「どうしたらいい?」をどうするか
こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。
「こういう時ってどうしたらいいんですかね?」
対人支援の仕事をしていると結構な頻度でこういう質問を受けることがあります。
この質問をする相手の方の“こういう時”の内容は様々だし、そもそも“こういう時”のシチュエーションが幅広いので一概に「こうしたらいいのでは」という話をすることができません。
でも、この質問をする人からは「自分が直面している“困難”に対処する“やり方”を教えて欲しい」という要望が多分に含まれているのを感じます。
そんな時には、「どんなモノゴトでも“やり方”について考える前にやらなければいけないことがあるんじゃないか?」について一緒に考えてみるようにしています。
例えば、“仕事”における人間関係で悩んでいる人からこんな質問が出てきたとします。
「部下に仕事を教えても返事もしないからイラっとすることがあるんですけどパワハラとかって言われても困るし、こういう時ってどうしたらいいんですかね?」
この話からだけでは「どうしたらいいか?」について僕は「わかりません」としか言う事ができません。“返事をしない”と言われている方がどんな人かもわからないしどんなシチュエーションでどんな態度でどんな表情だったかもわかりませんしその時の周囲の環境の状態もわかりません。
そして何より、この話からだけではわからないのは「この質問をしている“あなた”が“何を・どうしたいのか&その理由”」がわかりません。
そこが明らかにならないことには“あなた”以外の人に、「そのモノゴトの“やり方”」について考えることができないんじゃないかと思っています。そして、考えることができないんですから、答えることもできません。
まず一番最初に考える必要があるのは「なんのために、何を、どうしたいのか?」ということだと思っています。
「今、自分は“困難”に直面している」と認識しているとしたら、「その“困難”が自分にとって“困難”なのはなぜなのか?」を考えてみるところが、「どうしたらいいのか?」と“やり方”を考えるよりも前に“考えるべきこと”なのかもしれません。
さっきの例で言えば、まずは「自分が直面している“困難”とは何か?」を明らかにするために話の内容を整理する必要があります。
「部下に仕事を教えても返事もしないからイラっとすることがあるんですけどパワハラとかって言われても困るし、こういう時ってどうしたらいいんですかね?」
これを全てで“1つの困難”として括ってしまうと扱うのが難しくなってしまうので、まずは分解して整理していくと扱いやすくなりそうです。
例えば、
「部下に仕事を教えても返事もしない」
だから
「イラっとする」
でも
「パワハラと言われたら困る」
だから
「どうしたらいいのかわからない」
こんな感じで分解してみると、さっきまで“1つの困難”に見えていたモノが、実は“幾つかの困難”が集まっているだけなのかもしれなかったことがわかります。
これが見えてくると、それぞれの部分を紐解いていく必要がありそうな気がしています。
なので1つ目の“困難”を紐解くために、最強のツールである“問い”を使っていきます。
「部下に仕事を教えても返事をしないのは何が問題なのか?」
「部下に仕事を教えても返事をしないのはなぜなのか?」
なんて感じの“問い”を立ててみると“困難”が徐々に紐解かれていきそうです。
試しに「部下に仕事を教えても返事をしないのは何が問題なのか?」について考えてみると色々と見えてくるものがあるはずです。
「教えてもらって返事をしないなんて、常識がない・失礼だ」なんて考えることもできそうですし、「教えたのに返事がないとちゃんと聞いてたかどうかがわからない」なんて考えることもできそうです。
この“問い”を考える時に、主語を“相手”にするのか主語を“自分”にするのかで見えてくるものが変わります。
主語が“相手”なのが「教えてもらって返事をしないなんて、常識がない・失礼だ」。
主語が“自分”なのが「教えたのに返事がないとちゃんと聞いてたかどうかがわからない」。
こんな風に分解してみると、出てきたそれぞれがまだ“困難”なままなのがわかります。
だから、さらに“問い”を重ねてみることで“困難”をより細分化していけるわけです。
そうやって細分化して「これ以上小さくならない」ところまで行くとその“困難”についての方向性が見えてきます。
主語が“自分の「教えたのに返事がないとちゃんと聞いてたかどうかがわからない」に更に“問い”を重ねてみます。
「教えたのに返事がないのはなぜか?」とか「ちゃんと聞いてたかどうかわからないと何が問題なのか?」とか「聞いているのであれば返事がなくても問題はないのか?」とか「ちゃんと聞いていることはなぜ重要なのか?」などなど、まだまだ幾つもの“問い”を重ねられそうです。
これらを一つ一つ、丁寧に明らかにしていくことで「自分が実際に“困難”を感じていること」が見えてきます。
それが見えてきて、それに対して「自分はどうしたいのか?それはなぜなのか?」について考えてみることで、ようやく「どうしたらいいのか?」という“やり方”を考えることで“困難”を解決する方法に辿り着くんじゃないかと考えています。
こうやって文字にしてみると、「なかなかに繊細で緻密で膨大な量の情報処理をしているんだなぁ」と思うんですが、実際には日々の“仕事”の中で常にこれをやっているので「以外とがんばってるな自分も」なんてちょとだけ思っています。
「どうしたらいいのか?」に即答するのは難しいなといつも思いますが、その質問に対して“問い”を立てることはできるので、「“直面している困難”だと認識していること」について一緒に対話をしながら考えていければいいなと思っています。
あかね
株式会社プロタゴワークス
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