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何月決算法人が税務調査に有利か?(前半)

個人事業主の方は、毎年1月から12月末までの、いわゆる「年間」における売上と経費から、所得税の税額を計算することになりますが、法人の場合は、各社ごとに事業年度が変わってきます。

例えば、3月末決算法人であれば、4月1日から3月31日までの売上と経費から、法人税を計算することになるわけです。

■決算月はなぜ設立の前月なのか?

決算日や事業年度は、通常法人を設立した時に決定し、その後特段の不都合でもない限り、変更しないことがほとんどでしょう。

例えば、勤めていた会社を3月に退社して、4月に起業し法人を設立した場合、一般的には3月末の決算にすることが多いです。

つまり、法人を設立した前月を決算月に設定することが多いわけですが、これには大きく2つの理由があります。

①消費税の免税期間を最大化するため

新規で法人を設立し、事業を開始した場合、一部の例外を除いて2年間(2事業年度)は消費税が課されません。

これを消費税の免税期間と呼んでいます。

ですから、例えば4月に法人を設立しても、5月末決算にすると、消費税の免税期間は14ヵ月に満たない短い期間となってしまいます。

1事業年度目:4月(法人設立日)~5月末

2事業年度目:6月1日~5月末日

一方で、4月に法人を設立して3月末の決算にすると、おおよそ2年間(24ヵ月)消費税が課されませんから、その分だけ節税になるということです。

②決算をくむ手間を省くため

上記の例をそのまま用いて説明すると、4月に法人を設立して5月末決算にすると、およそ2ヶ月後に決算を迎えますので、会計データ等を締めて税務署への申告をすぐしなければならなくなりますが、3月決算にしておけば、約1年後の決算でいいわけですから、その分だけ手間を省くことができるわけです。

4月に法人を設立しても、本来は何月決算に設定しても自由なのですが、このような理由から、通常は法人設立の前月を決算月にすることになります。

■決算月と税務調査の時期は関係あるの?

さて、今回の本題はタイトルのとおり、「何月決算法人が税務調査に有利か?」ということなのですが・・・

ここで、まず知っておいていただきたいのは、税務署が「何月決算法人を」「どの時期に」税務調査しているのかです。

下記はあくまでも原則であって、例外もあるのですが、税務署が税務調査をする時期はこのようになっています。

2~5月決算法人:秋(7~12月)の税務調査

6~1月決算法人:春(1~6月)の税務調査

■では、何月決算なら税務調査に入られにくいのか?

決算月と税務調査の時期がわかったところで、次は税務調査の時期と件数の関係です。

税務調査が行われる「年間」の件数は毎年公表されていますが、半期ごとの件数は公表されていません。

ただし、税務署の調査官が負っている税務調査のノルマについては、おおよそ下記のようになっています。

秋(7~12月)の税務調査:20件程度

春(1~6月)の税務調査:10件程度

春の時期に行われる税務調査の件数が少ない理由は、この時期に個人の確定申告(期限は毎年3月15日)があって、税務署が忙しいからです。

この事実からわかることは、6~1月決算法人の方が税務調査に入られにくいということです。

そもそも税務調査の件数がおおよそ半分しか行われないので、当然といえば当然でしょう。

さて、次回は「6~1月決算の方が税務調査に入れにくい」

その理由をさらに掘り下げて検証するとともに、「税務調査は春に受けた方が有利」という事実を解説します。



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