円は実質「1ドル=360円」時代に逆戻り

対ドルの円相場は160円に迫る34年ぶりの円安水準だが、実質で見るともっと凄いことになっている。

プラザ合意のあった1985年を基準年とすると、日本の物価(ここではGDPデフレータを用いる)はほぼ同じだが、アメリカの物価は2倍以上になっているので、名目為替レートが同じだと実質為替レートは約半分に減価することになる。

内閣府, BEAより作成
日本は1990年基準と2015年基準を1985年で接続

👇のマーカーは名目1ドル=158円だが、実質為替レートは(1985年基準)は約360円で、58年前の1966年の水準に相当する。「昔の1ドル=360円はまだまだ遠い」と言う人がいるが、実質では既に到達している。

内閣府, BEA, BISより作成
日本の2024年Q1とQ2のGDPデフレータは2023年Q4と同じとした
アメリカの2024年Q2のGDPデフレータは2024年Q1と同じとした

👇は逆数の1円=◯ドルとしたもの。名目では2011~2012年が戦後最高値だが、実質では初の80円割れを記録した1995年が最も円高だったことがよくわかる。2011~2012年の70円台は超円高ではなかったわけである。

同上

👇は他通貨も含めて加重平均した実質実効為替レート(2024年3月まで)。

BISより作成
Narrowの1965年平均=0.50

異常な円安にもかかわらず、政府には全く危機感が感じられないのは、

「外人観光客が増えて儲かる/外人が日本資産を買いやすくなる/インフレ率が高まる→大歓迎」程度にしか考えていないからかもしれない。

日本政府観光局

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?