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社会

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堀茂樹(慶應義塾大学名誉教授)に「デタラメ」と批判されました

何様のつもりかえらく上から目線だが、どちらが「基本的な事象すら理解していないデタラメ」なのか読者に判断してもらいたい。 「基本的な事象」が具体的に何を指すのかは不明だが、おそらく、諸外国について山田昌弘と同じ認識をしていると思われる。 西ヨーロッパの大陸諸国(フランス、西ドイツ、イタリア、スウェーデン、オランダなど)は、さらなる子ども数の減少、つまり、少子化に直面することになる。合計特殊出生率が2を割り込む事態が起きたのである。次節で述べるように、その中のいくつかの国々で

ドゥーギンのシン・リベラリズム分析

ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギンのリベラリズムの変異についての分析が的確なので簡単に紹介する。西洋(特に英語圏)のエリートが普通の日本人には理解不能な狂気に取りつかれていることがわかるはず。 本題に入る前に前提知識を。 インタビューの始めに出て来るnominalismとはsocial nominalism(社会名目論、社会唯名論)のことで、individualism(個人主義)と密接に関係している。 サッチャーの有名な言葉👇はこれから来ている。 ドゥーギンのl

大韓民国の高学歴化の副作用

これ👇に補足すると、高学歴化は過激思想に染まる人を増やすから。 大韓民国は極端な例だが、先進諸国で女が左傾化しているのは高学歴化が一因になっていると考えられる。 大韓民国の1990年以降の合計出生率低下は二段階で、 1997年の通貨危機:20代前半の婚姻率が急低下→TFR1.2に 2015年の#MeToo運動の爆発:20代後半の婚姻率が急低下→TFRが1割れ 反日と同じ「恨」のエネルギーが女から男に向けられて文化的内戦状態になってしまった。 付録 トランプの支持

無神論者の文化的キリスト教徒

『神は妄想である―宗教との決別』の著者のリチャード・ドーキンスが「自分は文化的なキリスト教徒」と言ったことが話題になっている。 世界各地(特に先進国)では神の存在を本気で信じたり、日常的に宗教儀礼を実践する人は大幅に減っており、脱宗教化・世俗化が着実に進んでいる。しかし、ドーキンスのように信仰心は失っても、宗教の教えに通じるエートス、価値観、規範意識を持ち続ける人が多い状態をエマニュエル・トッドは宗教の「ゾンビ段階」と呼んでいる(神は死んだが動いている)。この段階では、社会

「日本」と書いてヤマトと読む

以前にも紹介したこれ👇がまた記事になっていたが、興味深い内容なのでもう少し詳しく紹介。 ヤフコメには桃崎教授が「邪馬台をヤマトと読む」ことを画期的新説として唱えていると誤解した批判が溢れているがそうではない。 「古代中国では一般的な法則」とは「〈王朝の全体名に採るべきは、王業が定まった(基盤が確立した)地である〉という命名慣行」のことで、 例えば👇の問いもこの法則によって説明できる。 この法則を日本に当てはめると、統一国家としての漢字の国号の「倭」「日本」と旧大和国の

全体的傾向と自分個人との関係

カッパの話とも関係すると思われるのだが、性集団の全体的傾向と自分個人の関係について、男と女では捉え方に違いがあるのではないだろうか。 2005年にサマーズがハーバード大学総長を辞任する羽目になったのは、物理学などのトップ研究者に女が少ない理由の一つに「男は女よりも分散が大きい(→極端な低知能者と極端な高知能者は男が多くなる)」ことがあるのでは、と発言したためである。 これを男が聞いても特段の感情的反応は引き起こされない(と思われる)が、女の学者は呼吸困難になるほどの激烈な

Forbesがなぜか本当のことを書く

ウクライナのキエフ政府と西側諸国の読者のために大本営発表を量産してきたForbesのDavid Axeが、日本の若手専門家が否定し続けてきた極右民族主義勢力(ロシアが言うところのネオナチ)のプレゼンスの大きさをあっさり認めている。 記事の冒頭には「ウクライナ軍は何年もの間、極右の過激派の一掃に努めてきた」とあるが、そうとは言えないことは最近のPRからも明らか(👇後ろの肖像画がバンデラ)。 ザルジニーは右派セクターと仲良しだけでなく、言っていることも同じ。 マイダン・クー

奴隷の価格の男女差

『仕事と人間』(原題は『The Story of Work』)は得るところが多い良書で、後日にまた取り上げるかもしれないが、今回は本筋ではないところから豆知識を紹介。 👇は奴隷制が浸透したサブサハラ・アフリカの話だが、男と女の肉体の価値の源泉の違いがよくわかる。

"Irreversible Damage"の内容が概ね正しい根拠

『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』という書名で翻訳出版された"Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing Our Daughters"は、出版に反対する活動家から「根拠のないヘイト本」などと批判されていたが、そのような批判は全く当たらない。英語圏の状況証拠は同書の内容が概ね正しいことを示している。 このような本が出版された背景には、英語圏の若者の性自認(gender ide

チェスの男女差は生まれつき

昨年話題になったこの👇件では、 チェスのトッププレイヤーの圧倒的多数が男である理由がnatureなのかnurtureなのかが議論の的になった。 現代では👆のようなルイセンコ主義と同根の非科学的な言説が「政治的に正しい」ものとされているが、そうではなく、頂点に立つ資質を持って生まれるのは女よりも男の方がはるかに多いから、という説得力のある論考が出された。 細田の「すべては個人差」が出鱈目であることは、リスク回避傾向など様々な面に男女差があることから明らか。 詳しくは👆を

『1984』的な日本の言論

一つ前のつぶやきと関係するが、それまでは普通に報じられていたことが突如として「ロシアのプロパガンダ」扱いされるようになるという『1984』的な事態が日本の言論空間に起こっている。 この👆地図が騙し目的であるとこは見え見えで、ウクライナが二つ(あるいは三つ)の地域に大別されることはそれまでの常識だった。 👇はNYTが"Ukraine Protest 2014: The Divide, Explained"で示した2010年の選挙結果。 👇は旧ソ連時代からの専門家・下斗米伸

「女性の働きやすさ、日本は29カ国中27位」はインチキ指標

世界経済フォーラムのGlobal Gender Gap Indexに続き、今度は経済誌The EconomistのGlass-ceiling indexというインチキ指標を流行らせようとしているわしい。結論を先に書くと、この指標が示しているのは「女の社会進出度が男よりも劣後していない度合」、具体的には「北欧的男女同一化」の実現度合を示すもので、女の働きやすさではない。 2023年の29か国の順位は以下の通りだが、ベスト4は北欧勢、ワースト4は非西洋勢とヨーロッパでも独自の道

シンガポールの超低出生率

シンガポールの2023年の合計出生率が史上最低の0.97となった。一般的に出生率が低い都市だけの国であるという構造的要因に、辰年の2024年への出産先延ばしが重なったことが主な原因である。 中華系は0.81、バーラト系は0.95と史上最低に、マレー系も1.65と2011年の1.64に次ぐ低さとなった。 30歳未満が低下し続ける一方、30歳以上は横ばいとなっているが、これは、TFRの低さが出産時期の先延ばし(晩産化)によるtempo効果によるものではなく、最終的に産む子の数

「個人」「自由」と出生率

西側のヨーロッパ諸国では、第二次世界大戦後に生まれた世代が成人になった1960年代後半から早婚・早産・多産のベビーブームが終わって合計出生率は急落したが、その後の展開は①凡そ1.7以上に回復した国々(英仏と北欧)と、②1.5を下回る低出生率が定着した国々(南欧とドイツ語圏)に大別できる。 ①と②の違いだが、子の親からの独立性の強弱(自由度の高低)→男と女のカップリング確率の高低→出生率の高低につながるという仮説が立てられる。 男も女も成人すると親から離れて「個人」として自