  • Grade V: ムチランス型変形。本来の関節構造が消失し、荷重関節に著しい変化が見られるが、脱臼や骨性強直は考慮に含まれない​1​​2

Nalebuff分類

Nalebuff分類は、リウマチによる母指(親指)の変形を分類するために使用される方法です。これは1968年にNalebuffによって提案され、リウマチによる母指の変形の標準的な分類と考えられています​1​。分類は、母指の変形を初発関節に基づいて6つのタイプに分けるもので、CM関節とMP関節の罹患パターンに応じて異なります​2​。各タイプは以下の通りです:

  • Type I:ボタン穴変形

  • Type II:Type Iに加えて母指内転

  • Type III:スワンネック変形

  • Type IV:ゲームキーパーズ母指類似のMP関節不安定

  • Type V:MP関節罹患のスワンネック変形

  • Type VI:ムチランス変形

Type Iの変形は、最も一般的なリウマチによる母指の変形で、50%から74%の指の変形がこのタイプに分類されます。このタイプは、変形が受動的に修正可能かどうかに応じて、初期、中期、進行期の3つの段階に分けられます。初期段階では、IP関節とMP関節が受動的に修正可能です。中期段階では、MP関節が固定されますが、IP関節は修正可能です。進行期では、両関節が固定されます。この3つの臨床段階は、Type Iの変形の病理生理に基づいており、最も適切な外科治療の選択を導くために広く使用されています。しかしながら、各段階での機能評価はこれまで行われていませんでした​1​。

しかし、Nalebuff分類が、治療法の決定に直接役立つかについては議論があります。ある資料によると、現時点ではこの分類をもって手術方法を決定することは困難であるとされています。なぜなら、どのタイプがどれほど悪いかという情報を含んでいないためです​3​。例えば、Type IVでは、MP関節の固定を行う派と関節形成を行う派の間で論争があり、Type VIのムチランス変形は治療が非常に困難であるとされています​3​。

この分類システムは、リウマチによる母指の変形の理解を深めるための重要なツールであると同時に、治療選択の際の指針として有用性があると考えられますが、機能評価との直接的な関連性は十分に確立されていないようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?