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そこのけそこのけダミーが通る

半導体工場の、ダミーウェーハってなに?のお話です。

まず、半導体工場で使用される製品グレードのウェーハ(プライムウェーハといいます)は、平坦性、欠陥、エッジ形状、Epi厚、シート抵抗など諸々のデバイスライン要件に達したものを指します。

それとは別にダミーウェーハというものがあります。エンジニアはこれらに囲まれた仕事といって良い。SEMI用語としてNPW(Non-Product Wafer)と呼びますが、ここでは簡易的にダミーと表現します。

囲まれているというのは、製品はOHTの天井だったり製品用ワゴンに乗ってたりしていますが、ダミーはエンジニアと共に地上にたくさんいるからです。

ダミー種類はグレードというよりも使い道で枝分かれします。

1. パーティクルモニタ用
2. プロセス調整用
3. 連続性確認用
4. ファイン調整用


これらをどう使っているか。

1. パーティクルモニタ用

イニシャルの欠陥検査をしたウェーハを、ロードポード、搬送系、プロセスチャンバに至るまで搬送及び一部(あっさりレシピ)処理を加え、ウェーハ上のパーティクル増減比較を行う。

この検査には特にダメージはほぼなく、無傷でダミーを使い回ませます。→

2. プロセス調整用

プロセス技術がいつもお世話になります。エッチング、成膜、シート抵抗、それらのレート/均一性の実力把握と調整を行います。

地味で時間がかかります。DOE(実験計画)がスマートに行けばいいですが、膨大だとサンプルに囲まれて日が暮れてしまう。尚、ダメージウェハーは廃棄再生へ。

3. 連続性確認用

特定レシピで設備にひたすらダミーウェハーを流して安定を見る。目的は修理後の安定確認、エージング、そしてロボットやウェハー挙動のチェック。

手前味噌ながら自分の担当は100枚(4ロードポート分)見ると決めてました。

そのため枚数は多いけど、このダミーは使い回し可能です。

4. ファイン調整用

いわゆるスーパーフラットネス、超高平坦性ウェハーです。ウェーハステージの真の凹凸と搬送オフセット確認に使ってました。約10万円。

…でもある日どこかのダミーに混じって行方不明に…

しかしプライムの平坦度がますます安定したのでお役御免の時期だったのかもしれません。

おわりに

ダミーウェーハや再生ウェーハビジネスの今後の規模は?と問われると、現場目線ではそれほど変わってないよ、水同様のインフラだよ、が大勢ではないかと思う。

おろしたての新品ウェハ(プライムやダミー)を工程から引き取り、レシピ組んでは流し、データ並べて侃侃諤諤。いまでも夢出てきます。

….あ、1枚足りない…

【追記】
自動車の世界でダミーといえば、この子ですね。


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