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レコードで音楽を聴くということ。

某小説家のエッセイのようなタイトルのようになってしまいましたが(笑)、
今回は音楽・ギターオタクを数10年続けている私がなぜレコードで音楽を聴くようになったのかについて綴ります。

まず私はレコード世代ではない。
私が生まれた頃にはレコードはCDに完全に切り替わっていたし、友達の家に行ってもレコードプレーヤーがある家はほとんどなかった。
幸か不幸か、自分が物心ついて音楽に触れるようになってから目まぐるしく音楽再生機器が世代交代をした。
カセットプレーヤー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、iPod、スマホ(サブスク)…
次世代の再生機が出る度に心が躍った。

レコードに出会ったのは数年前のこと。
きっかけは友人がレコードで音楽を聴き始めてからだ。
一軒家に住む友人はそれなりに大きな音で音楽を聞ける環境があり、上等なレコードプレーヤー、真空管アンプ、スピーカーを持っていた。
レコードに針が落ちて数秒で理解した「音がいい」と。
「音」について語ると私の停止ボタンが壊れてしまい収拾がつかなくなるので割愛するが、友人のオーディオで聴いた音像に衝撃をうけた。
各楽器の音が個別にはっきり聴こえ、耳馴染みのある曲が全然違って聞こえた。
映像で言うならば4Kといったところだろうか。

そんなレコードの音像に感銘を受け、早速自分もレコードプレーヤーを買った。
機材は最低限のものを揃えた。
アパート暮らしだった為、スピーカーではなくヘッドフォンだ。
レコードで音楽を聴くってものすごくハードルが高く感じられたが、レコードがリバイバルしている昨今ではそうでもない。
市場には各メーカーがこぞって作った多種多様なレコードプレーヤーが溢れている。(スピーカーが付いていて1台で完結するプレーヤーもある)
自分は、レコードプレーヤー+フォノ端子付きヘッドフォンアンプ(’フォノ端子’が重要です)+ヘッドフォンを揃えた。
ヘッドフォンでも十分に音像の違いが分かり大満足だった。

今現在はそれなりに大きな音が出せる環境に引っ越した為、ブルートゥース付きのレコードプレーヤー+ブルートゥース付きモニタースピーカーというこれまたシンプルな構成になった。

音楽制作にも使うブルートゥース付きモニタースピーカーと自作スタンドと吸音材、あとインドの神様

自分の狭い部屋にはこれで十分だと思っていたが、人間の欲望とは底知れないもので最近は気がつくとネットサーフィンをしてスピーカーを探している。
音響とは本当に奥が深い世界だ。

レコードはいいことばかりではない。
盤面に傷がつくと再生ができなくなる場合もあるし(デビッドボウイのお気に入りのレコードの盤面にレコードクリーナーを落として傷をつけてしまった時は数週間凹んだ)、引越しの時は重くて大変だ。
後先考えずに手当たり次第レコードを購入すると場所ばかり取って大変である。
最近は生涯聴き続けると心に誓ったレコードしか購入しないようにしている。
たまに聴きたくなるような曲はサブスク再生で聴くようにしている。
新しい音楽を見つけて衝動的にレコードが欲しくなる時も、先ずはサブスクのお気に入りに追加している。
サブスクの音質もここ数年ですごく良くなっていて、iPhoneからブルートゥースを飛ばしてモニタースピーカーで聴いても十分いい音がする。
音響技術も日進月歩だ。

それでもやっぱりレコードはいい。
レコードのいいところは音質だけではない。
レコードをジャケットから取り出してプレーヤーに置いて針を落として聴く…
A面の再生が終わったら針を上げてレコードをひっくし返してまた針を落とす…
こういった一連の’儀式’がまた愛おしい。
指先一つで好きなアーティストの曲を全曲再生してくれたり、自分の嗜好に合ったアーティストを探してくれるサービス精神旺盛なサブスクも素晴らしいけど、こういったアナログならではの面倒くささがいい。

’儀式’以外にもジャケットアートを見たり、歌詞カードで歌詞を読んだりライナーノーツを読んでバンドの成り立ちを知ったり…
レコードという’パッケージ’があって初めて発信側(アーティスト)の意図を汲み取れるような気さえする。

ミニマリストの真似をして最低限のものしか持たなくなった今こそ、
’自分にとって本当に大切なもの’を所有する喜びを痛感している。
今持っているレコードは死ぬまで所有していたい。

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