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歌詞集

29
ここでは詩のなかでも歌詞っぽいものをまとめています。
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記事一覧

サファイアの心臓

サファイアの心臓

埋め込まれた宝石は
とぼけた輝きを放つ
力なく笑った君の心臓は
鼓動一つも鳴らせないまま

冷えていく青月の夜
真白な息を見つめるたびに
揺れている蒼い炎
固く閉ざされた運命の扉ごと
燃やしてくれないだろうか?

古びた家の隙間に
煤けて残った憂鬱
静かにしてくれれば
何も起こらないのに
獅子の眠りを忘れて
彷徨い歩く、人間の性

熱くなる、青月の夜
薄い光と共鳴するサファイア
過ぎていく音を超え

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シガレットキス

春が来ると思い出す
翼の生えた三毛猫のタトゥー
ブロンドの長い髪
古びた木の匂いがする書店

売れそうにない本を片手に
机に足を乗せていた
神を恐れない僕の
憧れのマリア

シガレットキス
黒い人魚のパッケージ
ルージュの跡に込められた
想いは人工的な甘苦さ
シガレットキス
背伸びして無理にアンサー
洋書の話題なんて
まるで頭にないのに

さよならの後の静けさが
薄明かりの背中と重なる
少しだけ湿

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青春の影

青春の影

二度とは戻れない青春
黄金色の扉から見える
夕陽に照らされた教室と
黒板に描かれた相合傘

グラウンドの隅で咲く花
誰にも気に留められずに
きっと私もあの花と同じね
あなたの物語の片隅で
名前も忘れられているの

孤独との対話の中で
失われていったもの
一番大事な宝物と
あの頃、呼んでいたもの

沢山、恋はしたけれど
どれも夢中にはなれなかった
後悔ばかりを経験したから?
傷つく心を恐れていた

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火炎舞踏会

永遠に焼かれる業火の中で
高らかに笑う誰かがいる
燃える身体など気に留めず
素顔を覆い隠している

炎に焦げる痛みすら
楽しんでいるかのよう
優雅に飛び廻る
赤銅のマスカレイド

記憶を失い、這い上がる
術を忘れても
煤けた心を躍らせる
狂おしいほどのカリスマ

マスカレイド…
両手を広げ、物憂げに俯き
口ずさむ天使のメロディー
彼を知る者はいない

嗚呼、マスカレイド…
埃積もった開かずの部屋

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少女にも満たない椿

視界の悪い雨の夜は
頭痛が止まりません
虫の知らせを無視できません

現場検証ゾーンは立入禁止区域
黄色いテープは縄張りの証です

何人たりとも通さない
その鉄壁の精神 ご立派ですが、
誰が中にいるか、
もう知っているのです

嗚呼、
あの日、さよならを告げた
あなたの横顔を思い出せないで
、いま、もがいているのです

握りしめていた綻びの種
ランタンの火に焚べたら
すぐに消えてしまいそうです

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冬の校舎

冬の校舎

昨日の雪が溶けかけて
霜柱にならずに凍りついた地面
今なら簡単だねと
キミは息を弾ませた

モラトリアム最中の
僕らの花は短い
パステルカラーの思い出に
塗りつぶされないように
鼻を膨らませる

あっけなく、忍び込んだ
冬の校舎は白い息が
邪魔になるけど
響いている僕らの音
その一瞬だけでも
切り取りたいよ

非常口の緑の下
安心するねとキミは言う
若者は大志を抱けだの
恋をせよと言うけれど
今は

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シャボン玉

真夜中の駅の改札の前
ポツンとベンチに座る
静まり返った改札口から
やってくるはずのない
まぼろしを待ち続けている

ずっと変わらない心で
何気ない会話で満たされたいの
震える唇を噛み締めて
悴んだ手を温めている

あなたはシャボン玉
知らない間に弾けて消えた
あなたはシャボン玉
束の間の空に浮かぶ
あどけなさがどこか似てる

コンビニの前で集まる
若者たちの笑い声
がらんとした空洞の中では
自分

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ナインプラザ

ナインプラザ

常夏の太陽が支配するこの街は
ギラつく視線で客を取る
新宿二丁目のネオン街よりも
渦巻く欲望はタチが悪い

ありのまま生きていれば
根こそぎ奪われ、捨てられる
淡い感情の成れの果てを
この目で見てきた、
まるで鳥獣戯画

ショッキングピンクなルージュに
導かれていく僕はしがない夏の虫

パッション溢れた楽園に
現実逃避かまして嗚呼…
アバンチュール

株が暴落しても
虹色の雨が降ろうと
ここだけは

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精神の窓

 雲の隙間から覗き込む光
 氷が溶けきったぬるいコーヒー
 テーブルには君が描いた
 作りかけの似顔絵
 
 雨上がりの匂い
 落ち葉の風に運ばれて
 あの日のまま
 止まった午後二時の時計
 割れたガラスはもう直したけど
 
 変わらない世界が
 いつでもここにあったらなんて妄想
 願うだけ無駄なのでしょうか?
 虫籠越しに眺めていたいけど
 あまりにも時の流れが速すぎて
 
 ハンガーにもかけ

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三等星のなみだ

雪の降りしきる河川敷
風が冷たく突き刺さる
地獄のような日々

半笑いの陰口に耐えきれず
うずくまり、震えていたの。
凍りつく心を温めて…
そっと涙を拭う人を求めてる

嗚呼、夢から醒めないで
覚まさないで、いっそこのまま
真冬の空に咲く小さな煌めき
あの三等星に私はなりたい

携帯がとても怖かったの
カメラは真実を写してしまうから
麻痺させた心がまた疼いてる
知っているわ、
その姿がいかに滑稽か

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タイムトリッパー

薄い水彩画のキャンバスは
高校の向かいの小さな部屋
傘もささず、飛び出した君
胸に着けていたのは
銀のロザリオ

1時間おきに飛び出す鳩時計よ
この声が聞こえるか?
刻む秒針に不安を募らせた
お前の思うツボさsay Good-by

あるがままの恋に憧れ焦がれていた
淡墨のそよ風が紫陽花に滲む

remember me
記憶の奥で揺らめく青い炎
まがいものならすぐに吹き消して

たまに笑みを浮かべ

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エメラルド

眠気まなこを指でこすり
見上げた月明かりは
鮮やかな光の粒に包まれた
ひまわりのよう

ふわりと漂う風に
夏の終わりを感じる
また一つ増えたシャッター店
今年も不発の花火大会

嗚呼、夢のように歩きたいな
全部、うわの空で済んだなら
しがらみさえもどこ吹く風
人生は楽しさの連続だ
悪意も親切もごちゃ混ぜにして

寂しさに触発された
僕の心はまるでエメラルド

衝動夢

退屈が苦痛だった、
ギラギラした目で語りまわる
オレはきっと
ただの獣より劣る生き物だ

満たされない衝動が
心を貪っていく
欲求不満で頭はいっぱい
誰も彼もが異形の顔つき

欲しているものも
分からないまま、あぁ、オレは行く
蓮池の奥、モラトリアムの入り口で
あの子が眩しい光を放つ

救い出してくれ
終わりのない螺旋階段から
叫べば叫ぶほど
虚しくて喉が渇く 

ぶつ切りの感情で
空なんか飛べる

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朗読詩 箱舟の子

君は叫んでいた
「誰か、僕の話を聞いてください
世界が海に沈むほどの大雨がきます」

扉を叩いて、窓を開けて
ただ君は、君は、
居場所が欲しかった

蔑んだ目
お前は嘘つきの子供
2人の親に見捨てられた
傷だらけの男の子

少しずつ増えていく雨粒の音
焦りに満ちた夜がくる
どうか、目を覚まして、
星が消える前に

蔑んだ目
お前は可哀想な子供
ねじが足りない
欠陥だらけの男の子

離れ離れになった

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